家族の紙資料をデータ化したら、原本を手放す前に確かめたいこと
家族の写真や手紙をデータ化した後、原本をどうするか。画像に残した範囲と、物として残したい理由、本人・家族の希望を分け、追加記録・原本保管・判断保留を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

家族の写真や手紙、写真帖の画像を受け取った。これを機に紙を整理したいけれど、原本も残しておくべきか迷うことがあります。
画像で内容を見返せることと、原物を持ち続ける理由がなくなることは、同じ判断ではありません。手放すかを急いで決める前に、「画像に残した範囲」「物として残したい理由」「本人・家族の希望」を、資料ごとに分けて確かめます。
画像に残した範囲と、原物の行き先を分けて考える
最初に、後から何を見返したいかを考えます。写真の表だけでよいのか、裏の書込みや台紙も必要か。手紙の本文だけでなく、封筒や添付されたものも残したいのか。必要な面・ページ・部分がどの画像に対応しているかを確かめます。
見たい箇所が見つからないときは、その資料の原本についての判断をいったん保留し、追加で記録する必要があるかを相談します。納品ファイルが開くことを確認するだけで、資料のすべてを記録したと決めないようにします。
そのうえで、原物として持っておきたい理由があるかを考えます。画像を読む目的と、物を残す目的を分けると、同じ資料でも別々に決めるべきことが見えてきます。
物として残したい理由を、本人や家族と確かめる
本人が持っていた手紙や、家族で作った写真帖は、そこに書かれた内容だけが残す理由とは限りません。実際の大きさ、綴じ方、手元に置いてきた物であることなど、自分たちが何を大切にしているかを言葉にしてみます。
自分には画像で十分でも、ほかの家族が原物を持っておきたいと思っている場合もあります。誰の希望をまだ聞いていないのか、原物を持つ人と画像を使う人は誰なのかを、分けて確かめます。
希望が決まっていない資料を、ほかの資料とまとめて処理する必要はありません。確認する相手と内容が分かるようにして、判断を保留する資料として分けておけます。
一枚の画像で分かる内容と、未確認の原本のこと
『大阪府写真帖』再版の23コマを参考図版に、画像から見える内容と、この一画像では確かめていない原本のことを並べました。ここでは建物が並ぶ図版を見られますが、原本の紙質、裏面や前後のページ、現在の状態まで、この画像一枚から確認したわけではありません。

この参考図版は、家族の資料を整理した実例ではなく、国立国会図書館の原本を手放すことを想定したものでもありません。1914年は写真帖の出版年であり、個々の写真の撮影日を示すものではありません。
手元の家族資料でも、「画像で見返せること」と「原物について、まだ聞いていないこと」を分けてみます。画像に写っていない面が必要なら追加記録を、物として残したい希望があれば持つ人や置く場所を、希望が未確認なら誰に聞くかを考えます。
デジタル化と、原資料を残すことは両立する
国立国会図書館は、原本の利用による汚損・破損を避けるためにデジタル化し、原本に代えてデータを提供するという目的を説明しています。画像を利用できるようにすることと、原本を持つことを分けて考える例です。参考資料
また、同館の「資料保存の在り方」では、媒体を変換した後の原資料にも、適切な保存対策を行う方針を示しています。これは2013年改訂の同館の方針であり、家庭の資料すべてを保存する義務や、手放してよい物の基準を示すものではありません。参考資料
家庭でどうするかは、資料の内容と物として残したい理由、本人・家族の希望から考えます。撮影や画像を受け取ったことだけを、原物の価値や処分の可否を決める根拠にはしません。
追加記録・原本保管・判断保留を、資料ごとに選ぶ
見返したい面や部分が足りない
資料名と該当する画像、追加で残したい面や部分を対応させます。追加撮影が必要か、どのような方法で対応できるかを、原物を確認できる間に相談します。
内容だけでなく、物としても残したい
誰が原物を持つか、どこへ置くか、画像を見返したい人へどう渡すかを決めます。原物を残す人と、画像を使う人が同じである必要はありません。決めたことを、関係する家族で共有します。
本人や家族の希望が分からない
判断を保留する資料として分け、誰へ何を確認するかを書いておきます。原物の行き先が未定のまま、データ化済みという理由だけで、次の扱いまで決めないようにします。
画像で気になる箇所は、資料名とファイルを添えて相談する
複写 HUKUSYAの撮影・納品についてのFAQでは、表裏や細部など残したい範囲、原物の返却日と画像の納品日、納品後の問い合わせについて案内しています。
受け取った画像で不足が気になる場合は、資料名、該当ファイル、残したい面や部分、原本を確認できる期間をお知らせください。依頼した撮影範囲と照らし合わせ、追加撮影の必要や対応可否、費用を確認します。今ある画像から冊子などを作りたい場合も、撮影とは別の制作範囲として相談できます。
データの保管期間、再納品や追加対応の条件は、一律に約束されていません。原物をいつまで確認できるかも含め、必要な条件を個別に確かめます。原物を残すかどうかの希望は、本人・家族で決める内容として分けておきます。
紙を整理しようと思ったら、まず一つの資料から、追加で記録したいこと、物として残したいこと、誰かへ聞きたいことを分けてみてください。
参考資料
- 国立国会図書館:資料デジタル化について — 原本に代えてデジタルデータを提供する、同館の目的説明を参照。
- 国立国会図書館における資料保存の在り方 — 2013年改訂。媒体変換後の原資料にも対策を行う同館の方針を参照。
- 大阪府 編『大阪府写真帖』再版、23コマ — [大阪府]、1914(大正3)。国立国会図書館デジタルコレクション、請求記号406-56、DOI:10.11501/966056。保護期間満了の公開画像を利用。



