絶版になった自分の本をもう一度出したい 再刊前に確かめる契約と使える原稿
絶版になった自著を再刊する前に、旧版の刊行状況と契約、本文・挿絵・写真・組版の利用条件を確認。旧版と同じ本を出す案と、元原稿から選び直す案を材料表で比べます。
HUKUSYA / JOURNAL

自分の本が書店で買えなくなり、もう一度読んでもらいたい。手元の一冊をそのまま複製する前に、旧版の刊行状況と契約、今回使う原稿・画像の条件を確認しましょう。
旧版と同じ本を出し直すのか、自分の元原稿から内容を選び直すのかで、必要な材料は変わります。販売されていないという情報だけで再利用できる範囲を決めず、確認する仕事と制作する仕事を分けます。
「売っていない」と、契約がどうなっているかを分ける
書店で見つからない、取り寄せができない、出版社から絶版と案内された。それぞれの情報について、誰からいつ確認したかを残します。在庫の有無と、契約や今後の刊行の扱いを一つの意味にしないようにします。
旧出版社との契約書、変更の合意、終了などに関する連絡を探します。契約の対象、期間と更新、別の制作先から出す場合の条件を読み、不明な点は旧出版社などの当事者へ確認します。古い契約の効力や終了を、書名と刊行年だけで判断しません。
文化庁の著作権に関する契約の説明は、利用許諾と著作権の譲渡を分け、利用方法・条件や期間の確認を案内しています。ここでは確認項目を整理する手がかりとし、個別の出版契約が終わったという結論には使いません。
旧版を残すか、元原稿から選び直すかを決める
旧版を出し直す希望なら、本文だけでなく、挿絵、写真、表紙、ページの組み方や奥付の扱いを挙げます。完成した本を一冊持っていることと、そこにある材料を今回使えることを分けて確かめます。
内容を選び直す希望なら、使いたい文章や作品を先に選びます。元原稿があっても、旧版で直した箇所が反映されているかは別の確認です。新たに組み直すことだけで、元原稿の利用条件の確認まで済むわけではありません。
次は「川辺の手帖」という書名を置いた、自作の材料表です。元原稿12編がある案を考え、旧版の修正との照合、挿絵・写真の再利用、組版データの提供は未確認という条件を置いています。実在の既刊書や契約、利用可能な材料を示す表ではありません。
| 材料 | 旧版を出す案 | 選び直す案 |
|---|---|---|
| 本文 | 12編を対象に、旧版の修正と元原稿を照合する。 | 選ぶ8編を特定し、使う原稿の版を確認する。 |
| 挿絵・写真 | 旧版の掲載物ごとに、今回の利用条件を確かめる。 | 残す画像を選ぶ。新しい画像も、使える範囲を確認する。 |
| 組版・表紙 | データの提供と、旧版の体裁を使える範囲を相談する。 | 新しく組む範囲を決め、必要な制作物を用意する。 |
| 今回の表示 | 旧版の記録と、今回の刊行情報を分けて整理する。 | 選び直した内容と変更点を、今回の情報に合わせる。 |
二つの案は、再刊できると確認された選択肢ではありません。表のどちらを希望するかを決めたうえで、契約と各材料の条件を確認します。8編だけに減らす場合も、その本文を使う条件の確認を省きません。
確認できた材料と、不明な材料を分けて制作先へ伝えます。旧版のページを複製する作業を先に進めず、使える範囲が決まったところから、再編集や新しいデザインの見積もりを相談しましょう。
本文・挿絵・写真を、誰の材料かで整理する
自分が書いた本文、別の人に頼んだ挿絵、撮影してもらった写真、寄稿や推薦文などを分けます。書名に自分の名前があることだけで、一冊のすべてについて同じ条件だと考えないようにします。
過去の許諾や依頼の記録があれば、対象の材料、利用する版や媒体、期間、名前の表記などを確認します。以前の本への掲載と、今回の刊行への利用を区別し、条件が不明な材料を「前にも使ったから」と追加しません。
家族が再刊を考える場合も、誰が利用の相談や合意をする立場かを確認します。原稿や本を預かっていることだけで、権利者や契約の当事者を決めず、不明な点は専門家へ相談します。
使える原稿の版と、欠けているものを確かめる
元原稿、校正後の原稿、旧版の本、画像データがあれば、何がどの版かを整理します。旧版での訂正や追加が、手元の原稿に戻されているかも見比べます。
元の編集データがない場合は、今回使えると確認した本文・画像から、新しく組み直す範囲を相談します。旧出版社がデータを提供するか、どの条件で使えるかも未確認のまま、引き渡される前提で進めないようにします。
本しか残っていない場合も、まず利用範囲を確認します。その後に、撮影や文字の起こし直しが必要かを相談し、文字の誤りや画像の状態を誰が確かめるかを決めます。旧版と同じ品質で再現できるとは、資料を見ずに約束しません。
確認できた範囲から、今回の冊子を相談する
旧版の情報、今回の希望、利用条件を確認した材料、まだ分からない材料を分けて伝えます。同じ内容を残すのか、一部を選び直すのか、何部を誰に届けたいかがあると、制作範囲を相談しやすくなります。
契約や権利の判断が必要な点と、編集・印刷の希望を別にします。この材料表を作ったことを、契約終了や再刊の許諾、権利者の認定が済んだ記録にしないようにしましょう。
複写 HUKUSYAの冊子の再編集・新しいデザインと印刷を相談する際は、今回使えると確認した原稿・画像と、希望する構成をお知らせください。旧出版社との契約解除や交渉、権利者の認定まで標準の制作内容に含むと考えず、必要な確認を先に分けて進めます。



