子ども向けの自作の本、漢字・ルビ・ひらがなをどう決める?
自作の同じ短文を、漢字・ルビ・ひらがなと区切りの三案で比較。読む子どもと読み方、語彙の説明、作者の表現から、確定原稿の表記方針を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

子どもが自分で読む本にしたいとき、全部ひらがなにするか、漢字にふりがなを付けるかで迷うことがあります。まず、読む相手と読み方を決め、語の意味の説明、漢字に添える読み、ひらがなの区切りを別々に考えましょう。
学年や年齢は読者を考える手がかりになりますが、それだけで全員に同じ表記が合うとは決めません。作者が残したい言葉と、今回の読者へ伝えるための調整を分け、原稿の方針をそろえます。
誰が、どのように読む本かを先に決める
子どもが一人で読むのか、誰かと一緒に読むのかで、説明をどこへ置くかも変わります。年齢や学年に加えて、想定する言葉へのなじみや、物語を読む場面を作者・編者と相談します。
たとえば講談社の青い鳥文庫のシリーズ紹介では、その企画の学年別の漢字とふりがなの方針が示されています。これは特定シリーズの編集方針で、自作の本やすべての児童書へそのまま適用する基準ではありません。
今回の本でも、「何年生向け」と書くだけで終えず、自分で読むために何を助けたいかを言葉にします。表記の変更で対応することと、言葉の説明が必要なことを分けます。
同じ短文で、漢字・ルビ・ひらがなの三案を比べる
次は自作の短文「森の入口で、光る石を見つけた。」の三表記案です。Aは漢字を残す案、Bは漢字に読みを添える案、Cはひらがなにして区切りを入れる案とします。どれが子ども全員に読みやすいかを測定した結果ではありません。
A 漢字を残す
森の入口で、光る石を見つけた。
B 漢字に読みを添える
森の入口で、光る石を見つけた。
C ひらがなと区切り
もりの いりぐちで、ひかる いしを みつけた。
Bは漢字を読むための情報を足していますが、「入口」という語の意味まで説明したものではありません。Cも表記と区切りを変えた案であり、言葉の意味や物語の理解を確認できた意味にはなりません。
実作品では、作者・編者が意図した言葉と読みを確かめ、何を残して何を調整するかを決めます。この短文だけで表記の優劣や対象年齢への適合、教育効果を結論づけないようにします。
ふりがなで助ける読みと、語彙の説明を分ける
漢字に添える小さな読みを、ルビと呼びます。どの漢字へ何の読みを付けるかと、言葉の意味をどう伝えるかは、別の確認事項です。
例の「入口」を「いりぐち」と読めても、それが何を示すかを伝える必要があれば、「森へ入る場所」と説明する案などを作者と比べます。ただし、説明を加えると文の長さや物語の語り方も変わるため、自動で置き換えるものではありません。
人物名や地名、作品独自の読みは、作者・編者の指定を確かめます。制作側が漢字から推測した読みを、一括して確定しないようにしましょう。
ひらがなにする範囲と、区切る位置を相談する
ひらがなを中心にする場合は、どこまで続け、どこへ空きを入れるかも比べます。空きを入れる位置が変わると、語のまとまりの見せ方が変わるためです。
三案のCは、「もりの」「いりぐちで」「ひかる」「いしを」「みつけた」の間に区切りを置いています。これはこの文の比較案で、どの語でも同じ長さで区切る決まりではありません。
繰り返し出る語や呼び名は、本文全体で表記をそろえます。一文だけ整っていても、別の頁で同じ言葉が違う書き方になっていないかを確かめましょう。
作者の表現と、今回の原稿の方針をそろえる
漢字を残したい言葉、ひらがなにしたい呼び名、特別な読みを持つ言葉を作者・編者と確認します。意味や響きを保ちたい箇所を、表記の統一だけで変えてしまわないようにします。
ルビを付ける範囲、ひらがなの区切り、説明を加える言葉、固有名詞の読みを原稿の方針としてまとめます。変更した箇所と、作者が確認した版を対応させて残します。
組んだ頁では、ルビの位置や本文との間隔、行の折り返しを確かめます。表示を確認できたことと、想定読者が内容を理解できたことは分けます。理解の効果まで述べるなら、それを確かめる実際の読みによる確認が別に必要です。
短い本文と、残したい言葉からご相談ください
複写 HUKUSYAの確定原稿からの編集・冊子制作の相談では、読む相手と読み方、短い本文、漢字・ルビ・ひらがなの希望、作者が残したい表現をお知らせください。
語彙の説明、読みの指定、区切りと組版を別々に確認し、作者・編者が確定した原稿と表記方針から相談します。特定の年齢への適合や教育効果を保証するものとして、表記の選択だけで進めないようにしましょう。



