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地域の歩みを図で伝える――問いから年表・地図・関係図を選ぶ

地域冊子で何を説明したいかに合わせ、図の種類と必要な資料を選びます。架空の三出来事から作る年表・概略地図・関係図の案を比べ、日時・場所・役割の根拠、本文と元資料への対応を整理します。

匿名の家並みと木、灰青と黄土の葉の水彩を載せた開いた本と、無記入の三枚のカードHUKUSYA / JOURNAL

地域の歩みを冊子の図で伝えたいときは、先に図形を選ぶより、「いつの前後を知りたいのか」「どこに集まっているのか」「誰がどう関わったのか」を分けてみましょう。同じ資料でも、読む方に確かめてほしいことによって、選ぶ図と必要な情報が変わります。

ここでは、架空の三つの出来事を使い、年表・概略地図・関係図の構成案を並べます。実在地域の歴史や、新しい人物・団体の関係を調べて確定した図ではありません。

図にしたい情報より、説明したい問いを選ぶ

出来事が起きた順序を見せたいなら、年表の案を考えます。開催場所の分布を見せたいなら、地図の案です。主催や資料提供などの役割を見せたいなら、関係図を考えます。

一枚で全てを説明しようとする前に、図の見出しを質問の形にしてみます。「何が先か」「どの場所か」「何の関わりか」という問いを一つ選ぶと、載せる情報と、本文で説明する情報を分ける準備ができます。

同じ三つの出来事で、図の役割を比べる

今回の案では、次の三件だけを設定します。年1・年2・年3も前後関係を考えるための呼び方で、実際の年号ではありません。場所と団体も、この構成案のための仮のものです。

  • 出来事A:年1の資料展示会。西の会場Aで、団体甲が主催する。
  • 出来事B:年2の作品展示会。東の会場Bで、団体乙が主催する。
  • 出来事C:年3の合同資料相談会。西の会場Aで、団体甲が主催し、団体乙が資料を提供する。

同じ三出来事から、伝える問いで図を選ぶ案

年表|いつの前後か

出来事の前後を並べる
年 出来事
年1 A|資料展示会
年2 B|作品展示会
年3 C|合同資料相談会

前後は示すが、原因や発展の筋道は加えない。

概略地図|どこに集まるか

灰青の西区画:会場A。出来事AとC。

黄土の東区画:会場B。出来事B。

位置を考える案で、実在の座標や距離は表さない。

関係図|どんな役割で関わるか

団体甲 → 主催 → 出来事C

団体乙 → 資料提供 → 出来事C

Aも甲主催、Bは乙主催。三件に記した役割だけを結ぶ。

同時期や近い場所という理由で、新しい関係を加えない。

年表では三件の前後、概略地図では会場AとBへの分かれ方、関係図では主催と資料提供という役割を取り出しました。同じ三件から何を残すかを選ぶ、編集の案です。

図を完成させるために、三件にない出来事や関係を加えてはいません。概略地図の左右の区画も、仮の西と東を分けるための表現です。実在する地域の形や方角、距離を確認した地図としては使いません。

年表には、分かる年代と、分からない幅を残す

実資料を年表にするときは、いつの出来事なのかを、元資料と対応させます。年月日まで分かるものと、ある時期に行われたことだけが分かるものを、同じ精度の情報に直さないようにします。

日付が確かめられていない出来事を、空いている年へ入れて並びを整えることは避けます。本文で触れるだけにするか、期間や未確認の状態を示すかを、地域資料の内容を確認する担当者と決めます。

また、ある出来事が先で、別の出来事が後にあることだけでは、原因と結果が確定したことにはなりません。「この活動が次の活動を生んだ」などの筋道を説明する場合は、その関係を述べられる資料と確認が別に必要です。

地図には、いつの場所を示すのかを添える

実際の地図を作る場合は、当時の地名と現在の地名、資料が示す場所と確認できた範囲を分けます。会場や建物の名前が同じでも、同じ位置にあったと推測して点を置かないようにします。

位置を確かめる元資料や、図へ載せる範囲を内容確認者と決めます。細かな場所まで示せない場合は、地区単位の説明にするなど、確認できる情報に合う図を選ぶ方法があります。

近い場所で行われた二つの活動も、協力していたことを意味するとは限りません。地図は位置の説明として使い、団体のつながりや活動の影響まで、点の近さから補わないようにします。

関係図の線には、役割と言える根拠を持たせる

人や団体を線で結ぶときは、その線が何を表すのかを言葉にします。今回の案なら、出来事Cへの「主催」と「資料提供」は異なる役割です。同じ線にまとめて、全てを共同主催と表示しないようにします。

実資料では、どの出来事で、いつ、どのように関わったかを確認します。名簿に一緒に載っている、同じ年に活動している、会場が近いという情報だけから、新たな協力関係や組織の上下関係を作らないようにします。

関係が確認できない箇所は、線を足して見た目を完成させず、説明できる範囲を選びます。言葉でしか表せない違いが残る場合は、短い注記や本文を添える案も考えられます。

図の項目から、本文と元資料へ戻れるようにする

図に載せる出来事や場所、役割には、確認に使った資料と該当箇所を対応させます。資料名、所蔵先や管理番号、頁などを控え、本文の説明と図が別の根拠を指していないかを照合します。

地域の資料を探す入口として、国立国会図書館のリサーチ・ナビは、地方史の文献を調べるための書誌や、自治体史・地方史雑誌、地域ごとの図書館の案内を紹介しています。そこから見つけた資料の本文を確認し、冊子で述べる事実に対応する箇所を確かめる準備に使えます。[1]国立国会図書館「地方史に関する文献を探すには」

検索の案内や書誌に掲載されていることを、そのまま個々の出来事や関係の確認済みという意味にはしません。実案件では、地域資料の担当者が日時・場所・役割の根拠と説明を確認してから、図へ載せる範囲を決めます。

確定した情報から、図版と冊子の編集を相談する

制作を相談するときは、まず次の項目を整理します。

  • 読む方へ確かめてほしい問いと、希望する図の案。
  • 載せたい出来事・場所・人や団体と、確認できた情報。
  • 根拠に使う資料と該当箇所、不明なこと。
  • 図と本文の説明、利用・掲載の範囲を確認する担当者。
  • 使う冊子の大きさ、掲載する場所、必要な部数と日程。

複写 HUKUSYAの地域資料の画像化・冊子制作相談では、原資料の撮影・画像化と、説明原稿や掲載順、図版を含む冊子の編集範囲を分けて相談できます。確定した日時・場所・役割を整理した資料と、作りたい図の目的をお知らせください。

史実の特定や資料の解読・鑑定、専門的な監修が必要な場合は、依頼する相手と範囲を別に確認します。図版の作成、原稿整理や紙面制作についても、対応できる作業と担当、費用を個別に決め、確認された情報から制作を進めましょう。

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