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古いカタログを周年事業に生かす|冊子・製品比較・展示のつくり方

書庫に残る一冊を、何を伝える資料に変えられるでしょうか。同じカタログから三つの完成例を作り、資料の見どころと、伝わる見せ方を考えます。

古い製品カタログと、その写真を大きく生かした新しい冊子を並べたイメージHUKUSYA / JOURNAL

周年の冊子や展示を企画するとき、書庫に眠っていたカタログが候補に挙がることがあります。昔の商品が載っている。表紙のロゴが今とは違う。けれど、そのまま数ページを載せるだけでは、何を見てほしいのかが伝わりません。

古いカタログには、製品の姿に加えて、その製品をどんな言葉で、誰に届けようとしていたかが残っています。周年事業で生かしたいのは、そこまで含めた一冊の中身です。

この記事では、同じカタログから「年表のある冊子」「製品を比べる見開き」「表紙を見せる展示」を組んでみました。完成例を見ながら、自社の資料なら何を伝えられそうか、考えてみてください。

古い一冊の、どこに目を留めるか

最初から掲載ページを決めようとせず、まずは一冊を通して眺めてみます。気になるのは商品そのものだけではありません。大きく扱われている写真、繰り返し出てくる言葉、使う人や部屋を描いた場面。そうした箇所に、記事や展示の切り口が見つかります。

1998年版と2026年版のカタログ。橙色と白色の卓上灯を、それぞれ異なる言葉と紙面で紹介している。
二冊のカタログ。製品の形、表紙の言葉、写真と文字の置き方を見比べます。各画像を開くと、紙面を拡大して確認できます。

例えばこの二冊では、1998年版の卓上灯は直線的な傘とまっすぐな支柱、2026年版は丸い傘と曲線の支柱を持っています。表紙の言葉も「机の上に、ひとつの灯り。」から「灯りと、暮らしの余白。」へ変えました。

形に目を向ければ、製品を見比べるページが作れます。言葉と写真の関係に目を向ければ、「灯りをどう紹介しているか」を読むページになります。同じ二冊でも、取り上げるところによって話の中心が変わります。

「古いから載せる」から一歩進めて、見た人に何を発見してほしいかを一文にする。それが、資料選びとデザインをつなぐ出発点です。

冊子では、カタログを時間の流れの中に置く

会社を初めて知る人にも、資料がいつ頃のものかを伝えたい。そんな場合は、年表にカタログの表紙を添える構成が考えられます。出来事を文章だけで並べるよりも、当時の文字や色が目に入り、ページを読むきっかけになります。

1998年版と2026年版の表紙を配置し、年表で二冊の発行年を結んだ見開き。
カタログの発行年を年表に置き、表紙を時代の目印にした見開き。写真の大きさと余白をそろえ、二冊を見比べやすくしています。

元の見開き原稿では、左右に一冊ずつ置き、下に発行年を示しました。表紙を切り抜かずに見せているのは、製品だけでなく、誌名や言葉も一緒に読んでほしいからです。写真の大きさと余白をそろえると、違いを探しながら左右を見比べられます。

自社の沿革と組み合わせるなら、工場の開設や事業の転換など、その時期に起きた出来事を加えることもできます。ただし、カタログの発行年と、会社の創業年・製品の発売年は別の情報です。年表へ加える出来事は、社内の沿革資料や担当者に確認します。分からない期間を、もっともらしい物語で埋める必要はありません。

実際の周年サイトでも、創業の話、事業の歩み、商品の歴史を分けて紹介する構成が見られます。[1] すべてを一つの年表に詰め込むより、今回伝えたい歴史を選ぶと、読み手が追いやすくなります。

製品比較は、形の違いが目に入る見開きに

製品に関心のある取引先や社員に見せるなら、表紙を並べるだけでなく、製品の形が分かる大きさで配置してみます。読者が先に違いを見つけ、その後で説明を読める順番を作ります。

橙色と白色の卓上灯を大きく置き、傘・支柱の形と表紙の言葉を添えた比較の見開き。
傘と支柱の形、表紙の言葉を比べる見開き。背景と文字量を抑え、製品の違いに目が向く構成です。

この案では、二つの製品に「直線」「曲線」という見出しを添えました。説明は、傘と支柱の形を短く言い表す程度にとどめています。「どこが変わったか」をすべて文章で説明しなくても、画像がその役割を担います。

一方で、「新しい製品へ進化した」とまでは書いていません。見た目が異なることと、後継機種であることや性能が向上したことは別だからです。開発者の話や当時の仕様書があれば、その理由まで紹介するページへ深められます。なければ、形や掲載表現の比較だけでも一つの読み物になります。

実際のカタログから製品を取り出す際は、周囲の説明や型番との関係も確かめます。元のページ全体を残しておくと、切り抜いた画像がどの商品を指していたのか、後から確認できます。

展示では、一枚の表紙を主役にする

会場の入口や会社の受付では、冊子のように順番に読んでもらえるとは限りません。遠くから目に入り、近づくと意味が分かる。展示では、その二段階を意識します。

カタログ表紙を大きく掲示し、『灯りを、どう語ってきたか。』という見出しと短い解説を添えた展示パネル。
表紙を主役にした展示パネル。見出し、短い解説、資料名・発行年の順に読めるように組みました。

ここでは、1998年版の表紙を一枚、大きく見せました。製品を一点だけ写した写真と、その下の「机の上に、ひとつの灯り。」という言葉。写真で形を見せ、言葉で使う場所を思い浮かべてもらう組み合わせです。解説欄にもこのコピーを引き、表紙の小さな文字を読まなくても、注目してほしい言葉が目に入るようにしました。

表紙のデザインを見せる展示なら、誌名や余白を含めて一枚として扱う意味があります。一部分だけを拡大する場合も、近くに表紙全体の小さな図を添えると、どこから取り出した部分なのかが分かります。

商品、広告、年表、当時の写真などを組み合わせる企業の歴史展示もあります。[2] 資料が複数ある場合も、一枚一枚に同じ長さの説明を付けるより、主役になる資料と背景を補う資料を分けて考えてみてください。

見せ方が決まると、撮影で残したいものが分かる

三つの完成例では、使った資料が同じでも、必要な画像の範囲や大きさが違います。

伝えたいことから、見せ方と必要な画像を選ぶ
伝えたいこと 向く見せ方 残しておきたい画像
会社の歩みの中で、資料の位置づけを伝える 年表のある冊子 表紙全体。誌名や発行年も読めるように。
製品の形や、紹介する言葉の違いに気づいてもらう 製品比較の見開き 拡大して使う製品の細部と、型番・説明を含む元のページ。
会場や受付で、一枚に足を止めてもらう 表紙を生かした展示 文字・色・余白を含む表紙。予定する出力サイズでの見え方も確認。

だから、撮影・スキャンの相談では「このカタログをデータにしたい」に加えて、「冊子に小さく載せたい」「製品の部分を大きく使いたい」「展示パネルにしたい」と伝えると、必要な仕様を具体的に検討できます。掲載サイズが未定なら、おおよその使い道から相談して構いません。

綴じ目に近い写真や、光沢のある紙、傷みのある冊子は、原本の状態に合わせた取り扱いも必要です。相談前に無理に開いたり、製本をほどいたりせず、まず状態を伝えてください。

公開する前には、掲載文の事実確認と、画像・文章の利用範囲も確認します。特に外部の写真家や制作会社が関わった広告、人物が写る写真、社内向けの情報は、冊子とWebのどこまで使うかを含めて担当者と整理しておきます。

まずは一冊から、伝えたいことを探してみる

書庫の資料をすべて調べ終わるまで、周年企画を待つ必要はありません。気になる一冊を開いて、「誰に」「どのページを」「何に気づいてもらうために」見せたいかを考えてみる。その小さな案から、必要な資料や制作物が見えてきます。

複写では、古い広告やカタログの撮影・スキャンから、画像を使った冊子・Web制作までご相談いただけます。「資料はあるけれど、どう見せるか決まっていない」という段階でも、お持ちの資料と周年事業で伝えたいことをお聞かせください。

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参考資料・出典

  1. クロバー株式会社「100周年記念サイト」。創業エピソード・事業史・商品史を分けた構成を参照。
  2. 味の素株式会社「食とくらしの小さな博物館/社会と歩んだ一世紀」。商品・広告・年表・写真などを組み合わせた展示の案内を参照。

参照日:2026年9月28日。

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