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地域の記念誌を図書館にも届けたい――納本と寄贈を分けて準備する

地域の記念誌を図書館にも届けたいとき、納本と寄贈の確認先を分けます。一冊の制作準備メモから、発行情報・印刷仕様・必要部数・刊行後の担当へ条件を戻す考え方です。

まちの活動記録という仮題の制作準備メモと、納本の対象・地域図書館の寄贈案内を別に確認し、条件を仕様や部数へ戻す案。HUKUSYA / JOURNAL

地域の活動をまとめた記念誌を、会員だけでなく、図書館でも読めるようにしたい。そう考えたとき、印刷する冊数や送り先を決める前に、発行者と刊行計画を整理しておきます。

国立国会図書館への納本と、地域の図書館への寄贈は、確認する案内が異なります。同じ一冊について両方を検討できるため、どちらか一つを選ぶ話にはしません。確認した条件を、奥付、印刷仕様、必要な部数、刊行後の担当へ戻すことが、冊子制作の準備になります。

今から発行する記念誌の情報を、一冊分にまとめる

最初に、誰が、いつ、どのような形で発行する本かを書き出します。書名、発行者、刊行予定日、配る相手と部数、製本方法、付録の有無が、確認の材料になります。著者、編集担当、印刷会社と、発行者を混同しないようにします。

本記事で中心にするのは、民間の地域団体が発行する紙の記念誌です。自治体自身の刊行物や、オンラインだけで公開する資料は、発行者や媒体に合う別の公式案内を確認します。

図書館へ届けるのは、これから刊行する一冊なのか、それとも団体が保管してきた写真や帳面などの元資料なのかも分けます。記念誌を作ることと、元資料を寄贈することでは、準備する情報と相談先が変わります。

国立国会図書館では、発行者と納本対象を確認する

国立国会図書館の企業・団体、個人向けの案内では、頒布の目的や相当の刊行部数、刊行形態などによって対象を説明しています。社史、団体史、自費出版物も対象になり得ますが、簡易な形態や、広く公開することに支障があるものなど、対象外の説明もあります。部数だけで判断せず、自分たちの発行計画と案内を照らし合わせます。ISBNがない出版物も、対象になり得ます。参考資料

対象となる民間出版物は、一部を発行日から30日以内に納める案内があります。発行者、納める版、本体と付録の範囲、刊行後に担当する人を、制作の予定と一緒に確認します。参考資料

同館の寄贈に関する案内でも、自分が発行者である国内出版物は納本の案内へ、それ以外の資料寄贈は別の案内へ進むよう分けています。ISBNの取得、納本、図書館への寄贈受入は、それぞれ別の確認です。参考資料

無償での納入は、公式案内上、事前の手続きは不要です。一律に事前審査を申し込む準備は加えず、対象や版などに分からない条件がある場合に、該当窓口へ確認します。納入出版物代償金を希望する場合は、別の手続きがあるため、その案内を確認します。

地域の図書館では、その館の寄贈案内を確かめる

地域の図書館に届けたい場合は、収集する資料の範囲、申込方法、希望する部数、寄贈後の取扱いを、その館の案内で確認します。「地域の記念誌だから受け入れてもらえる」とは決めず、対象となる内容や発行地域との関係を確かめます。

たとえば愛知県図書館は、愛知県内の会社や団体の刊行物などを収集対象に挙げ、可能なら閲覧用と保存用の二部を求めています。受入は同館の方針や選択基準によることも示しています。参考資料

佐賀県立図書館では、佐賀に関係する資料を募り、新刊図書は可能であれば三冊という案内があります。資料の取扱いは館へ一任する条件も示されています。必要部数や取扱いは館ごとに異なるため、これらの冊数を、ほかの図書館へ送る場合の共通ルールにはしません。参考資料

受入後にどのように扱われるか、受入れなかった資料はどうなるかも確認します。送れば必ず蔵書になることや、すべてが永く保存されることを前提に、印刷部数を増やさないようにします。

同じ制作準備メモから、二つの確認先へつなぐ

一冊の情報を何度も作り直す代わりに、制作準備メモへ、分かったことと未確認のことを分けて残す方法があります。仮題を「まちの活動記録」とした記入例です。

まちの活動記録という仮題の制作準備メモから、国立国会図書館の納本対象と地域図書館の寄贈案内を別に確認し、確定事項を奥付・仕様・部数・刊行後の担当へ戻す編集例。
一冊の準備メモから納本と寄贈を確認し、冊子の制作へ反映する案。
メモに残すこと 記入例
書名・発行者・刊行予定日 まちの活動記録(仮題)。発行者と刊行日は未定。奥付に記載する団体と日付を確認する。
配布計画・部数・製本・付録 会員への配布と図書館での閲覧を希望。部数、製本、付録は未定。配布分と、条件に応じた納入・寄贈分を分けて検討する。
一般の閲覧に供する掲載範囲 掲載画像と文章を、どこまで一般に読んでもらえるか団体内で確認する。
納本の確認先 企業・団体、個人向けの公式案内で、発行者、頒布計画、刊行形態を照合する。
地域図書館の確認先 候補館は未定。収集対象、申込方法、希望部数、取扱条件を確認して記入する。
制作へ渡すこと・刊行後の担当 確定した発行情報と必要部数を制作担当へ渡す。未確認事項を残し、手続きや送付を担う人と時期を決める。

この段階で、図書館名を配布先として確定したり、必要な冊数を推測で埋めたりする必要はありません。候補館や受付条件が決まったら、確認した日付と案内先も添えて、メモを更新します。

確認した条件を、奥付・印刷部数・刊行後の予定へ戻す

発行者や刊行日が決まったら、奥付などの発行情報と照合します。本文と付録の組合せ、製本方法、必要な版について確認した事項があれば、印刷仕様へ反映します。

部数は、会員などへ配る分と、該当する納入分、寄贈先の案内に沿う分、団体で保管する分を分けて考えます。寄贈先や必要部数が未確認なら、その分を確定した配布予定と同じに扱わず、いつまでに何を確かめるかを決めます。

印刷が終わった後の作業も、団体内で担当を決めます。確認した公式条件に沿う手続きや送付を誰が行うかを、制作会社が当然に代行するものとせず、依頼範囲と分けておきます。

図書館にも届けたい目的を、冊子の相談時に伝える

複写 HUKUSYAの作品集・カタログ・Web制作では、地域の記録を含む冊子について、掲載する画像や原稿、内容の構成、説明文、印刷仕様と部数を相談できます。新たに撮影する場合と、手元の画像から作る場合も分けて考えます。

図書館にも届けたいという目的、発行者、配布予定、希望する刊行時期、確認済みの受付条件をお知らせください。未確認の項目は、そのまま分けて伝えられます。冊子の仕様や部数へ何を反映するかを、作業範囲と費用に合わせて確認します。

納本の代行、寄贈先の紹介や交渉、法的な該当性の判断、図書館による受入や永続保存は、冊子制作に含まれると決めず、それぞれの確認先と担当を分けます。

まずは、届けたい一冊の発行情報と配布計画を、一枚のメモへまとめてみてください。納本と寄贈の案内から分かったことを、その一冊を作るための条件へ戻していけます。

参考資料

  1. 国立国会図書館:企業・団体、個人からの納本 — 対象、発行者、版・形態と手続き。
  2. 国立国会図書館:納本制度の概要 — 対象となる民間出版物の部数と時期。
  3. 国立国会図書館:よくあるご質問・寄贈 — 自ら発行する国内出版物と、それ以外の寄贈の案内。
  4. 愛知県図書館:資料の御寄贈について — 同館の地域資料、希望部数と取扱い。
  5. 佐賀県立図書館:佐賀に関する資料の寄贈 — 同館の収集対象、申込・部数と取扱い。
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