複写 HUKUSYA
カテゴリ作品の記録
タグ

初めての作品集、右開き・左開きは何を基準に選ぶ?

横長の絵に縦書きの文章を添えたいとき、本はどちらから開く? 同じ絵と文章を使う右綴じ・左綴じの二案から、本の形と読む流れを分けて考えます。

同じ窓辺と同じ説明文を置いた二つの見開き。右綴じ・縦書きと左綴じ・横書きで、作品と文章を読む方向を示す。HUKUSYA / JOURNAL

横長の絵だから、作品集も横長にしたい。けれど、絵に添える文章は縦書きで読みたい。その二つの希望は、両立しないのでしょうか。

本の縦横の形と、左右どちらを綴じるかは、分けて考えられます。先に確かめたいのは、中心となる文章をどちらの方向で読み、表紙から作品、説明へどう進んでほしいかです。絵の縦横だけで、一冊の開き方を決める必要はありません。

「横長の本」と「左綴じ」は別の選択

判型は、本の縦横の形や大きさを表します。一方、綴じ方向は、ページをどちらへ読み進める一冊にするかに関わります。ここでは呼び方をそろえるため、表紙を正面から見て、右側を綴じる本を「右綴じ」、左側を綴じる本を「左綴じ」とします。

一般的な日本語の本では、縦書きの文章を読む本は右綴じ、横書きの文章を読む本は左綴じが基本です。W3Cの『日本語組版処理の要件』にも、この関係が整理されています。すべての本をその形にしなければならない、という意味ではありません。参考資料

横長の冊子でも、綴じる側が一つに決まるわけではありません。たとえばプリントプロの横型冊子には、右綴じ・左綴じを選ぶ案内があります。判型と綴じ方向を別に選べる例として参照できます。具体的に作れる形や条件は、制作先へ確かめます。参考資料

作品の向きより、中心となる文章を見る

文章を続けて読ませる作品集なら、その主な文章の方向を出発点にします。縦書きの制作記や解説が中心なら右綴じ、横書きの説明が中心なら左綴じを、まず基本案として考えます。縦横が混在する場合に主となる文章を見るという考え方は、常翔印刷の案内でも示されています。参考資料

縦書きの本に短い横書きのキャプションが入るなど、部分的に組方向を変えることもあります。一か所に横書きがあるだけで、本全体を左綴じへ変更する必要が生じるわけではありません。参考資料

作品画像が中心で文章が短い場合は、表紙だけで結論を出さず、導入から作品を見て説明へ進むところまで並べます。「絵を先に眺めてから説明を読みたい」「文章を追いながら絵へ戻りたい」といった希望を、一冊の流れとして相談できます。

同じ絵と文章を、二つの方向で組んでみる

以下は、同じ「窓辺」の画像と、同じ短い説明文を使う二案です。本の形も、表紙・導入・作品・説明という内容の順番もそろえています。絵を反転したり、説明を書き換えたりして差を作る比較ではありません。

右側に窓があり、床には四角い明るい部分が見えます。左端には椅子の一部が入っています。最初に絵の全体を見て、次に窓と床の関係を見返してみてください。

これは、絵の構図と見返す順番を案内する編集文です。作者の言葉や制作意図として添えたものではありません。

右綴じで、縦書きの説明へ進む案

表紙の右辺を綴じ、表紙・導入・作品・説明の順に右から左へ進む案。同じ窓辺の全画像と縦書きの説明文を配置した見開き。
右綴じ・縦書きの案。上段は内容を読む順番、下段は作品と説明を置いた見開きです。表紙正面の右辺を綴じる側として示しています。

作品の後に置く説明を縦書きにし、右の作品ページから左の説明ページへ進む構成にしています。縦書きで読みたい文章が一冊の中心になる場合の基本案です。

左綴じで、横書きの説明へ進む案

表紙の左辺を綴じ、同じ表紙・導入・作品・説明の順に左から右へ進む案。同じ窓辺の全画像と横書きの説明文を配置した見開き。
左綴じ・横書きの案。同じ掲載内容を使い、左の作品ページから右の説明ページへ進む構成にしています。

横書きの説明を、作品の次に読める位置へ置いた案です。内容の順番は右綴じ案と同じでも、見開きのどちらに作品と文章を置くかが変わります。

二案を見るときは、好きな表紙だけでなく、続けて読む文章と作品の位置を確かめます。短い説明が数点に付く一冊か、長い文章を章ごとに読む一冊かでも、考えたい流れは違います。この案は画面上で内容を並べたもので、実際に製本した本の開きやすさや、試読による読みやすさを確かめた結果ではありません。

まだ決まっていない条件も、分けて伝える

相談時には、「横長にしたい」「文章は縦書きで考えている」「作品から説明へ進む形がよい」のように、形・文章・読む流れを分けて伝えます。開き方が未定でも、載せたい絵と文章の見本があれば、何を優先するかを一緒に考えられます。

すでに原稿がある場合は、文字方向や改行のどこまでを変更してよいかも伝えてください。作者が定めた見せ方を、綴じ方向の都合だけで組み直さないためです。

複写 HUKUSYAの作品集・カタログ・Web制作では、手元の作品画像と文章から、構成や紙面について相談できます。縦書き・横書きの希望と見てもらいたい順番を伺い、具体的な綴じ方、判型、ページ数、原稿整理・校正、印刷・製本の対応範囲と費用を個別に確認します。

本の形と開き方を一度に決めきる前に、まず一つの作品と文章から、どちらの流れで読んでもらいたいかを考えてみてください。

参考資料

  1. W3C:日本語組版処理の要件 — 2020年8月11日 Working Group Note。一般的な組方向と綴じ方向、部分的な混用、ページの進行、用語の説明を参照。
  2. プリントプロ:横型中綴じ冊子 — 横型冊子でも右綴じ・左綴じを選ぶ案内を参照。同社の商品仕様を自社の対応条件へ当てはめていません。
  3. 常翔印刷:綴じ方の向きについて — 縦書きと横書きが混在する場合の、主となる文章による考え方を参照。
← コラム一覧に戻る

LET'S TALK / ご相談

作品や資料のこと、
ご相談ください

撮影・スキャン、作品集、Web制作など、
残したいものと、どのように使いたいかをお聞かせください。

ご相談・お見積もり
料金・納期ご相談・お見積もり