周年事業の図版を引き継ぐ、完成図から元資料へ戻る
完成図だけを残しても、次に使う元画像の所在までは分からないことがあります。二つの図に別々の一頁PDFと共通の元画像を対応させ、必要な材料へ戻れる引き継ぎを考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

周年冊子やWebサイトが完成すると、使った図版は完成データの中に残ります。けれども、次の担当者が「この図の写真を別の案内にも使いたい」と考えたとき、その図を開くだけで元画像まで見つかるでしょうか。図を組んだファイルと、図の中に使った画像は、別々の場所に残っているかもしれません。
この案では、表紙比較と見開きの二つの完成図を引き継ぎます。それぞれに対応する一頁PDFは別のファイルで、使っている灯りの元画像は共通です。冊子全体の材料を一度に集める前に、次に使いたい二点について、完成図から必要な元資料へ戻れるかを確かめます。
完成図だけの一覧では、元画像の所在まで分からない
完成図だけの一覧には、二点のJPEGを載せています。表紙の言葉や灯りの配置、見開きに置いた年表示は読めます。この案の1998年と2026年は、二つの表紙を見比べるための設定です。
一方、この一覧に収めた二点には、対応するPDFや元画像のファイルを含めていません。完成図をそのまま掲載するなら用途に合う画像かを検討できますが、灯りの画像を取り出して別の配置に使うなら、元画像の所在を確かめるところから始めます。完成図の見た目が分かることと、次の制作に必要な材料が見つかることを分けて考えます。
図ごとにPDFを区別し、共通の元画像へ戻る
完成図と元資料の対応では、見開きの完成図をF02、表紙比較の完成図をF01として、それぞれから使うファイルを開けるようにしました。番号はこの案の中で図を見分けるための目印です。同じ灯りが写っているからといって、二つのPDFを同じファイルとしてまとめません。


見開きの完成図から開くのは、P02の一頁PDFです。表紙と年表示を一頁に置いた図に対応します。表紙比較の完成図からは、P01の別の一頁PDFを開きます。どちらの閲覧先にも、図全体と対応するファイルの名前を並べました。
二つの図で使っているのは、M01の同じ灯りの元画像です。元画像を開くと、二つの灯りと周囲の余白を含む一枚全体が見られます。完成図の一部を切り出して元画像の代わりにする前に、次に必要な配置や大きさで使える材料が残っているかを、この戻り先で確認します。
PDFを読めることと、次の担当者が編集できることを分ける
対応を付けたあと、二つの一頁PDFを実際に開き、頁全体を表示しました。P02では「二冊が残す」、P01では「灯りのある暮らし」を検索し、それぞれ一件の一致を確認しています。さらに、頁にある見出しの一文を選択してコピーし、対応する完成図へ戻りました。
ここで確かめたのは、図に対応するPDFを選べること、文字を読み取れること、元画像まで開けることです。PDFとPNGがそろえば、冊子全体をすぐに編集し直せるとまでは判断できません。次の担当者が文言や配置を変えるなら、その作業に必要な編集元、フォント、使用する環境も確認し、変更して書き出せるかを別に試します。
引き継ぎの際は、「完成図をそのまま使う」「元画像を別の媒体に使う」「図の文言や配置を変える」のどれを予定しているかを先に伝えると、確かめるファイルを選びやすくなります。この案の回収範囲は、完成図二点、対応する一頁PDF二点、共通の元画像一枚です。予定する作業がその範囲で足りるかを、渡す側と受け取る側で見ます。
次に使う図と、その戻り先を一緒に残す
元資料のフォルダーだけを渡すと、似た名前の画像やPDFの中から、どれを使ったか探し直すことがあります。使った図の全体と、その図に対応するファイルを一緒に示せば、完成図を入口にして必要な資料を開けます。図の番号だけでなく、どこに使った図かも添えておくと、次の担当者が手元の完成版と照合できます。
資料には、確認できている利用範囲と、次に使いたい媒体も添えます。たとえば元画像を周年冊子からWebへ使うときは、その媒体で使えるかを確かめてから渡します。国立国会図書館のメタデータ流通ガイドラインにも、ある情報資源と、その作成のもとになった資料を結び付ける「由来」の項目があります。1 ここでは、その考え方を完成図と元資料の対応を残す背景として参照しています。
企業資料のデータ化や、選んだ資料を冊子・Webへ活用する相談は、企業資料のデジタル化と活用をご覧ください。相談の際は、今回使った図、元画像や原稿が残る場所、確認済みの利用範囲、次に作りたい媒体をお知らせください。必要な紙資料のデータ化と、用途に合う見せ方の範囲を一緒に考えます。
参考資料
- 国立国会図書館「メタデータ流通ガイドライン 共通編」10-2「由来」。完成した情報資源と、作成のもとになった資料との対応を残す背景として参照。



