古いポスターを、全体と読める文字で紹介する
古いポスターをWebで紹介するとき、全体の意匠と必要な文字をどう残すか。確認できる会場・住所・月日と、分からない開催年を分け、同じ画像の全体と部分を組む案を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

地域の資料紹介ページに、昔の催しのポスターを載せたい。絵や手描きの文字を一枚の姿で見せると、細かな会場や月日は小さくなります。読んでほしい文字を拡大すると、今度はその文字が一枚のどこにあるのか分かりにくくなります。
全体を残し、読む場所を示し、確認できる文字を添える。この三つを一つの紹介ページに組む案です。
ここでは、クリーブランド美術館が公開する《Trilogy of Months, state II》の画像で、全体と必要な文字を紹介するページを考えます。
全体の姿と、読む場所を並べる

左には、紙の端と周囲の余白まで含むポスターの全体画像を置きました。中央の絵、上部の赤い文字、下部の月日が一枚の中でどう並ぶかを見られます。紙の折れや色も、この公開画像のまま残しています。
右には、同じ画像から①上部の会場と住所、②下部の月日の表記を取り出しました。上部は会場名と住所の頭から末尾まで、下部は月日の一行と紙の下端・右端までを含めています。部分図だけで紙全体を見たことにはせず、全体と見比べられる位置に置きます。
確認した文字を、画像のそばで読めるようにする
この画像で確認したのは、次の三つの表記です。手描きの文字の姿は画像で残し、綴りは通常の文字でも添えます。
- ① 会場表記
- GALERIE VOLLARD
- ① 住所表記
- 6 RUE LAFFITTE
- ② 月日の表記
- 20 FÉVRIER 10 MARS
月日には「日本語の補足:2月20日/3月10日」を添えています。元の表記と、紹介する側が付けた日本語を分けることで、どの文字を画像で確かめたかが分かります。
スマートフォンでは、全体、①、②を上から順に置く案です。読むための文字を画像だけに閉じ込めず、本文でもたどれるようにします。W3Cの「Images of Text」の解説にも、ポスター画像と対応する通常の文字を併記する例があります。
分からない開催年を、制作年代で埋めない
月日の表記からは、開催年を確認できませんでした。この紹介では「開催年:未確認」と残します。ポスターに書かれた月日と、その催しが実際に開かれた記録も、同じ情報としては扱いません。
美術館が示す「1896〜1906年頃」は、この作品の推定制作年代です。作品情報として別に載せ、開催年の欄へ移しません。あとから別の資料で年が確認できた場合も、何を根拠に説明を加えたかが分かる形にします。
部分を見たあと、一枚の中の位置へ戻る

切り替えて見る画面では、全体から①の会場・住所へ進み、次に②の月日を見て、全体へ戻る順を用意します。①と②は全体図の範囲にも示し、下部を見ているときは「2/2」と表示する案です。
「全体へ戻る」では直前の位置を残し、同じ部分へ戻れるようにします。元の全体画像を別に開く入口も設けます。細部を見るたびに一枚の中の場所を見失わず、意匠と文字の両方を確かめられる構成を考えます。
元画像と、確認したい文字をそろえて相談する
手元のポスターを紹介するなら、まず全体の画像と、読む必要がある文字をそろえます。すでに分かっている資料情報、分からない年や言葉、文字を確認する人、公開できる範囲も合わせて伝えると、画像で見せる場所と文章で説明する内容を話せます。
複写の地域資料の記録・展示・冊子・Web紹介では、資料を記録する画像と、その後に見せる形を相談できます。画像を新たに撮る必要があるか、手元の画像を使えるか、部分をどう切り替えるか、文字の確認・編集を誰が担うかを、用途に合わせて決めます。
冊子にも残す場合は、図録の掲載順・ページ配分・キャプションの基本も参考になります。Webで誰に何を見てもらいたいかと、手元の全体画像をご相談時にお知らせください。
参考資料
- The Cleveland Museum of Art, Trilogy of Months, state II, 1978.1051 — 作品情報と推定制作年代。
- The Cleveland Museum of Art, Open Access — 本作品の公開画像はCC0。同じ画像から全体と部分を構成。
- W3C, Understanding SC 1.4.5: Images of Text — ポスター画像と通常の文字を併記する例。



