複写 HUKUSYA

JOURNAL

作品の記録

作品用の防湿庫を選ぶ前に|材質・収納寸法・管理方法の確認

防湿庫は湿度を下げればよいものではありません。作品の素材と状態に必要な環境を確認し、内寸、棚、取り出し方、測定、停電時の対応まで考えて選ぶためのガイドです。

作品や資料の収納棚を描いたイラスト

湿気が気になるからといって、作品をすぐ防湿庫へ入れればよいとは限りません。カメラ機材向けの設定が、そのまま紙、木、絵具、複合素材の作品に合うとは限らないためです。購入前に、保管したいものと必要な環境を整理しましょう。

作品の素材と現在の状態から考える

紙の作品、額装品、木製の立体、金属を含むものなどを分け、既にある反りや亀裂、剥落も確認します。複数の素材を組み合わせた作品は、それぞれの性質を考える必要があります。除湿できることだけを理由に、同じ設定でまとめて保管しないようにしてください。

カナダ保存研究所は、不適切な相対湿度の影響は対象によって違うと説明し、コレクションの種類に応じた環境の検討を案内しています。数値を一律に当てはめず、必要な条件を保存の専門家へ確認します。相対湿度と資料への影響、収蔵物に応じた環境条件の考え方

容量より先に内寸と取り出し方を確認する

カタログの容量だけでは、額や保存箱が収まるか分かりません。収納する状態の縦・横・奥行を測り、扉の開口、棚の間隔、棚の耐荷重を確認します。作品同士が触れず、取り出すときに他の作品を何度も動かさずに済む配置を考えてください。

額の突起や取っ手、保存箱の厚みも含めて見積もります。作品の表面へ棚や包装が当たる収納は避け、置き方そのものを相談します。大型や重量物では、防湿庫の購入より、部屋全体や専用収納の改善が適する場合もあります。

設置環境と制御できる範囲を調べる

機器の仕様で、設定できる湿度、周囲の使用温度、設置に必要な隙間、排熱、電源を確認します。防湿庫が温度まで一定にするとは限りません。日が当たる窓際や水ぬれの危険がある場所など、設置場所の問題も別に見直しましょう。

開閉の回数や収納量で、内部の状態がどう変わるかも確認します。初めから貴重な作品を入れて設定を試すのではなく、機器の取扱説明書に従って安定した動作を確認し、必要な環境が保てるかを測定します。

日常点検と故障時の対応を決める

表示値だけに頼らず、測定器の確認方法と記録の残し方を決めます。停電や故障、扉の閉め忘れが起きたときに、誰が気付き、どこへ相談するかを整理してください。作品を急に違う環境へ移す必要が出たときも、移動方法を個別に判断します。

カビや濡れた資料を、除湿すればよいと考えてほかの作品と一緒に収納しないでください。異常のある資料は状態を伝えて対応を相談します。保管前後の写真と所在を作品台帳へ残し、光や置き方を含む保管環境も合わせて点検しましょう。

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