はじめてや小規模の展示で広報を任され、「何から書けばよいか分からない」と感じていませんか。たとえばニュース性づくりや画像の基準、会期や地図など実務情報の書式で迷う声をよく聞きます。本記事では、迷ったときに戻れる判断基準と手順、チェックリストをやさしく整理します。読み終える頃には、明日から使える原稿の型と表記ルールが手元に残り、少人数の体制でも落ち着いて配信準備が進められる状態を目指します。
読み手と目的の設計(ニュースバリュー=報道価値の見極め)
プレスリリース(報道発表資料)は「誰に」「何を判断してほしいか」を先に決めると、構成が自然に定まります。ここでいうニュースバリュー(報道価値)は、読み手にとって「新しい・役立つ・今ここで知る意味がある」度合いです。遺墨展や教室発表会、企業の社内展示でも、読み手の文脈に合えば十分に価値があります。まずは目的を絞り、読み手を選び、価値を言語化する順に考えます。以下の手順を使うと迷いが減ります。
目的と優先KPI(成果指標)の決め方
最初に「今回の成功」を数字で定義します。たとえば来場者数○名、取材申し込み○件、社内ポータルの閲覧率○%などです。KPI(成果指標)は多くても3個までにし、最優先を1つ決めます。CVR(申込率)やCAC(1人獲得費)は必要に応じて補助指標にします。
手順は次の通りです。
1)展示の目的を「来場」「取材」「社内周知」などから1つ選ぶ。
2)達成ラインを具体化する(例:定員60名、会期3日で延べ180名)。
3)測定方法を決める(例:事前申込数、受付カウンタ、社内記事の閲覧数)。
4)締切と運用体制を決める(例:前日18:00時点での確定数を採用)。
チェック観点は「測れるか」「現実的か」「関係者が合意しているか」です。迷う場合は、過去実績や近しい規模のイベントを参照し、±20%の幅で目標を置くと安全です。
ターゲット媒体と読者像の整理(地域紙・業界・社内)
読み手は1種類ではありません。地域紙や文化面の記者、書や美術の業界誌、ギャラリーの来場者、社内広報の読者など、複数の候補があります。判断軸は「読者が次に取る行動の違い」です。地域紙なら一般来場が主目的、業界メディアなら作品背景やキュレーションの意図が重要、社内向けなら参加しやすさや社内制度との関係が鍵になります。
実務では、優先順位をA〜Cで振り分け、「A:必ず配信」「B:余力があれば配信」「C:問い合わせが来たら対応」に分けます。媒体ごとに記者名や投稿フォームの有無、締切曜日などのメモを残すと、次回更新が速くなります。SNS担当や地域掲示板など非記者ルートも対象にし、転載可否と締切を確認しておきます。
ニュース性の作り方(初出性・希少性・社会性・地域性)
小規模展示でもニュース性は設計できます。基本は「初出性」「希少性」「社会性」「地域性」の4軸です。初出性は「はじめて公開する資料」「初公開の遺墨」などの一回性、希少性は「現存点数が少ない」「特定の技法が見られる」こと、社会性は「地域の教育・文化に資する」「震災からの復興に関連」など、地域性は「地元出身の作者」「地元企業の協力」などです。
これらを裏づける根拠を1〜2文で添えます(例:「全100点中30点が初公開」「保存状態の差異を比較できる」)。第三者のコメントがあると信頼性が上がります。数字は可能な限り半角で具体化し、比較表現(前年同月比など)は誤解を招かない範囲で最小限にします。
基本構成と書き方(フォーマットとリード文)
構成は「表題→リード文→本文→実務情報→問い合わせ→画像・資料」の順が扱いやすいです。5W1H(誰・何・いつ・どこ・なぜ・どのように)を骨組みにし、読み手の行動につながる情報を上に集めます。ここでは、件名や表題の型、本文パラグラフの順序、日付や地図などの表記を具体的に示します。初稿は短く作り、推敲で必要十分に整えると、配信直前の修正が減ります。
表題・件名・リード文(導入文)の型と判断基準
メール件名は「展示名/会期・会場/ひとことで魅力」を目安にします(例:「〇〇遺墨展|10月12日〜14日・市民ギャラリー|初公開30点」)。全角35〜45字に収まると一覧で途切れにくいです。表題は読み手が記事化しやすい名詞句を基本にし、固有名詞は正式表記で統一します。
リード文(導入文)は本文の要約です。①何が②いつどこで③誰が④なぜ⑤誰に有益か、を2〜4文で書き、数字は具体的にします(例:「全体100点中、初公開30点」「各日14:00からギャラリートークを実施」「入場無料」)。判断基準は「読者が1分で内容を理解できるか」「記者が見どころを抜き出せるか」です。迷うときは、本文から要素を抜き出し、主語と述語の対応を声に出して確認します。
本文パラグラフの順序(5W1Hと訴求ポイント)
本文は段落ごとに役割を分けます。1段落目は背景と企画意図、2段落目は展示の5W1H、3段落目は見どころ3点、4段落目は出展者や遺墨の来歴、5段落目は会場・日時・料金などの実務情報、6段落目は取材要領(撮影可否・同席者・所要時間)、7段落目は主催者情報と連絡先の順です。各段落の先頭は短い結論から始め、事実→根拠→補足の順で展開します。
訴求ポイントは「読者の行動と一致しているか」で評価します。来場が主目的ならアクセスと時間帯の明記、取材が主なら撮影ポイントやコメント候補の提示、社内周知なら勤務中の立ち寄りやすさや福利厚生との関係を強調します。段落末に次段落への接続語を置くと読みやすくなります。
実務情報の書式(会期・会場・料金・地図・アクセス)
日付は「2025年10月12日(日)10:00〜18:00」のように、西暦・曜日・時間をそろえます。複数日程は「10月12日(日)〜14日(火)」とし、開始と終了の時間帯が異なる日は各日を分けて記載します。会場は正式名称と所在地、建物内の階や室名まで記し、地図リンクは公式サイトか地図サービスのいずれか1つに統一します。料金は「一般1,000円/学生500円/小学生以下無料」のように対象と金額を並列で示します。
アクセスは最寄り駅からの徒歩分数とバス系統、駐車場の有無、バリアフリー情報(エレベーター・多目的トイレ)を1〜2行でまとめます。撮影可否や整理券配布など運営上の注意は、見出しを分けず本文の終盤に置くと読み手の行動が阻害されません。社内展示の場合は、入館手続きや社内規定の範囲(社外の同伴可否など)を明記します。
| 要素 | 要旨 | チェック観点 | 字数目安 |
|---|---|---|---|
| 表題 | 記事化しやすい名詞句で展示の核心を示す | 固有名詞の表記統一/独自性が伝わるか | 全角28〜40字 |
| リード文 | 5W1Hの要約と魅力の数値化 | 1分で理解/主語述語の整合 | 150〜250字 |
| 展示概要 | 企画意図と背景、見どころ3点 | 事実→根拠→補足の順 | 400〜800字 |
| 実務情報 | 会期・会場・料金・アクセス | 曜日・時間・金額の誤記無/地図リンク1つ | 100〜200字 |
| 取材要領 | 撮影可否・所要時間・対応可能者 | 連絡先のダブルチェック | 80〜150字 |
| 主催者情報 | 組織名・所在地・担当・連絡先 | 代表表記と窓口表記の区別 | 80〜120字 |
| 画像・資料 | 写真3点・キャプション・PDF | 画像サイズ・解像度・クレジット | 3項目の有無を確認 |
情報整理と素材準備(写真・画像・資料)
配信前に素材を整えておくと、原稿の推敲や社内確認が一度で進みます。ここでいう素材は、写真(作品・会場・人物)、図版(ロゴ・地図・レイアウト)、テキスト(キャプション・略歴・見どころ)、そして配布用PDFです。判断の基本は「用途に合う画質か」「再利用しても意味が崩れないか」「第三者が見ても帰属(誰の作品か/誰が撮影か)が分かるか」です。はじめに公開範囲(メディア限定か/SNS可か)、掲載期限(会期終了までか)、二次利用(学校・地域紙への転載可否)を仮決めし、素材のフォルダ構成と命名を先に定義します。これにより、遺墨展や教室発表会のように点数が多い案件でも、迷わず探せて差し替えが容易になります。
写真の要件(解像度=画像の細かさ/画像サイズ/ファイル形式)
写真は「実寸に対して十分なピクセル数があるか」を基準に判断します。印刷向けは仕上がりサイズで約300dpiを目安にし、A4相当なら長辺3500px以上を安全圏とします。ウェブ記事やSNSは表示領域のピクセル数が支配的で、dpiの数値は重視されません。長辺2000〜2500pxを基準に用意すると、トリミングや拡大にも耐えやすいです。ファイル形式は、写真主体はJPEG(画質80〜90%)、ロゴや文字主体はPNG、印刷で網点化を前提にする場合はTIFFが無難です。色空間(色の表現方式)はウェブ用はsRGBを基本にし、印刷所から指定がある場合のみCMYK変換します。スマホ撮影でも、レンズは等倍より望遠側(2×など)を選び、蛍光灯やガラスでの反射は偏光フィルターの代替として角度を変えて回避します。三脚がない場面では、連写のうち最もシャープな1枚を選ぶだけでも歩留まりが上がります。最後に、作品とキャプション札を同じ構図で各1枚撮ると、編集時の照合が早くなります。
クレジット・著作権表示と同意取得の基本
クレジットは「だれの作品か/だれが撮影か/どこ所蔵か」を読者にも編集者にも明示するための記述です。基本形は「作品名(制作年、素材、寸法、所蔵)/撮影:氏名」。書の遺墨では、揮毫年の不明点や読みの異同があり得るため、確定できない情報は「頃」「約」などの幅を持たせます。著作権(創作物の権利)と肖像権(人物が写ることへの権利)は別です。作品の著作権者(作家本人または相続人等)と、写真の著作権者(撮影者)が異なる場合があるため、配布パッケージには両者の表記を入れます。二次利用の範囲は「報道目的に限る」「出典とクレジット必須」「トリミング可否」「SNS転載の可否」を最低限揃えます。社内展示や教室発表会で来場者の顔が写り込む場合は、被写体の同意を得るか、ぼかし前提での提供を選びます。同意は口頭ではなく記録に残し、いつ・誰に・どの媒体まで許諾したかを台帳で管理すると、次回確認が短縮されます。
資料パッケージ設計(PDF作成とリンク/命名規則)
配布先が複数でも迷わないよう、最初から「パッケージ」を単位に準備します。推奨構成は「release.pdf(本文)」「images(選定済み写真)」「captions.csv(作品名・年・クレジット)」「readme.txt(利用条件と問い合わせ先)」です。PDFはテキストをアウトライン化せず、検索可能なまま埋め込みフォントで書き出すと、引用時の誤植が減ります。画像は必要十分な解像度で再圧縮し、ファイル合計は10MB以内を目安にしてメール送付、超える場合はクラウドリンクを併用します。命名規則は「日付_イベント名_内容_番号」の順(例:20251012_izuboku_ten_main_01.jpg)で統一し、ゼロ埋めで並び順を保つと差し替えが楽です。リンク配布は、期限設定・閲覧権限(リンク知っている全員/ドメイン内限定)・パスワードの有無を記録し、差し替え時の破断を防ぐため、リンクの親フォルダ名は固定します。
以下に用途別の目安をまとめます。
| 用途 | 推奨画像サイズ(px) | 目安解像度 | 推奨拡張子 | 命名例 |
|---|---|---|---|---|
| ウェブ記事用メイン | 長辺2400〜3000 | 72〜96dpi相当 | jpg | 20251012_izuboku_main_01.jpg |
| SNS(正方形) | 2048×2048 | 72〜96dpi相当 | jpg, png | 20251012_izuboku_sns_sq_01.jpg |
| 印刷A4フル幅 | 長辺3500〜4000 | 300dpi目安 | tiff, jpg | 20251012_izuboku_print_a4_01.tif |
| 配布用PDF内画像 | 長辺2000前後 | 150〜200dpi相当 | jpg | 20251012_izuboku_pdf_img_01.jpg |
| サムネイル/OGP | 1200×630 | 72〜96dpi相当 | jpg, png | 20251012_izuboku_ogp_1200x630.jpg |
配信計画と送付オペレーション
配信は「誰に何をしてほしいか」を時間軸に落とし込む作業です。記者や編集部の締切は媒体ごとに異なり、週刊・月刊・ウェブ常時更新で必要な前倒し幅が変わります。まず、会期から逆算して大まかなフェーズを決め、社内の承認フローと整合させます。遺墨展や教室発表会の規模でも、先行告知→本配信→直前リマインドの三段構えにすると、受け手が情報を思い出しやすくなります。加えて、社内展示のように来場者が限られる場合は、社内ポータル更新とメールマガジンのタイミングも同日に並べると、認知の重なりで閲覧率が安定します。配信当日は差し替え依頼への即応が発生するため、担当者の在席時間を合わせ、返信の一次受けと画像差し替えの実務を分けると安心です。
タイミング設計(先行・本配信・リマインド)
標準的な目安は、先行案内が会期の21〜28日前、本配信が10〜14日前、リマインドが2〜3日前です。月刊誌や地域紙の特集に載せたい場合は、締切の関係でさらに早め(45日前程度)を検討します。曜日は、編集部が動きやすい火〜木の10:00〜15:00が無難で、週初や祝日明けの午前は埋もれやすい傾向があります。先行案内では「決定事項のみ」「仮のビジュアルでも差し支えない範囲」を明示し、本配信で確定版の画像とPDFを提示します。リマインドは新情報(内覧会の時間追加、トーク登壇者の確定など)を1点だけ入れると、再掲の必然性が生まれます。社内展示の場合は、給与日や定例会の前後など社内の行動パターンに合わせると、立ち寄り率が上がることがあります。いずれも、送信後の誤字修正や差し替えに備え、同じスレッドを使って履歴を残すと混乱が起きにくいです。
送付先リストの作り方と更新(媒体・記者・社内)
送付先は「媒体」「担当者」「連絡先」「配信条件」「備考」を基本の列にして表計算で管理します。配信条件には、希望ファイル形式(添付不可/リンクのみ)、締切曜日、ジャンル(文化・地域・教育)、過去の掲載有無を記録します。優先度はA(必ず送る)B(状況により送る)C(問い合わせが来たら対応)で分け、Aは最新の連絡先を毎回検証します。個人宛に送る場合は、名前の表記ゆれや役職の更新を重視し、前回掲載へのお礼と併せて「今回の新規性」を短く添えると関係が温まります。社内向けには、部門配信リストと全社掲示板、役員秘書室など経路を分け、Bccでの一斉送信を基本にします。更新は会期終了後に必ず行い、掲載メディア・掲載日・反応(返信あり/差し替え依頼あり)を実績として残すと、次回の予測が立てやすくなります。
件名・メール文の作法(添付 vs リンク/避けたいNG例)
件名は「展示名|会期・会場|ひとこと特徴」を基本形にすると、一覧で要点が伝わります。例:「〇〇遺墨展|10月12日〜14日 市民ギャラリー|初公開30点」「教室発表会 書の魅力再発見|10月26日〜27日|入場無料」「社内展示 お昼休みに観覧可|11月5日〜7日」。本文は冒頭3行で①主旨②会期・会場③新規性を示し、その下に要点箇条とリンク、末尾に連絡先を置きます。添付はPDF1点+写真1〜2点までに抑え、総容量10MB以内を目安にします。超える場合は、クラウドリンク(有効期限とパスワード有無を明記)を使います。NGは、宛名なしの一斉送信、件名「ご案内」だけ、重い画像を多数添付、日付や時間の表記ゆれ、連絡先の欠落、To欄に複数アドレスを並べる(Bccを使わず個人情報が見えてしまう)などです。送信前チェックは、日付・曜日・時間の一致、会場の正式名称、地図リンクの動作、PDFの文字検索可否、画像のクレジット表記、返信先の受信可否(迷惑メール振り分け)まで行うと安心です。
公開後の対応運用と効果測定
配信後は「問い合わせに迷わず応える」「掲載を把握して二次活用につなぐ」「数字で学びを残す」という順で進めます。公開直後は質問や差し替え依頼が集中しやすく、対応が分散すると抜け漏れが起きやすいです。最初に窓口の一本化(メールアドレスの統一)と役割分担(一次受け・画像対応・最終確認)を決め、同じスレッドで履歴を残します。掲載の把握は、検索やSNSのメンション、地域紙の切り抜きなど複数経路で拾い、事実の確認と表記ゆれの修正依頼は落ち着いた文面で行います。効果測定はKPI(成果指標)を中心に、来場数や申込率CVR(申込率)など「行動につながった数字」を優先します。学びは当日の所感ではなく、時系列の記録と比較で残すと再現性が高まります。
問い合わせ対応フローと想定QA
問い合わせは「分類→一次回答→差し替え・調整→記録」の流れで統一します。分類は、内容(取材/画像貸与/事実確認/社内向け)と緊急度(当日中/翌日で可)で分け、件名頭に[至急][確認]などのラベルを付けると判別しやすいです。一次回答では、まず受領の旨と対応予定時刻、必要情報(媒体名・掲載予定日・使用点数)を丁寧に尋ねます。画像貸与は、利用条件(出典・クレジット必須、トリミング可否、SNS転載の可否)を短く再掲し、ZIPやクラウドリンクの有効期限を明記します。差し替えや事実修正の依頼は、誤りの指摘ではなく「正確な記述のご提案」として、根拠となる資料名や公式表記を添えます。最後に記録(日時・相手・要件・対応内容)を台帳へ追記し、次回のFAQに還元します。
想定QAの例として、①「撮影は可能ですか」→「混雑時は全体俯瞰のみ可、フラッシュ不可、13:00〜14:00は来場者の同意が取れた範囲で作品近接撮影可」のように時間帯で明確化、②「遺墨の読みはどちらが正しいですか」→「図録ではA表記、研究者B氏は異説あり。本展はAで統一」のように根拠併記、③「SNSで画像を再掲してよいか」→「出典と撮影者クレジットの記載を条件に、解像度は長辺1200pxまで可」のように条件提示を心がけます。返答の基準は「来場者の体験を損なわず、誤解を生まない最小限の制約」に置くと、現場と広報の両立がしやすくなります。
掲載確認と二次活用(ホームページ・SNS・PDF)
掲載確認は「発見→保存→整備→共有」の順にします。発見は、検索キーワードの定点観測、SNSのハッシュタグとメンション確認、地域紙の電子版と紙面の両方を対象にします。保存は、記事URLと掲載日、見出し、掲載媒体、担当記者名、スクリーンショットやPDF化(許諾範囲内)を台帳に集約します。整備では、表記ゆれ(会期の曜日違い、作者名の旧字体など)を突き合わせ、必要があれば穏やかな文面で訂正のお願いを出します。共有は、ホームページの「掲載情報」欄に一覧化し、SNSでは感謝の一言とともにリンクを紹介します。OGP(SNSで表示される見出しと画像)が適切に出るかも併せて確認します。
二次活用は、社内報や来期の企画提案、会社案内の事例ページに反映します。PDF(配布資料)は、掲載先のロゴや見出しを引用する際に体裁を崩さないよう、引用の範囲と出典明記を徹底します。来場者向けの振り返り記事では、会場写真にキャプションを付け、混雑状況や好評だった展示箇所、トークイベントの要点など「次回に役立つ情報」を短く残します。外部の二次利用依頼があった場合は、目的・媒体・期間・画像点数・クレジット条件を確認し、許諾可否を台帳に記録します。
効果測定の設計(KPI=成果指標/改善サイクル)
KPI(成果指標)は、最初に定義した目的と一致しているかを再点検します。来場を最優先にした場合は、会期中の入場者数と時間帯別の分布、事前申込と当日来場の内訳、天候や同時開催イベントとの関係を記録します。申込率CVR(申込率)は、リリース配信後のページ閲覧数に対する申込完了の割合で算出し、媒体別の流入はUTM(アクセス計測用のパラメータ)を使うと比較が容易です。社内展示では、社内ポータルの閲覧率やコメント数、昼休みの滞留時間など、行動に近い数字を採ります。
改善サイクルはPDCA(計画・実行・確認・改善)で回します。次回に向けた仮説例は「先行告知を28日前→35日前に前倒し」「件名に初出点数を明記」「画像の長辺を2400px→3000pxに拡充」「記者向けに取材時間帯を固定」などです。報告は1ページ程度にまとめ、「何が効いたか」「何が効かなかったか」を事実ベースで記述し、判断は強い断定を避けて「傾向」として表現します。関係者が次回の役割を迷わないよう、改善案には優先度と実施難度を添えます。
| 日時・期日 | 担当 | チェック項目 |
|---|---|---|
| 公開当日(午前) | 一次受け | 受領返信の定型送信、誤記指摘の受付、画像リクエストの条件確認 |
| 公開当日(午後) | 画像担当 | 差し替え画像の用意(長辺3000px/sRGB)、ZIP作成とリンク発行 |
| 公開翌日 | 台帳担当 | 問い合わせ記録の追記、掲載記事の初回収集、OGP表示の確認 |
| 会期中(毎日18:00) | 一次受け | 新規問い合わせの分類、翌日対応のToDo作成、緊急案件のエスカレーション |
| 会期終了翌日 | まとめ担当 | 掲載一覧の確定、ホームページへの反映、SNSでの掲載御礼投稿 |
| 1週間後 | 分析担当 | KPI集計(来場・CVR・媒体別流入)、改善提案のドラフト作成と共有 |
※注意喚起:権利や個人情報、同意の取り扱いは一般的な留意点にとどめ、特定の事案に対する法的助言は行いません。使用条件や表記の最終判断は、主催者の規定や関係者との合意、専門家の確認に基づいてください。
まとめ
小規模の遺墨展や教室発表会、社内展示でも、読み手の文脈に合う価値を言語化し、目的に沿った構成で伝えれば、十分に伝わります。本記事では、準備段階の素材整備と表記の型、配信のタイミングと作法、公開後の対応と学びの残し方を通して、迷いやすい場面を判断基準に落とし込みました。特に、先行→本配信→リマインドの三段構え、画像の解像度(画像の細かさ)と利用条件の明記、問い合わせの一本化と台帳運用、KPI(成果指標)に基づく比較の習慣は、次回以降の負担を大きく減らします。まずは、今回の記事のテンプレートを自分の現場に合わせて最小限で使い、会期後に数値と実例を追記してください。完璧さよりも、同じ型で記録が残ることが、次の成功への近道になります。




















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