連作が完結する前に作品集を作る――収録の区切りと、作品全体の完結を分ける
継続中の連作から作品集を作るとき、個々の完成状態・今回の収録範囲・連作全体の完結を分けて示します。完成済み三点から二点を選ぶ一覧例で、順序と紹介文、刊行後の記録を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

連作を描き続けていると、作品集はすべてが終わってから作るもの、と感じるかもしれません。個々の完成した作品があるなら、今回の一冊に収める範囲を選び、制作の途中の区切りとしてまとめる方法もあります。
一つの作品が完成していること、今回の本へ収録すること、連作全体が完結することは、別に示しましょう。作者が確認した区切りを読む人へ伝えることで、これからも続く連作の記録として一冊を考えられます。
作品ごとの完成と、連作全体の区切りを分ける
同じ題材を長く描いている場合でも、一点ごとに完成した作品と、連作全体を今後も続けることは両立します。連作が続くことを理由に、すべての完成作品まで未完成として扱う必要はありません。
まず、個々の作品の状態を作者が確認します。その上で、今回の本に載せたい範囲と、この先も制作を続ける連作の位置付けを別に整理します。
未完成の試作を完成作品として紹介することと、完成済みの作品から一冊を選ぶことを混同しないようにします。何を今回の区切りにしたいかを、作品の一覧から考えます。
完成済みの三点から、二点を収める構成例を見る
ここでは、制作を続ける連作「窓辺」に、三点の完成した作品があるという自作の一覧例を使います。今回の本では朝と雨の二点を選び、夕の作品は収めない構成案です。
| 作品 | 今回の本での扱い |
|---|---|
| A 朝の窓 | 完成済みの作品として、今回の本へ収録する。 |
| B 雨の窓 | 完成済みの作品として、今回の本へ収録する。 |
| C 夕の窓 | 完成済みだが、今回の本には収録しない。作品の一覧には残す。 |
この例では、Cを収めないことは、Cが未完成であることを意味しません。また、AとBの二点を本にすることは、連作「窓辺」の完結を意味しません。
「完成しているか」「今回収めるか」「連作を続けるか」を別々に示すと、一冊の区切りと制作の状態を混ぜずに説明できます。
今回どこまでを収めるか、選ぶ基準を決める
一定の時期までに完成した作品を選ぶ、題材の中の一つの場面をまとめる、展示する作品に合わせるなど、一冊の範囲を考えます。全部を収めない場合は、何を手がかりに選んだかを伝えます。
上の構成案なら、朝と雨という二つの窓辺を並べる一冊として考えられます。完成作品の全点を収めた本として紹介すると、一覧にはあるCが載っていないことと食い違います。
制作途中で新しい作品が増える場合も、今回の収録候補と、連作全体の一覧を分けます。原稿をまとめる段階で、どの作品を掲載するかを作者が確認します。
連作の順序と、本の読ませ方をそろえる
連作に作者が定めた順番がある場合は、それを確かめます。今回その一部を収めるなら、どの範囲を取り出したか、間に収録しない作品があるかも整理します。
本のために並びを変える場合は、作者と相談して決めます。作品の完成順、連作の順番、冊子を読む順番が同じとは限らないため、必要に応じて説明を添えます。
上の例のA→Bは今回の構成案の順です。実際の作品に付いた連作番号や制作順を確認した記録として使うものではありません。
連作が続くことを、題名と紹介文でも伝える
書名や最初の案内では、今の制作の位置付けと、今回収めた範囲をそろえます。連作を続ける予定なら、「全集」や「完結」といった言葉が、作者の意図と合っているかを確かめます。
この構成案の紹介文なら、「制作を続ける『窓辺』から、朝と雨の二点を収めました。」という自作文案が考えられます。何が入った本かと、まだ連作が続くことを一緒に伝える表現です。
「第1集」のような名前を考える場合は、続きの本をどう位置付けるかも相談します。次の一冊の予定が決まっていない段階で、発行時期や収録内容を約束する案内へ広げないようにします。
刊行後に増える作品と、今回の収録記録を分ける
一冊をまとめた後も連作を続けるなら、新しくできた作品を加える一覧と、今回収録した作品の記録を分けて残します。どの本にどの作品を載せたかへ戻れるようにしておきます。
今回載らなかった完成作品と、その後に完成した作品も区別します。次の本を考える際に、未収録の理由や現在の状態を、作者が確認できる形にしておくと相談しやすくなります。
連作の続きと本の改訂をどう扱うかは、その後の制作と目的から考えます。新作ができるたびに、今回の本を必ず差し替えると決める必要はありません。
完成した作品と、今回の収録候補からご相談ください
相談の際は、個々の作品の完成状態、今回の収録候補、分かる連作の順序と、今後も続けるかを作者が確認してお知らせください。読む人へどんな区切りを渡したいかも、あわせて伺います。
複写 HUKUSYAの提供作品と原稿からの作品集編集・制作では、確認した収録範囲と画像・説明をもとに、並びや見出し、紹介文を整える相談ができます。制作の全体と、今回の一冊が扱う範囲を分けて考えます。
連作が終わる日だけを待つのではなく、いま残したい完成作品と、作者が選ぶ区切りから、一冊の形を相談していきましょう。



