子どもたちの共同制作を作品集へ|一つの作品と、つくった記憶を残す
一つの共同作品を、関わったところの言葉とともに作品集へ。全景を残す紙面と担当を添える案から、冊子を渡す人、見せる範囲を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

大きな共同作品は、展示が終わると返したり、分けたりすることがあります。作品が手元を離れる前に、みんなでつくった一枚の姿と、一人ずつが関わったところを一緒に残したい。作品集にするなら、その二つを同じ作品に結びたいものです。
作品W001「海へゆく船」の記録案を使い、全景を収める面と担当を添える面を考えます。冊子を渡す人、Webで見せる範囲、名前を表す方法も、それぞれ選んでいきます。
一つの作品の全景を、一緒に残す
まず、一つの作品を一枚の全体で見られるように残します。空の色と太陽、船、波が同じ画面にあることで、個々の部分が一つの作品になっていることが分かります。この紙面案では、原図の四辺を保ち、全景を一枚のまま収めました。
冊子の中では、この全景が作品を見返す入口になります。作品名をそばに置き、あとで担当の記録へ戻れるようにします。「海へゆく船」の制作年と原物の寸法は未確認のため、決まった値を補っていません。
実物の作品を記録する場合は、作品が一つの形で残っているうちに、全体の姿をどう残すか考えます。折り目や厚み、額の有無など、作品ごとの状態も相談に添える情報になります。

色や形を見ながら、つくった場面をたどる
全景のそばに、関わったところの言葉を添えると、作品を見ながら担当をたどりやすくなります。空、船、波のように、絵の中に見える部分から記録を始める案です。
実際の記録では、担当したところと、本人が残したい言葉を確かめてから添えます。あとから付ける説明と、本人から聞いて記録した言葉を分けておけば、どの言葉がどこから来たかも残せます。
担当したところを、作品のそばに添える
二つめの紙面では、同じ作品のそばに三つの担当を別の言葉で添えました。原図を一枚のまま置き、担当の説明は原図から離した場所に収める案です。
- A:空の色と太陽
- B:船
- C:波
全景と担当を同じ作品名で結んでおけば、頁が離れても対応をたどれます。ここで使うA・B・Cは担当を結ぶ記号で、公表する名前や、権利を持つ人を決めたものではありません。

冊子を渡す人と、見せる範囲を考える
作品を残すときは、誰に見返してもらうかも考えておきたい点です。制作への参加、冊子への画像掲載、Webへの画像掲載、名前の表し方を別に記録します。未成年の作品を扱う場合は、確認する大人が誰か、確認が済んでいるかも残します。[1]
この記録案では、三者とも制作への参加を希望する一方、冊子とWebで見せる希望は分かれています。名前の扱いと、大人の確認も別の項目です。
- A:参加は希望。冊子の画像は希望、Webの画像は載せない。名前はイニシャル、確認する大人は未確認。
- B:参加は希望。冊子・Webの画像はともに未確認。名前は載せない、確認する大人は未確認。
- C:参加は希望。冊子の画像は載せない、Webの画像は希望。名前と確認する大人は未確認。
この記録のままでは、冊子はCの「載せない」とBの未確認、WebはAの「載せない」とBの未確認が残ります。冊子とWebの両方で全景の掲載を保留し、名前や大人の確認も含めて、確認する相手へ戻す案です。
全景を収める紙面を考えることと、その紙面を採用して配ることを分けておきます。どの作品を、誰へ、どこまで見せるかが決まってから、載せる内容を選びます。
大きな作品の形と日程から、記録を相談する
作品集を相談するときは、作品が一つの形で残っているか、現在の画像があるか、どのような大きさや状態かを伝えます。返却や解体を予定する日がある場合は、その日も相談材料になります。未定の項目は、未定のまま伝えます。
全景と担当を添える紙面案があると、一冊で見返したいことを具体的に示せます。作品の画像、担当を記録した言葉、冊子を渡す相手、掲載範囲で確認が残る点を、一緒に整理しておきます。
複写 HUKUSYAでは、作品の画像や原稿をもとに、作品集へ収める順番と紙面を相談できます。作品集・カタログ・Web制作の詳しい内容をご覧のうえ、作品の状態や冊子の用途をお問い合わせでお知らせください。
作品が手元を離れる前に、全景と一人ずつの担当を残す方法を考える。そのうえで、見せる相手と範囲を確かめながら、一冊に収めるところを選んでいきます。
参考資料
- 個人情報保護委員会 子ども本人の同意に関する案内:未成年の個人情報について、同意を得る相手を考える際の参考。



