原物が手元にない地域資料は、画像の出所を添えて紹介する
古い地域資料の原物が手元になくても、画像の出所と写っている範囲を確かめることから紹介を考えられます。原資料と画像の情報を分け、分からない部分を埋めずに掲載内容を決める方法を示します。
HUKUSYA / JOURNAL

地域の古い写真や文書を紹介したくても、原物が手元になく、以前に受け取った画像や公開されている複製しかないことがあります。まず、その画像が何を写したものか、どこから得たか、どの範囲が写っているかを確かめ、分かる範囲で掲載内容を考えます。
原物を確認できないことと、何も紹介できないことは同じではありません。画像の出所を示し、確認できた情報と未確認を分ければ、見る人が元の資料をたどれる紹介を相談できます。撮影日や欠けた文字を、説明を整えるために補う必要はありません。
まず、手元の画像が何を写したものか確かめる
画像を受け取った相手、載っていた冊子やWebページ、元のファイル名などを見返します。写真そのものを写した画像なのか、写真が載る本のページなのかによって、残しておきたい周囲の情報も違います。
出所が分かる公開画像なら、その掲載ページで資料名や利用条件を確認します。見覚えのある場所でも、写っている建物や人を推測だけで特定せず、説明に使う根拠を分けておきます。出所をたどれない画像は、その事情も相談時に伝えます。
原資料の情報と、画像を得た情報を分ける
元の資料が作られた時期と、画像が作られた日や受け取った日は別の情報です。国立国会図書館のメタデータ流通ガイドラインでも、原資料の情報とデジタル化資料の情報を区別して説明しています。[1]紹介文でも、どちらについて書いているか分かる形にします。
ここでは、国立国会図書館が公開する『大阪府写真帖』再版の「堺市全景」を例にします。書誌にある大正3年(1914)は冊子の出版年であり、この写真を撮った日と同じだとは決めません。編者の「大阪府」も、写真の撮影者名へ置き換えないようにします。

この例で使うのは公開されたページ画像です。原物の冊子や写真の原版を手元で調べたものではなく、写真の撮影日・撮影者や原物の現在の状態まで確認した記録ではありません。公開画像から分かることを、原物を調べた結果として書かないようにします。
切り取った範囲と、残す元画像を対応させる
紹介したい場面を大きく見せるために、画像の一部を使うことはあります。その場合も、受け取った元画像を残し、どの部分を掲載するかを分けて用意します。余白や隣のページを省いたことが、後で分かるようにするためです。

この抜粋は今回の編集で行ったもので、以前からこの形の写真が残っていたという例ではありません。元のページでは見える範囲が、紹介用の画像では省かれています。切り取った画像だけを、原資料の全体と見せないことが大切です。
もともと受け取った画像に欠けがある場合は、「全体は未確認」「右側は画像に含まれていない」など、分かる範囲を書きます。欠けた部分を描き足した再現図を使うなら、元資料の画像とは分けて示します。元の文字や姿を復元できた扱いにはしません。
紹介ページには、確認したことと未確認を並べる
画像の下に出所だけを小さく添えるより、元の資料についての欄と、今回使う画像についての欄を分ける案があります。この例では、次のような記載を画像と一緒に置けます。
原資料についての記載案
- 資料名:『大阪府写真帖』再版。大阪府 編、[大阪府]、大正3(1914)
- 紹介する箇所:「堺市全景」。公開画像の23コマ目と、その前の説明ページ
- 未確認:写真の撮影日・撮影者、手元で見ていない原物の状態
今回使う画像についての記載案
- 提供元:国立国会図書館デジタルコレクション。元の公開ページへのリンクを添える
- 今回の取得日:2026年10月15日
- 掲載する範囲:公開ページ画像の一部を抜粋。元のページ画像は保持
これは紹介のための記載案です。写真の撮影日を調べ直したり、来歴を確定したりした結果ではありません。詳しい調査が必要な項目は、確認できたことと分けたまま、資料を管理する人や確認を担当する人へ渡します。
掲載の範囲と、既存画像からできる制作を相談する
画像が見られることだけで、どの用途にも使えるとは限りません。提供元の利用条件、出所の書き方、掲載する範囲を確認します。今回の公開ページは保護期間満了の表示を確認して使っていますが、別の画像にもその条件が当てはまるとは扱いません。
制作を相談するときは、手元の元画像、提供元の情報、分かっている資料名・年代、切取りや色調整の有無を添えます。使いたい掲載寸法と、冊子・展示・Webのどこに載せる予定かも伝えると、確認する範囲を整理できます。
複写の地域資料の記録と活用では、写真・古地図・歴史資料の撮影やデータ化と、冊子・Webでの紹介を相談できます。すでに画像がある場合の編集は、作品集・カタログ・Web制作の案内もご覧ください。原物を再撮影できるか、今の画像でどの大きさまで使うかは、素材を見て確認する範囲です。
手元の画像から地域資料の紹介を相談する際は、不明な項目を埋めてからでなくても構いません。何を残していて、何が分からず、どこで紹介したいかをお聞かせください。原物の真正性や所在の調査、鑑定・解読・復元、許諾取得の代行を一律に含めるものではありません。
参考資料
- 国立国会図書館「メタデータ流通ガイドライン:別紙7」2.デジタル化資料のメタデータと原資料のメタデータ。元資料と画像の情報を区別する背景として参照。
- 図版の書誌と利用条件:『大阪府写真帖』再版の書誌、国立国会図書館「ウェブサイトからのコンテンツの転載」。当該23コマの公開範囲を確認。別資料へ一律に適用しない。



