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表紙を作品写真にするかどうか

家族や友人へ渡す作品集の表紙をどう決めるか。同じ作品と題名で、作品全体、部分画像、文字中心の表紙と裏表紙を比べ、一作と一冊全体のどちらを入口にするか考えます。

表紙を作品写真にするかどうかという見出しと、作品全体、作品の一部、文字中心の三つの表紙。HUKUSYA / JOURNAL

自分の作品と制作の記録を一冊にまとめ、家族や長く付き合いのある友人へ渡したい。好きな絵を表紙に載せるか、題名だけで静かにまとめるか。そんなときは、一作を入口にしたいのか、一冊全体を先に伝えたいのかを考えると、画像の使い方を選びやすくなります。

この案では、本の題名を「日々のかたち」、作者をAさんとし、「作品と制作の記録 2016–2025」をまとめます。同じ一作《午後のテーブル》を使い、作品全体、作品の一部、文字中心という三つの表紙と裏表紙を組みました。

作品全体を載せると、一作が本への入口になる

最初の表紙では、黄土色の水差し、青い鉢、二つの洋梨、布の影まで、絵の全体を見せています。題名と作者表記は絵の外へ置きました。作品を見ながら、「日々のかたち」という題名を読む配置です。

静物画の全体を載せ、題名と作者を絵の外に置いた表紙と、作品と制作の言葉を一冊にまとめる旨を載せた裏表紙。題名は日々のかたち、期間は2016–2025、作者はAさん。
作品全体を見せる案。縦画面の配置を開く。

この一作を大切にしてきた理由や、描いたときのことから読んでほしい本なら、表紙と本文をつなげられます。一方、制作の期間には別の題材や表現もあるかもしれません。表紙の一作が本のすべてを表すように見せたいのか、それとも最初に出会う一作として選ぶのかは、本人が決めるところです。

三案の裏表紙には、共通で「身近なものを描いた作品と、制作の言葉を一冊に。」と添えています。一作の絵だけでは分からない、本全体の範囲を短い言葉で補っています。

一部を大きく使うなら、何を残すかを決める

次の表紙は、同じ絵の一部分を大きく使っています。青い鉢の色と洋梨の形が近くなり、水差しの上端や周囲の余白は画面の外へ出ます。絵を小さく収めた最初の案とは、目に入る範囲が変わります。

午後のテーブルの一部分を大きく使い、濃紺の面に題名と期間を置いた表紙と、表紙作品の一部であることを記した裏表紙。
作品の一部を入口にする案。縦画面の配置を開く。

この案では、身近な器や果物の形から本へ入るために、この範囲を選びました。文字が絵の色に紛れないよう、題名と期間は濃紺の面に、作者表記は紙色の面に置いています。絵を表紙いっぱいに広げる場合も、題名を読む場所は必要です。

裏表紙の表記は「表紙作品《午後のテーブル》の一部」としています。部分を使った表紙と、作品全体を見せる図版は役割が違います。本の中で作品を紹介するページには全体を載せる、といった分け方も考えられます。ここでも《午後のテーブル》の全体を開いて、切り取りで残したものと見えなくなったものを比べられます。

実際の作品でこの方法を選ぶときは、作者が表紙で見せたい範囲を確かめます。自分の作品でも、撮影を頼んだ画像を使うなら、その画像の利用条件も確認します。冊子に使う表紙と、Webで誰でも見られる告知画像では掲載先が変わるため、使う画像と見せる相手を合わせて整理しておきます。[2]

文字を主役にすると、題名と期間から本を読む

三つ目は、表紙に作品画像を載せず、「日々のかたち」を大きく置いた案です。その下に「作品と制作の記録」、期間、作者が続きます。一作を先に見せる代わりに、十年分の制作をまとめた一冊として手渡す入口を作りました。

濃紺の地に日々のかたちという題名を大きく置き、作品と制作の記録、2016–2025、Aさんを添えた文字中心の表紙と、三案共通の短文を載せた裏表紙。
題名で一冊を束ねる案。縦画面の配置を開く。

家族や友人には絵だけでなく、描き続けた期間や、制作の言葉も読んでほしい。その目的なら、題名を最初に渡す表紙にも意味があります。ただ、「日々のかたち」だけでは中身の範囲は広いままです。この案では補足と期間、裏表紙の短文を合わせて、何をまとめた本かを伝えています。

作品画像を使わなければ、必ず読みやすい表紙になるわけではありません。題名の長さ、文字の大きさ、補足や作者との間隔を、実際の表紙の配置で見ます。今回は濃紺の面に紙色の文字を置き、題名を二行で読める形にしています。

表紙で見せたい範囲と、手元の画像を相談する

三案から選ぶときは、「この一作から読んでほしい」「器や果物の形を入口にしたい」「制作の期間を一冊として渡したい」のどれが本の目的に近いかを言葉にしてみます。表紙の絵の有無と、裏表紙まで読んだときに伝わる範囲を一緒に確かめます。

画像を使う案では、手元のデータで希望する大きさに載せられるかも確認します。小さい画像を画面で拡大して見られることと、冊子で使うための画像が足りていることは同じではありません。表紙に使いたい一作と掲載範囲を決め、元の画像を見ながら、必要に応じて撮影・データ化を相談します。[1]

複写の作品集の編集・制作では、手元の画像と原稿から、構成、掲載順、説明文、表紙のレイアウトをご相談いただけます。渡す相手、本にまとめる期間、表紙で見せたい作品と範囲、題名・作者表記、元画像の有無を分かる範囲でお知らせください。一冊で何を伝えたいかを伺い、制作に必要な素材と進め方を確認します。[1]

作品集の表紙と、一冊のまとめ方を相談する →

参考資料

  1. 複写「作品集・カタログ・Webサイトの制作」。目的と媒体、構成・レイアウト、元画像・原稿・掲載情報の確認を参照。
  2. 文化庁「著作権について知っておきたい大切なこと」。作品や画像を利用・公開するときの確認を考える参考。
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