作品集をモノクロにする前に 色で伝わっていることを確かめる
作品集をカラーにするか、モノクロにするか。北斎《凱風快晴》の同じ図版を使う掲載案から、色の関係と形・線のどちらを見返したいかを考え、作品ごとの希望と冊子の仕様を整理します。
HUKUSYA / JOURNAL

絵や版画、書を作品集にまとめるとき、カラーで載せるか、モノクロにするかは、本の印象を左右します。まずは、その一冊で作品の何を見返したいかを考えてみましょう。
色同士の関係や、特定の色そのものを伝えたい作品もあれば、線や構成に目を向けたい作品もあります。作品を一つずつ見ながら、残したい情報に合う掲載方法を選べます。
一つの作品から、残したい情報を選ぶ
作品の形に加えて、色を思い浮かべる一枚はあるでしょうか。色を使った表現や、紙の色と描いたものの組み合わせも、その作品を見る手がかりになります。
一方で、線の流れや画面の組み立てを中心に見せる掲載も考えられます。「何を見てもらうための頁か」を言葉にすると、カラーかモノクロかを相談する出発点になります。
《凱風快晴》を、色を残して見る

メトロポリタン美術館(The Met)の作品記録で「赤富士」とも紹介される《凱風快晴》です。[1] この図版では、赤褐色の山と青い空、白い雲の重なりが見えます。下方には、樹林が細かく描かれています。
山の輪郭を見ることに加え、赤褐色と青が並ぶ画面を残したいなら、その色の関係を伝えられる掲載が希望になります。ここでは、所蔵番号JP9の図版で見える範囲を例にしています。
同じ図版のモノクロ掲載案を見比べる

右の案でも、山の輪郭や雲、樹林の配置を見られます。色は明暗へ置き換わり、赤褐色の山と青い空の組み合わせは、この案からは伝わらなくなります。
「山の形を見たい」と「赤富士の色も見返したい」では、頁へ残したい情報が変わります。モノクロの案は、同じ画像から作った編集上の掲載例として比べています。
作品ごとに、カラーとモノクロの希望を考える
色の関係を見せたい作品には、「この赤と青を残したい」といった希望を添えられます。線や構成を中心に見せたい作品なら、その読み方に合うモノクロの掲載を候補にできます。
書の作品でも、墨の濃淡や紙の色をどのように残したいかを考えます。作品の種類だけで一律に決めず、手元の画像で何を見てもらいたいかを確認していきます。
作品ごとの希望が分かると、全頁カラー、モノクロ、一部をカラーにする方法など、冊子の仕様を相談しやすくなります。対応できる組み方と費用は、今回作る一冊の内容に合わせて確認します。
残したい色や形を添えて、作品集を相談する
掲載案を決めた後も、カラーの元画像と、今回の掲載に使う画像を分けて残しておくと、別の機会に掲載方法を考えるときに参照できます。
複写の作品集・カタログ制作では、手元の画像や原稿をもとに、作品の並びと紙面、冊子の仕様をご相談いただけます。色を残して見せたい作品と、線や形を中心に見せたい作品を添えて、ご希望をお聞かせください。画像の調整範囲や使う媒体については、品質・取り扱いでもご案内しています。
参考資料・画像出典
- The Metropolitan Museum of Art, South Wind, Clear Sky (Gaifū kaisei), also known as Red Fuji(JP9)。
- The Metropolitan Museum of Art, Open Access。個別作品記録にPublic Domainと表示された図版を使用しています。
モノクロの図は同じ公開画像を加工して組んだ掲載案で、画面上の編集提案です。



