長い巻物を、全体と区間で見返す
長い一枚を小さく載せると、絵の細部は見えにくくなります。同じ巻物の全体と三つの区間、二つの見開きから、順番と位置を残す見せ方を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

家にある長い巻物を、家族や地域の人にも見てもらいたい。一枚をページの幅に収めると場面が小さくなり、部分だけを並べると、どこへ続く絵なのかが分かりにくくなります。全体で位置を確かめ、区間で場面をたどる。二つの見方を組み合わせる案です。
ここでは、クリーブランド美術館が公開する《Landscape(山水圖)》の画像から、全体と三つの絵の区間を並べる案を考えます。
全体を、今見ている場所の手がかりにする

上の図では、右側を1、中央を2、絵の左側を3としています。区間の番号を全体図にも置くと、部分を見たあとに「長い一枚の、どの辺りだったか」を戻って確かめられます。
左端には文字と明るい間の部分があり、その右へ山水の絵が続きます。三つに分けるのは絵の部分で、左の文字も含む公開画像の全体は別に残します。全体図は位置を見るための縮小で、細かな文字まで読むためには使いません。
隣の区間にも、つながる場所を残す
この案では、右の区間1から中央の2、左の3へ進みます。中国の手巻き巻物を右から左へ少しずつ広げる見方を参考にした掲載順です。文字の解読や訳文を付ける作業は、この三分割に含めていません。
区間1・右側では岸辺と水面、区間2・中央では木や家のある場面、区間3・左側では山あいの大きな建物へと目を移します。元の絵を反転せず、上から下までの範囲と縦横比を保って載せます。
隣り合う区間には、元画像の210画素分の同じ絵を重ねています。端まで進んだあと、次の区間の端にも見覚えのある場所が残るため、続く位置を見比べられます。三つの区間の間に、載せない場面を挟まない分け方です。
最初は、小さな建物が区間1の端で切れていました。そこで境目を少し移し、その建物を区間2の中で見られる形にしました。幅を均等にすることだけで決めず、何が境目にかかるかを絵の全体と見比べて区切ります。
冊子では、番号を次の見開きへつなぐ
最初の見開きは左ページに区間1、右ページに区間2。次の見開きは左に区間3、右に全体図を置きます。


巻物の絵の中では右から左へ進み、この冊子案では左ページから右ページへ読み進めます。二つの向きを同じものとして説明せず、1、2、3の番号で順番をつなぎます。区間ごとの絵の高さをそろえ、小さな全体図にも同じ番号を置きました。
画面でも、見ていた区間へ戻れるようにする

画面をつくる場合も、同じ全体図と三つの区間を使います。「前の区間」「次の区間」で順に送り、「全体へ戻る」では、直前に見ていた位置を全体図に残す案です。全体図から区間3を選び、気になる場面へ直接戻る入口も設けます。
さらに大きく見たいときは、その区間を開き、見終えたら同じ区間へ戻ります。別の作品に切り替わったように見せず、長い一枚の中のどこを見ているかを示します。冊子と画面を併せて作る場合は、番号と区切りを共通にしておくと、同じ場所について話せます。
手元の画像と、見せたい範囲から相談する
相談するときは、巻物の長さ、手元にある全体・部分の画像、分かっている資料情報、誰にどの場面を見てもらいたいかを伝えます。冊子なら希望する大きさ、画面なら見せたい場所や使い方も分かると、残す範囲と順番を話せます。
複写の作品集・カタログ制作では、お持ちの画像から、掲載順や説明文、紙面の構成を相談できます。原物の撮影が必要な場合の取扱い、長い画像の接合、文字の解読・翻訳、画面の方式は、それぞれ対応する範囲と費用を確認します。
これから原物を撮る場合は、大きな資料を撮影する前の確認事項も参考になります。まずは、手元の画像と、全体で残したい範囲、区間で見たい場面をご相談時にお知らせください。
参考資料
- The Cleveland Museum of Art, Landscape(山水圖), 1917.94 — 使用画像の作品情報。Worcester R. Warner Collection。
- The Cleveland Museum of Art, Open Access — 本作品の公開画像はCC0。全体と区間の編集に同じ画像を使用。
- The Metropolitan Museum of Art, Chinese Handscrolls — 右から左へ少しずつ広げる見方の説明。



