新聞で紹介された活動を記念誌へ残す――記事の再録と掲載歴、どう選ぶ?
新聞で紹介された活動を記念誌へ残すときは、記事を再録するか、掲載歴を短く記すかを目的から選びます。掲載紙や切抜きの情報と利用範囲、確認する相手をそろえ、画像化と冊子編集を分けて相談します。
HUKUSYA / JOURNAL

作品展や地域の活動が新聞で紹介され、その切り抜きを作品集や記念誌へ残したい。記事をそのまま載せるのか、新聞に紹介されたことだけを記すのか、自分たちの活動紹介として書くのか。どの形が一冊の目的に合うか、迷うことがあります。
先に決めたいのは、当時の記事を読んでもらいたいのか、紹介された事実を伝えたいのかです。残したい内容によって、記事の再録、掲載歴の記載、自分たちの資料から新たな紹介文を作る方法を選びます。その後で、実際に使う素材と利用範囲を確認します。
新聞に載った何を、一冊へ残したいのか
| 残したいこと | 編集方法の候補 | 一冊に残る内容 |
|---|---|---|
| 当時、新聞がどう伝えたか | 記事の再録 | 記事の文章や構成を含む当時の報道内容。 |
| 新聞で紹介された事実 | 掲載歴の記載 | 紙名、掲載日、掲載面、紹介された話題。 |
| 自分たちの活動内容 | 自分たちの記録から紹介文を作る | 確認できる活動と、今回の編集目的に合う説明。 |
三つは併用できます。ただし、記事を載せれば作品や活動の説明がすべて足りるとは限りません。反対に、掲載歴だけでは記事本文を読めません。誰へ何を伝える一冊かに戻り、必要な内容を選びます。
同じ一件を、記事再録と掲載歴で比べる
次は、説明用に作られた架空紙「まちの便り」の、2014年6月18日朝刊第3面という設定の一件です。実在の新聞や取材、転載許可を得た事例ではありません。同じ記事を、本文として残す案と、掲載された事実を記す案で比べます。

再録案では、次の見出しと二段落に、同じ掲載情報を添えます。
同じ通りを、写真で見比べる
地域写真の会は、公民館の展示室で、会員が撮ったまちなみの写真を紹介する。昔の一枚と近年の一枚を並べ、建物や道の変化を見比べられる構成にした。
写真には撮影時期や場所が書き添えられている。会は、来場者から寄せられた情報も、元の写真と区別して記録する予定だ。
掲載歴案は、「2014年6月18日、『まちの便り』朝刊第3面に、地域写真の会の展示を紹介する記事が掲載。」という一文です。掲載された事実は伝えられますが、昔と近年の写真を並べる構成や、来場者からの情報を記録する予定という、本文の説明はこの一文に含まれません。
ここで比べるのは、どちらが優れているかという実験ではなく、一冊に残る内容です。当時の言葉を読み返してほしいなら再録、新聞で紹介されたことを伝えたいなら掲載歴を候補にします。架空記事で示した編集例を、実新聞の利用許可に置き換えないようにします。
記事に書かれた予定を、実施結果へ変えない
この例の二段落目は、来場者から寄せられた情報も記録する「予定」です。記事だけから、展示が実際に開かれたことや、情報が集まった結果までを確定しません。再録する場合は原文を保ち、自分たちの活動紹介を書く場合は、開催記録など別の資料へ戻ります。
新聞記事を短く言い換えることと、自分たちの確認済み資料から新たな紹介文を作ることも分けます。案内、実施記録、作品情報などから何が分かるかを確かめ、予定と実施した内容を混ぜずに原稿へします。
再録する形と利用範囲を決め、掲載元の案内を確認する
記事を再録したい場合は、全体か一部か、写真も含むか、紙冊子だけかPDFやWebにも載せるか、部数、掲載予定の大きさを整理します。対象の記事と使い方を具体的にしてから、掲載元の案内や権利者へ確認します。
朝日新聞社の案内は、記事や写真などの利用について、原則として先に許諾を得ることと、私的な複製・引用・授業等の例外の案内を分けています。記事を持っていることだけで、配布する冊子への利用条件が整ったとは判断しません。実際の利用が例外に当たるかも、利用内容に応じて確かめます。参考資料1
毎日新聞社の案内では、出版物や印刷物などへの利用を事前に申し込み、利用できるかを判断する流れを示しています。同社が権利を持たない著作物については、別に権利者の許諾が必要だとしています。記事、写真、その他の素材を同じ確認で済むと決めないための参考になります。参考資料2
日刊鉄鋼新聞の申請書には、掲載日・面・見出し、利用目的、媒体や配布方法、複製数、社史・記念誌の発行部数などの欄があります。使う形と部数をそろえて相談する一例です。同社固有の条件を、全新聞や別の案件へそのまま当てはめるものではありません。参考資料3
出典を書いたことや、文章を要約・言い換えたことだけで、自由に再利用できるとは説明しません。再録案と掲載歴案を選ぶ編集上の判断と、実際の文章・写真・表記の利用条件の確認を分けて進めます。
掲載できる原稿と、確認中の資料を分けて相談する
制作担当へは、対象記事、使いたい範囲、紙・PDF・Webの用途、部数に加え、確認先と回答、使用できる範囲、指定表記、まだ確認中の内容を添えます。返事がない記事や写真を、掲載が確定した原稿へ混ぜないようにします。
複写 HUKUSYAの作品集・カタログ制作では、掲載可能な画像と文章から、一冊の構成や原稿・紙面の編集を相談できます。原紙や切り抜き、元データの状態も知らせ、画像化が必要な範囲、原稿整理・撮影・編集・印刷の担当と費用を分けて確認します。
公式FAQにも、既存データからの制作相談と利用範囲の確認が案内されています。許諾を得る手続きの代行、許可や利用料金、回答時期、権利関係の解決までを制作の標準範囲として約束するものではありません。
新聞で紹介されたことの信用や集客効果を前提にせず、まずは当時の記事を読むのか、掲載歴として伝えるのか、自分たちの活動を説明するのかを選ぶ。その目的に必要な資料と、確認済みの条件から、一冊へ残す形を相談しましょう。
参考資料
- 朝日新聞社:記事を引用・転載したい — 同社の利用の原則と例外の案内。
- 毎日新聞社:著作物利用のご案内 — 出版・印刷等での申請と権利者の確認。
- 日刊鉄鋼新聞:新聞記事利用許諾申請書 — 当該社の媒体・部数等の確認項目の例。



