作品集の原稿用紙を先に作る|書く人が迷わない項目と見本の用意
作品集の原稿を集める前に、一人分の見本ページを用意。作品を見分ける情報、本人が残したい言葉、任意項目を分け、書きにくい人や未回答の扱いも考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

教室やグループの作品集に、作品と短い文章を載せたい。原稿を集める前に、一人分の見本ページを作ってみると、何を書いてもらうかを決めやすくなります。作品を見分ける情報と、本人が残したい言葉、分かるときだけ添える情報を分けて、原稿用紙へまとめます。
用紙の目的は、全員の文章を同じ調子にそろえることではありません。「何を聞かれているのか分からない」「どのくらい書けばよいか迷う」という負担を減らし、集まった作品と原稿を対応させやすくするための準備です。
最初に、一人分のページを組んでみる
この案では、青い急須を描いた絵を一枚のページに置き、作品名、掲載する名前、短い言葉を添えます。作品を大きく見せ、文章はその下の小さな欄で読む構成にしました。

記入例の題名は「青い急須」、掲載する名前は「なつ」です。短い言葉は「注ぎ口の曲線を何度も見直しました。青い色を重ねるうちに、少しずつ急須の丸みが見えてきました。」としました。これはページを考えるための文案です。実際に集めるときは、その人が残したい言葉を受け取ります。
先に紙面を組むと、作品と文章のどちらを主役にしたいか、文章にどれほどの場所を使えるかが見えます。用紙だけを先に細かく作るより、見本ページと照らし合わせて、尋ねる項目を選べます。
必要な作品情報と、本人の言葉を別の欄にする
原稿用紙には、まず掲載する名前と、どの作品への原稿か分かる手掛かりを設けます。作品名だけでは同じ題名があるかもしれません。写真のファイル名や、作品を集めるときの目印も対応させておくと、原稿を別の作品へ付けてしまうのを防ぎやすくなります。

この用紙の例では、「作品を見分ける目印」「掲載する名前」「題名」を作品の情報として並べています。題名が未定なら、そのまま知らせてもらいます。本人が決めていない題名を、編集側で確定したように扱いません。
本人の言葉には、「描くときに気になったことを、一つ教えてください」という問いを置きました。「作品について自由に書いてください」だけにせず、どこから話し始めるかを示すためです。制作年と素材は、分かる場合に書く任意欄としています。今回の作品集で必要のない項目まで、必須に増やさないことが大切です。
文章の長さは、見本と一緒に伝える
文章欄の大きさだけでは、何を書けばよいか伝わりにくいことがあります。今回の見本ページには、二文の短い言葉を入れました。同じくらいの量を一つの目安として示し、「一文でも構わない」「言葉を載せない場合はその旨を知らせてほしい」と添えます。
用紙の行を埋めることが目的ではありません。長い文章を書きたい人がいる場合は、別紙を受け取るか、掲載する長さを後で相談するかも決めておきます。集まってから一律に切り詰めたり、短い文へ意味のない言葉を足したりしないためです。
本の大きさや一人当たりのページ数が変われば、文章に使える場所も変わります。ほかの作品集の字数をそのまま借りず、今回の見本に合わせて案内します。
書きにくい人には、話してもらう方法も用意する
文章にするのが難しい人には、編集担当が同じ問いを口頭で尋ねる案もあります。話してもらった内容を短く整えたら、本人へ戻し、残したい意味になっているかを確かめます。本人が書いた文章と、編集担当が聞いて整えた文章を、内部の記録でも区別します。
この場合は、話を聞く人、確認してもらう方法、そのやり取りに使う時間も必要です。全員が同じ用紙へ自分で記入することを前提にせず、申し出る相手と方法を募集の案内に入れておきます。
言い回しや文章の長さが違っていても、作品に添える本人の言葉として残せることがあります。共通の項目を用意することと、全員の語り口をそろえることは分けて考えます。
空欄や未回答のとき、どう進めるかを決めておく
題名がまだ決まらない、制作年が分からない、文章は載せたくない。空欄になる理由は一つではありません。分からない項目、後で答えたい項目、掲載を希望しない項目を区別して知らせてもらえるようにします。
回答がない人の文章を、編集担当が代わりに創作して埋めることは避けます。作品情報だけで掲載するのか、本人の確認を待つのか、今回は掲載を見送るのか。作品と名前の確認状況も踏まえて、必要な相手と相談します。
集める案内には、原稿の渡し方と締切、分からないときの連絡先も添えます。今回の原稿用紙と見本ページを一緒に渡し、参加者が何を返せばよいか分かる状態にしてから集め始めます。
見本ページと原稿用紙から、編集を相談する
複写の作品集・カタログ制作では、お持ちの作品画像や文章から、構成と紙面を相談できます。原稿を集める前なら、見せたい作品、載せたい情報、参加者がどのように原稿を用意できるかをお知らせください。
一人分のページを見ながら必要な項目を選び、原稿の取りまとめと編集・デザインの担当範囲を確かめます。聞き取りや原稿の整理が必要な場合も、誰がどこまで行うかを先に相談して進めましょう。



