作品集の頒布価格は印刷単価だけで決めてよい?
印刷単価に限らず、撮影・編集を含む制作費と、有料頒布・贈呈・保存の内訳を確認。自作の二価格・三頒布数の計算例から、頒布費と自己負担の範囲を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

作品集を有料で頒布するとき、印刷費を全冊数で割った額だけで価格を決めてよいのでしょうか。撮影や編集を含む総制作費、有料で渡す冊数、贈呈・保存する分、頒布時にかかる費用を分け、価格候補を比べましょう。
作った冊数すべてから収入が入るとは限りません。完売や費用の回収を前提にせず、有料で渡る数が少なかった場合と、作者が負担してよい範囲も考えます。
印刷単価の前に、今回の総制作費を確かめる
撮影・画像の準備、編集・デザイン、印刷・製本、納品までの費用など、何を計算へ入れるかをそろえます。手元の見積もりに含まれる仕事と、別に払う仕事を分けましょう。
たとえば小学館スクウェアの自費出版費用の案内も、仕様や原稿の前提、含まれない撮影・補正などの費用、販売に別費用がかかる条件を示しています。その会社の仕様付きの例を、今回の作品集の相場や複写 HUKUSYAの料金へ置き換えるものではありません。
制作費の見積もりだけでなく、頒布するときの梱包・発送・手数料など、今回必要な費用も確かめます。販売先や渡し方が違うなら、その条件で別に計算します。
作る冊数と、有料で渡す冊数を分ける
作者の保存用、関係者への贈呈用、見本などを先に分けます。印刷した冊数を、そのまま有料で渡れる数として使わないようにします。
有料で渡す予定があっても、すべてが頒布できるとは限りません。予約など確認できた数と、まだ分からない数を区別し、複数の冊数で価格候補を比べます。
部数を増やして印刷単価が下がる場合も、総額と残部の置き場所を一緒に見ます。未確認の需要を、計算を成立させるために足さないことが大切です。
二つの価格と三つの頒布数で、差額を比べる
次は、計算の仕組みを見るために置いた金額と部数です。実際の見積金額や相場、売上実績ではありません。撮影30,000円、編集30,000円、印刷・製本40,000円の合計100,000円だけを、この例の総制作費とします。
100部を作り、贈呈10部・保存10部を分けると、有料で渡せる上限は80部です。実際に有料で渡る数を80部・60部・40部、価格候補を1,000円・1,500円、1冊ごとの頒布費を200円として比較します。200円も計算用の値で、実際の送料や手数料の案内ではありません。
表の差額は「(頒布価格 − 1冊ごとの頒布費)× 有料で渡った冊数 − 総制作費」で計算します。
| 有料部数 | 1,000円案 | 1,500円案 |
|---|---|---|
| 80部 | −36,000円 | +4,000円 |
| 60部 | −52,000円 | −22,000円 |
| 40部 | −68,000円 | −48,000円 |
たとえば1,500円で80部なら、収入120,000円から頒布費16,000円と制作費100,000円を差し引いて、差額は+4,000円です。40部なら、収入60,000円から8,000円と100,000円を差し引いて−48,000円になります。
+4,000円は、この例へ入れた費用だけとの差額です。実際の利益や税務上の所得を示すものではありません。価格を上げればその冊数が売れるという意味でもなく、完売や回収を予測した表ではありません。
価格候補と、自己負担してよい額を一緒に考える
価格候補ごとに、有料で渡る冊数が少なかった場合の差額を見ます。作者が制作費の一部を負担して残したい本なのか、どこまで頒布収入で補いたいのかを考えましょう。
負担が大きい場合は、価格だけでなく、制作仕様や費用に含める仕事、部数、贈呈する範囲を比べ直します。どれを変えるかで、作品集の目的との関係も確認します。
見積もりや渡し方が変われば、同じ計算へ新しい金額を入れ直します。例の10万円や200円を、今回の本にも使える確定費用として残さないようにします。
頒布方法で変わる費用と、残った本の扱いを確かめる
手渡し、発送、販売先への委託などで、必要な梱包や手数料、報告・精算の条件は変わります。誰が何の費用を負担するかを確かめ、価格に含めるのか、別に受け取るのかもそろえます。
残った本を保管する費用や、次回も頒布するかも考えます。今回有料で渡らなかった冊数を、後から必ず売れるものとして計算へ足さないようにしましょう。
この例は価格候補を比べるためのもので、需要の調査や税務処理の判断を行うものではありません。実際の取引条件と計算へ入れる費用は、発行者が確認します。
仕様と費用範囲をそろえて、価格を判断する
複写 HUKUSYAの作品集の編集・冊子制作を相談する際は、手元の画像と原稿、希望する仕様と部数、有料頒布・贈呈・保存の内訳をお知らせください。
制作の見積もりで含まれる仕事と費用を確認し、発行者が頒布方法や価格候補、自己負担の範囲を判断します。印刷単価だけでなく、実際に有料で渡る冊数が変わる場合も比べて、一冊の作り方と価格を考えましょう。



