複写 HUKUSYA
カテゴリ編集と活用
タグ

絵本の原画を本にしたい 絵の枚数より先に確かめる一冊の読み方

絵本の原画を本にするとき、絵の枚数より先に一冊の読み方を確認。短い物語と台割のラフ案から、見開きの絵と文章、ページをめくる位置、不足する原稿と取り込み作業を分けて考えます。

木の実を見つけるこりす、石のかげへ手をのばすこりす、芽を見つめるこりすを描いた三枚の水彩画。HUKUSYA / JOURNAL

自分で書いたお話と原画がそろうと、「この絵を一枚ずつ載せれば、絵本になるだろうか」と考えることがあります。本へまとめるときは、絵の枚数を数えるところから一歩進めて、絵と文章をどの順番で読んでもらうかを仮に並べてみましょう。

表紙、本文の見開き、最後に入れる情報までを並べると、物語の区切りや、ページをめくる位置が見えてきます。追加で描きたい場面と、すでにある原画を取り込む作業を分けることもできます。原画の枚数を、そのまま本のページ数として決めないことが出発点です。

最初は、文章を場面ごとに分けてみる

仕上がりの大きさや製本方法を決める前に、物語がどこで一段落するかを確かめます。一文につき一枚の絵を用意するとは限りません。いくつかの文章を同じ見開きで読む案も、短い一文を次の場面へのきっかけにする案もあります。

下は、読む順番を考えるために書いた短いお話の文案「こりすと、ひとつの実」です。四つの場面に分けてみます。

  1. 雨のあと、こりすは道で、つやつやした木の実を見つけました。
  2. ころがすと、実は石のかげへ。こりすは、前足をそっとのばしました。
  3. 実をひろったこりすは、庭のやわらかい土にうめました。
  4. 春の朝、小さな芽が顔を出しました。こりすは、空いた前足を見て、にっこりしました。

この案では、「石のかげへ」で次を見たくなる流れを作り、「土にうめる」と「芽が出る」の間で時間を進めています。どの言葉の後でページをめくるかによって、同じ短いお話でも読み方を変えられます。

三枚の原画を、四つの場面と対応させる

このお話に、「雨上がりの道と木の実」「石のかげへ手をのばすこりす」「庭の芽とこりす」の三枚の原画があると仮定します。文章と対応させると、実を土にうめる場面の絵が、まだ用意されていないことが分かります。

そこで一枚を追加するのか、前後の絵と文章でその動きを伝えるのかを考えます。足りない場面が見つかったからといって、必ず新しい絵を増やすと決まるわけではありません。作者が残したい物語と、今の絵で伝わることを見ながら選びます。

原画が多い場合も同じです。全部を同じ大きさで順番に載せる案のほかに、一つの場面へまとめる、本文では使わない絵を別に残す、といった整理が考えられます。まずは一冊の中で、各原画がどの役割を持つかを確かめます。

見開きごとのラフを、台割にして並べる

ページの順番と内容をまとめたものを、ここでは台割と呼びます。最初は完成した誌面を作らず、絵の小さな見本と文章のメモで、読む流れを確かめる方法があります。

下は四つの場面を一つずつ見開きへ仮置きする案です。製本やページ数を確定したものではなく、表紙・本文・巻末の仕事を分けて相談するためのラフです。

お話を一冊へ並べる、台割のラフ案
本の中の位置 絵と文章の仮置き・未定のこと
表紙・扉 題名を置く場所を用意。本文の絵を使うか、別の絵を用意するかは未定。
本文の見開き1 雨上がりの道の原画と、木の実を見つける文章。お話へ入る場面にする。
本文の見開き2 石のかげへ手をのばす原画と、実を追う文章。次をめくる位置を考える。
本文の見開き3 土に実をうめる文章。絵は追加するか、前後の場面から伝えるかを相談する。
本文の見開き4 庭の芽の原画と、春の朝の文章。結びの言葉と絵を一緒に見せる。
巻末の情報 作者名や制作に関する情報の置き場所を考える。具体的な内容と最終ページ数は後で整える。

一枚の原画を片方のページへ置くか、見開きで見せるかによっても、文章を置ける場所は変わります。絵の大事な部分へ文章が重ならないか、中央で見せたいものが分かれないかを、仕上がりに合わせたラフで確かめます。

読み進めるために必要な場面がそろったところで、表紙や扉、巻末も含めて冊子の仕様とページ数を相談します。「原画が三枚だから本文も三ページ」と数えず、本として使う各部分を含めて考えます。

ページをめくる前後で、分かることを確かめる

ラフを前からたどり、めくる前に見えていることと、次の見開きで初めて分かることを確認します。この文案なら、実が石のかげへ転がる場面の後に、こりすが実を拾えたことが分かるかが一つの確認点です。

文章を短くしたいときも、絵だけで伝わる動きか、言葉が必要な出来事かを見て選びます。土にうめる場面を省いて、急に芽の絵へ進むと、作者が伝えたいつながりが読み取りにくくなるかもしれません。絵の追加、文章の補い、場面のまとめ方を並べて考えます。

この段階の確認は、物語と原稿を整えるためのものです。実際の紙に印刷した色や、製本したときの開きまで確認できたとは扱いません。必要な誌面が整った後、印刷・製本についてどの方法で確認するかを別に相談します。

追加の原稿づくりと、原画の取り込みを分ける

台割で不足が見つかったら、誰が何を用意するかをメモにします。新しい場面の絵、表紙の絵、追加する文章、作者名などの情報を分け、作者が確定する内容と、編集を相談したい内容を整理します。

すでにある原画については、枚数、紙や画材、サイズ、折れや反りなどの状態、手元の画像データの有無を伝えます。取り込みが必要なのか、既存画像を使えるかを、誌面での使い方と合わせて確かめます。

物語の続きを書くことや、新しい絵を描くことは、原画を撮影・スキャンして本へ配置する作業とは別の依頼範囲です。不足があるまま相談する場合も、制作側で自動的に物語や原画を補うと決めず、作者が用意するものと依頼したいものを分けてお知らせください。

お話と原画、未定の場面からご相談ください

最初からきれいな台割を用意する必要はありません。お話の文章、原画の一覧や小さな見本、読む順番の案、まだ決まっていない場面が分かれば、原稿の整理から相談できます。作品の枚数だけでなく、一冊をどう読んでもらいたいかも一緒にお伝えください。

複写 HUKUSYAの作品集・冊子制作では、作品画像と原稿から、掲載内容や誌面の構成をご相談いただけます。絵本にしたい場合も、原画の取り込み、文章と絵の整理、冊子のデザインを分けながら、今ある原稿から必要な作業を一緒に確かめます。

← コラム一覧に戻る

LET'S TALK / ご相談

作品や資料のこと、
ご相談ください

撮影・スキャン、作品集、Web制作など、
残したいものと、どのように使いたいかをお聞かせください。

ご相談・お見積もり
料金・納期ご相談・お見積もり