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同じ作品から鑑賞用と学習用の資料を作る

自作の作品を講座にも使う講師へ。同じ作品画像で、鑑賞するための短い説明と、形を探して色と場所を伝える課題を作り分ける紙面を考えます。

同じ「まちの窓」を両頁に載せ、左に鑑賞文、右に形を探して色と場所で伝える課題を置いた、開いた冊子の構成案。HUKUSYA / JOURNAL

自作の作品を紹介する冊子を、講座でも使いたい。作品画像と解説がそろっていても、そのページを配るだけでは、受講者に何をしてもらうかが伝わらないことがあります。

同じ作品から、鑑賞するための資料と、取り組むための資料を組んでみます。鑑賞用には、作品を見始める短い説明。学習用には、画像の中で確かめられる課題。作品の全体を保ちながら、読む人の行為に合わせて言葉を選ぶ案です。

同じ作品で、二つの紙面を組む

例えば、「まちの窓」という作品を使います。濃い青い窓の枠、上側のあたたかな空色、右上の薄い黄色の丸い形。下側には赤・黄色・青緑の建物と、四角い窓が見えます。この一点を、鑑賞用と学習用の両方へ載せます。

「まちの窓」。濃い青い窓枠の中にあたたかな空色と右上の薄黄色の丸い形、下側に赤・黄色・青緑の建物と四角い窓が見える。
二つの紙面へ載せる作品の全体。画像を開くと形と位置を拡大して確かめられます。

この案では、二つの紙面の作品名、画像の大きさ、向きをそろえました。作品の端を切ったり、画像の上へ答えの印を付けたりせず、見る対象を同じにしています。

同じ「まちの窓」を載せた二つの紙面。鑑賞用は短い観察文、学習用は形を探して色と場所で伝える三つの課題と文例を添えている。
作品を眺める紙面と、形を見つけて伝える紙面。画像を開くと文案まで拡大できます。

携帯向けの紙面を原寸で開くときも、鑑賞用、学習用の順で読みます。二つを見比べると、作品画像を変えずに、説明と課題をどう作り分けるかが分かります。

鑑賞用は、見始める場所を短く伝える

鑑賞用の見出しは「作品を眺める」。作品の下には、次の文案を置きました。

窓の枠をはさんで、空とまちなみが上下に見える。あたたかな空の色、建物の赤・黄・青緑。気になった場所から、ゆっくり見てみる。

枠の上下と色に触れ、画像へ目を戻せる文にしています。「懐かしい町を描いた」「夕暮れの寂しさを表した」といった作者の意図や感情は、この文案へ加えていません。見えるものから書き始めると、読む人が自分の気になる場所を選べます。

短い説明のあとは、余白を残しました。この紙面では、問いへ答える順序を設けず、作品を眺める時間を取る構成にしています。

学習用は、探すものと伝え方を一つの課題にする

学習用の見出しは「かたちと場所を見つける」。この案で取り組むことを、形を見つけ、色と場所の言葉で相手に伝えることに絞ります。手順は次の三つです。

  1. 丸い形を一つ見つける。
  2. 四角い形を一つ見つける。
  3. 色と場所で伝え、相手にも同じ形を探してもらう。

「四角い形」には、横長の窓なども含めて探せます。正方形だけに限定する問いにはしていません。どの形を選んだかを、作品全体の中の場所と結び付けます。

伝え方の文案

  • 右上に、薄い黄色の丸い形がある。
  • 下の赤い建物に、黄色い四角い形がある。

この二文は、課題を伝えるための例です。「丸がある」「窓がある」だけでは、相手が別の場所を探すこともあります。色と位置を添えて、どの形を指しているかを画像に戻って確かめるようにしました。

右側の紙面では、作品、三つの手順、伝え方の例の順で読めます。例文を先に答えとして覚えてもらうか、まず各自に形を探してもらうかは、講座での進め方に合わせて講師が選びます。先に探す活動にしたい場合は、例文を別の紙面へ移すなど、渡す順序も考えます。

説明を増やす前に、取り組むことを決める

鑑賞用の解説へ長い文章を足しても、それだけで課題のある資料になるとは限りません。この二案で変えたのは、作品を眺める文から、形を探し、場所を伝える手順へ進むところです。

講師の自作へ置き換えるときは、取り組んでもらうことを一つ選びます。形を探す、二つの場所の色を比べる、見えたものを順に説明するなど、作品の中で確かめられる行為から考えます。次に、その問いへ戻れる全体画像と、必要な言葉を紙面へ置きます。

講師自身も、配る大きさで画像と問いを照らし合わせてみてください。探してほしい形が小さくて見えない、似た色を区別しにくい、場所を示す言葉が画像の向きと合わない。そうした箇所があれば、問いや掲載サイズを見直します。部分を大きく載せる場合も、全体のどこかが分かる組み方を考えます。

受講者の年齢や経験、講座の目的によって、使う言葉と取り組む範囲を調整します。今回の二案は紙面の組み方を示すもので、授業での反応や学習の成果を示したものではありません。実際に使ったときの様子は、講師の記録から次の改訂へ生かします。

元画像と二つの原稿を、別々に残す

鑑賞用と学習用を改訂していくなら、作品の元画像は、説明や課題を入れた紙面と別に残します。同じ一点を両方へ載せていることを確認しながら、文案や配る順序を変えられます。

用意する原稿も、鑑賞用の短い説明と、学習用の課題に分けます。課題には、何を見つけるか、どの順で取り組むか、どのように伝えるかを書きます。作品名や確認できる作品情報を添える場合は、両方で同じ表記にそろえます。

講師の自作をどこまで載せるか、受講者へ配る紙だけに使うか、Webにも載せるかも決めておきます。ほかの人の作品や写真を組み合わせる場合は、使う画像と配布・掲載する範囲を、確認する担当者へ伝えます。

冊子と配布資料を、同じ作品から相談する

作品を紹介する一冊と、講座で配る紙面を、同じ作品画像から組むこともご相談いただけます。作品集・カタログ・Web制作では、お持ちの画像を使った構成・編集をご案内しています。二つの用途がある場合は、誰に何を見てもらいたいかと、鑑賞文・課題の原稿を合わせてお知らせください。

元画像がない場合や、希望する掲載サイズで使えるか分からない場合は、作品の状態と用途から撮影・データ化の要否を確認します。作品の撮影・スキャンの詳しい案内もご覧ください。

ご相談・お見積もりには、作品の種類と点数、手元の画像、冊子か配布紙か、渡す相手と取り組んでほしいことをお知らせください。説明文やページ数が未定でも、用途から紙面を整理できます。編集・印刷などの追加制作は、撮影・データ化と分けて範囲と費用を確認します。

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