手貼り作品集を印刷するなら、紙面の配置を残すか作品を組み直すか
台紙の余白や写真の配置を残す方法と、作品画像と文章を別に組み直す方法。同じ素材の二案から、複数部にするために必要な原物とデータを考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

作品の写真を台紙へ貼り、余白に言葉を書き添えた家族の一冊。親族へ渡すために複数部を作ろうとすると、元の配置や筆跡を残したい気持ちと、作品をもっと大きく見せたい希望が出てくることがあります。
最初に選びたいのは、台紙ごと一ページとして残すのか、作品画像と文章を別に用意して組み直すのかという制作方法です。残したいものが違えば、原冊子の撮影範囲も、必要な元画像や原稿も変わります。一冊の中で、方法をページごとに分けることもできます。
台紙の余白や筆跡も、そのページの一部として残す
写真を置いた位置、周囲の空き、添えられた言葉の形まで見返したいなら、ページ全体を画像として記録する方法を相談します。作品写真だけを取り出すと失われる配置を、台紙と一緒に残すためです。
原冊子がどこまで開くか、写真が浮いているか、紙が傷んでいないかなど、状態を確認してから撮影範囲を決めます。無理に開いたり、貼られた写真を剥がしたりせず、現状が分かる写真から相談します。冊子の修復まで撮影に含まれるとは限りません。
ページを一枚の画像として残す場合、作品写真と余白の比率はその配置に従います。同じ仕上がり寸法で作品だけを大きくしたいなら、余白や文章の位置も含めた再構成を検討することになります。
作品を大きく見せるなら、画像と文を別の素材にする
作品を中心に見せたい場合は、写真の元画像や原作品、確認した文字原稿があるかを調べます。ページ全体を撮った画像と、作品そのものの画像は、使う目的が異なります。小さく貼られた写真をページ画像から切り出せば、いつでも大きな印刷に使えるわけではありません。
元画像が見つからないときは、原作品を撮影できるか、手元の写真をどの大きさで使いたいかを相談します。再撮影が必要か、予定する掲載寸法で使えるかは、実際の素材と状態を見て確認する事項です。
手書きの言葉は、形を画像として残すのか、内容を文字原稿へ移すのかを選びます。打ち直す場合は、読み取れない箇所を推測で埋めず、原文と照合します。文字起こしや確認の役割、費用も別に相談します。
同じ画像と文で、二つの配置を比べる
以下は、この記事のために用意した作品画像と文章を使う、デジタル上の仮定の編集案です。実物の手貼り冊子を撮影した例ではありません。二案とも縦297mm・横210mmの同じ仕上がり寸法とし、作品画像の全体、題名、二文を共通にしました。文字は活字で、実際の筆跡を保存した結果ではありません。
二案に共通する題名は「黄色い実」です。添えた文章は「青い皿に、三つの実を並べました。葉の緑と、黄色の重なりを描いています。」の二文です。
A:余白と要素の配置を残す仮定案

A案では、上に題名、左寄りに作品画像、離れた下の位置に文章を置きました。このような配置を一ページとして残すなら、作品以外の空きや、文との距離も紙面の一部になります。
B:同じ作品画像と文を組み直す案

B案では画像を大きくし、題名と文章を下へまとめました。画像は切り抜かず、A案と同じ範囲を使っています。掲載面積はA案の2.89倍ですが、これは紙面上の寸法を比べた値です。画像の細部が増えたことや、印刷品質が良くなったことを示すものではありません。
二案で違うのは、作品に割く面積と、題名・文章・余白の位置関係です。元の並べ方を見返す目的ならAのように配置を残す方向、作品を中心に見せる目的ならBのように別素材から組み直す方向が候補になります。実際の原冊子では、筆跡や台紙の状態も見て、残したい要素を選びます。
全部を同じ方法にそろえなくてもよい
表紙や手書きの献辞は配置ごと残し、作品のページは画像を大きく組み直す、といった構成も考えられます。一方で、ページごとに方法を変えると、必要な素材や確認作業も変わります。残すページと組み直すページを、見本を見ながら分けておきます。
比較の際は、作品だけでなく題名や添えた言葉も確かめます。再構成で説明が抜けたり、別の作品の文章と入れ替わったりしないよう、元のページとの対応を残します。配置を変えることと、文章の意味を書き換えることは分けて判断します。
紙の色や写真の質感までどのように見せたいか、文字を読むためにどの確認が必要かは、実際の素材と予定寸法から相談します。今回のデジタル案だけで、原冊子の撮影や仕上がりの印刷を確認したことにはなりません。
一ページの見本と、元素材の有無を伝える
相談には、手貼りページの全体が分かる見本、残したい余白・筆跡・配置、元画像と原作品の有無を用意します。冊子全体のページ数、作りたい部数、渡す相手や時期も、分かる範囲で伝えます。掲載する作品・文章・写真の利用条件も確認します。
複写 HUKUSYAの作品集・カタログ・Web制作では、画像と確認した原稿から、構成やレイアウトをご相談いただけます。原冊子の撮影、作品の再撮影、文字起こし、再編集、予定寸法での印刷確認は、必要な範囲と費用を分けて確認します。
ご相談・お見積もりでは、一ページを見せながら「この配置を残したい」「この作品を大きく見せたい」とお伝えください。元の一冊のどこを残し、どこを組み直すかから、必要な制作方法を考えます。



