複写 HUKUSYA
カテゴリ編集と活用
タグ

作品集をモノクロにする前に 色で伝わっていることを確かめる

作品集をカラーにするか、モノクロにするか。北斎《凱風快晴》の同じ図版を使う掲載案から、色の関係と形・線のどちらを見返したいかを考え、作品ごとの希望と冊子の仕様を整理します。

同じ《凱風快晴》をカラーとモノクロ化した掲載案で並べた画像。HUKUSYA / JOURNAL

絵や版画、書を作品集にまとめるとき、カラーで載せるか、モノクロにするかは、本の印象を左右します。まずは、その一冊で作品の何を見返したいかを考えてみましょう。

色同士の関係や、特定の色そのものを伝えたい作品もあれば、線や構成に目を向けたい作品もあります。作品を一つずつ見ながら、残したい情報に合う掲載方法を選べます。

一つの作品から、残したい情報を選ぶ

作品の形に加えて、色を思い浮かべる一枚はあるでしょうか。色を使った表現や、紙の色と描いたものの組み合わせも、その作品を見る手がかりになります。

一方で、線の流れや画面の組み立てを中心に見せる掲載も考えられます。「何を見てもらうための頁か」を言葉にすると、カラーかモノクロかを相談する出発点になります。

《凱風快晴》を、色を残して見る

北斎《富嶽三十六景 凱風快晴》の全体。赤褐色の富士、青い空、白い雲、下方の樹林が描かれている。
葛飾北斎《富嶽三十六景 凱風快晴》、1830–32年頃。The Metropolitan Museum of Art、所蔵番号JP9。Rogers Fund, 1914。画像:The Met Open Access(CC0)。

メトロポリタン美術館(The Met)の作品記録で「赤富士」とも紹介される《凱風快晴》です。[1] この図版では、赤褐色の山と青い空、白い雲の重なりが見えます。下方には、樹林が細かく描かれています。

山の輪郭を見ることに加え、赤褐色と青が並ぶ画面を残したいなら、その色の関係を伝えられる掲載が希望になります。ここでは、所蔵番号JP9の図版で見える範囲を例にしています。

同じ図版のモノクロ掲載案を見比べる

同じ《凱風快晴》の全体を、カラーの掲載案とモノクロ化した掲載案へ置いた紙面。
同じ図版を使った紙面の案。右はモノクロ化した掲載案です。図版全体の構図をそろえ、色を残した場合との違いを見られるようにしています。画像を開くと紙面を確認できます。

右の案でも、山の輪郭や雲、樹林の配置を見られます。色は明暗へ置き換わり、赤褐色の山と青い空の組み合わせは、この案からは伝わらなくなります。

「山の形を見たい」と「赤富士の色も見返したい」では、頁へ残したい情報が変わります。モノクロの案は、同じ画像から作った編集上の掲載例として比べています。

作品ごとに、カラーとモノクロの希望を考える

色の関係を見せたい作品には、「この赤と青を残したい」といった希望を添えられます。線や構成を中心に見せたい作品なら、その読み方に合うモノクロの掲載を候補にできます。

書の作品でも、墨の濃淡や紙の色をどのように残したいかを考えます。作品の種類だけで一律に決めず、手元の画像で何を見てもらいたいかを確認していきます。

作品ごとの希望が分かると、全頁カラー、モノクロ、一部をカラーにする方法など、冊子の仕様を相談しやすくなります。対応できる組み方と費用は、今回作る一冊の内容に合わせて確認します。

残したい色や形を添えて、作品集を相談する

掲載案を決めた後も、カラーの元画像と、今回の掲載に使う画像を分けて残しておくと、別の機会に掲載方法を考えるときに参照できます。

複写の作品集・カタログ制作では、手元の画像や原稿をもとに、作品の並びと紙面、冊子の仕様をご相談いただけます。色を残して見せたい作品と、線や形を中心に見せたい作品を添えて、ご希望をお聞かせください。画像の調整範囲や使う媒体については、品質・取り扱いでもご案内しています。

参考資料・画像出典

  1. The Metropolitan Museum of Art, South Wind, Clear Sky (Gaifū kaisei), also known as Red Fuji(JP9)。
  2. The Metropolitan Museum of Art, Open Access。個別作品記録にPublic Domainと表示された図版を使用しています。

モノクロの図は同じ公開画像を加工して組んだ掲載案で、画面上の編集提案です。

← コラム一覧に戻る

LET'S TALK / ご相談

作品や資料のこと、
ご相談ください

撮影・スキャン、作品集、Web制作など、
残したいものと、どのように使いたいかをお聞かせください。

ご相談・お見積もり
料金・納期ご相談・お見積もり