買った本ならスキャンを頼める? 自分の利用と業者への複製依頼を分ける
買った本のスキャンを頼む前に、自作文・許諾のある資料・市販出版物を分け、複製する人と使う人、依頼する作業の条件を確かめます。
HUKUSYA / JOURNAL

買った本を、自分で読み返せるデータにしたい。そのためにスキャンを頼むときは、本を持っていることと、今回の複製を依頼できることを分けて確かめましょう。「自分だけが使う予定です」と伝えるだけで、業者への依頼条件まで決まるわけではありません。
まず、何を複製するのか、誰が複製の作業をするのか、できたデータを誰が何のために使うのかを整理します。自作文だけの原稿、利用許諾を得た資料、市販の出版物を混ぜず、資料ごとに相談しましょう。
「自分で使う」と「誰が複製するか」を分ける
文化庁の令和8年度著作権テキストの印刷頁65では、私的使用のための複製について、個人や家庭内など限られた範囲で、仕事以外に使う目的であることと、使用する本人が複製することなどの条件を説明しています。
同じ説明には、使用者を補助する他者へ作業を頼める場合も含まれています。ただし、これを理由に、あらゆる複製代行へ私的使用の規定が当てはまるとは判断できません。本人と依頼先が担う作業を具体的に示し、個別の適法性や許諾の要否は専門家等へ確認してください。
読む人が自分だけかという確認と、複製する人や作業の形についての確認は、別の問いです。データを後で配布する、仕事に使うといった予定があれば、それも最初から伝えます。
短い自作文から、依頼条件を比べる
次は本記事で書いた短い文案です。実際の出版物や市販本のスキャン画像ではありません。この文案だけを収める冊子案と、別の人の図版を加える冊子案で、相談時に示す材料を比べます。
冊子案「窓辺の葉」
窓辺の葉が、朝の光に透けています。
本記事の自作文案。外部の文章・写真・図版は使用していない。冊子の制作・印刷や複製依頼を実施した記録ではない。
| 冊子の案 | 相談時に示す材料 |
|---|---|
| 自作文だけ | この文案だけを使うこと、複製を頼む範囲、データを使う人と用途。 |
| 図版を加える | 追加する図版の出所と権利関係、複製・利用について確認できる条件、依頼する作業。 |
表は準備事項を比べたもので、二つの案の取扱可否を判定したものではありません。図版を加える案も実際には制作せず、他者の作品を取得・複製していません。
自分が文章を書いた冊子でも、写真、挿絵、寄稿文などが含まれるなら、それぞれの条件を確認します。本全体をひとまとめに「自分の本」と説明せず、依頼したい箇所を示しましょう。
許諾がある資料と、市販の本を同じ扱いにしない
利用許諾を得ている資料なら、誰から、何について、どの範囲の複製や利用を認められているかを説明できるようにします。以前に冊子へ載せることを認められた場合も、今回のデータ化や使い方まで含むかを確認しましょう。
市販の本や雑誌は、購入した経緯だけで依頼可能と決めず、書名、著者や出版社、取り込みたい範囲、予定する用途を整理します。確認が済む前に、依頼先へ本を送り、丸ごとの複製を進めてもらう前提にはしません。
判断に迷う場合は、権利者等への確認や専門家への相談を先に行います。依頼先が画像を作れることと、今回の資料をその条件で取り扱えることも分けて確かめます。
資料を送る前に、相談する内容をそろえる
相談には、資料の種類、作成者や出所、複製したい箇所、利用する人と用途を添えます。許諾に関する記録があれば、今回の依頼に関係する条件を示し、未確認の部分も区別してください。
そのうえで、原物の寸法や綴じ方、傷み、希望する画像の範囲と納品方法を伝えます。権利関係の確認と、現物をどのように撮影・取り扱えるかの確認を、それぞれ進めましょう。
複写 HUKUSYAの作品・資料の画像化について相談するときも、資料の種類と権利関係を先にお知らせください。取扱可否や作業範囲を個別に確認し、許諾が確認できていない出版物の複製代行を前提にしない相談につなげます。
先に確かめるのは、依頼する範囲
必要なのは、持っている本を一律にデータ化することではなく、今回扱える資料と、頼む作業を明らかにすることです。自作文、条件を確認できる資料、市販出版物を分け、誰が何を複製し、誰が使うのかを具体的にしましょう。
条件が分からない資料は確認を進め、依頼できることが分かった範囲から画像化の仕様を相談します。画質や納品形式を決める前に入口をそろえると、現物の送付や制作の手戻りを減らす相談ができます。



