作品集を作らず一枚の紹介紙から始める
一点の作品を初めて見る人へどう紹介するか。完成した一枚の紙面を見ながら、作品画像、作品名・作者、観察できる短い一文を選びます。
HUKUSYA / JOURNAL

自分の作品を一点だけ、初めて見る人へ渡したい。画像を用意しても、経歴や制作の理由まで書こうとすると、どこから読めばよい紙なのか分かりにくくなります。最初の一枚では、作品をよく見られることと、作品へ戻るための短い手がかりを優先してみます。
この案では、窓辺の椅子を描いた一点を《午後の椅子》とし、作者名を青木 遥として紹介紙を組みました。実際に配る紙なら、作品名と作者表記を本人の記録と照らしてから使います。
まず、作品を見られる一枚にする

紙面の大半を作品に使い、外側の白い余白まで見える大きさで置きました。窓と椅子の位置、壁と床を斜めに横切る光を、一枚の中で確かめられます。作品名と作者は画像のすぐ下へ。手元で見返したときも、別の作品の説明と取り違えにくい並びです。
添えた文章は「窓の光が床を横切り、椅子の影を左へ長く伸ばします。」の一文だけ。作品から目を離して長文を読むより、言葉を手がかりにもう一度絵へ戻れるようにしました。紹介紙をPDFで見る(A4・一ページ)こともできます。
説明文は、見えることから一つ選ぶ
この絵なら、椅子の形、窓の外、光の向き、床の影と、書けることはいくつもあります。最初の文案に「静かな午後への思いを込めた」と書けば、見た目より作者の気持ちを先に説明することになります。その言葉を作者が確かめていないなら、紹介紙には採りません。
代わりに、目で追える光と影を一つの文へ絞りました。「左へ長く」は、椅子の左側の壁と床にある影を見れば確かめられます。この一文で作品の意味を決める必要はありません。見る人が気になった場所へ戻り、別の見方もできる余白を残します。
作者自身が制作の理由を伝えたい場合は、その言葉を確認して載せられます。ただし、初めて渡す一枚に経歴、制作過程、展覧会歴を一度に押し込むと、作品画像が小さくなります。今回の紙面ではその情報を足さず、まず一点を見てもらう役割に合わせました。
一枚に載せない情報も、後で確かめられるように
制作年、素材、寸法は、この紙面では示していません。分からない値を埋めるために「頃」や技法名を推測しないためです。展示記録や販売の資料として必要なら、作品や手元の記録を確認し、正しい項目を加えます。反対に、初見の人へ短く渡す紙であれば、基本情報と一文から始められます。
画像を使う前には、作品全体の向きと四辺、作品名・作者の対応を見ます。紙で配るのか、PDFを特定の相手に送るのか、Webで誰でも見られるようにするのかも分けて考えます。同じ画像でも利用先が変われば、掲載してよい範囲や必要な大きさを改めて確認します。[1]
画面でこの一枚を見せる場合、画像の中の文字だけに頼らないようにします。作品名、作者、短い説明を本文にも置き、画像の代替テキストでは窓と椅子、光と影の見え方を補います。[2]
一作品の画像から、渡し方を相談する
作品の画像がまだない場合は、一作品からの撮影・スキャンを相談できます。作品全体をどう残すか、紙や画面でどの大きさに使うかを先に伝えると、必要な画像を考えやすくなります。すでに画像がある場合は、画像と文章の編集として、見せたい相手と一枚の役割から紙面を相談できます。撮影、編集、印刷やWeb掲載の範囲と費用はそれぞれ確認します。[3]
作品の種類と大きさ、手元にある画像、正しい作品名と作者表記、紙で渡すか画面で見せるかをお知らせください。一点を見せるために必要な画像と、添える言葉の範囲から整理できます。
参考資料
- 複写「作品画像を別の媒体で使うときに」。配布とWebなど利用先ごとの確認を参照。
- 複写「作品画像のaltテキストの書き方」。画像で補う説明と、本文との重複を減らす考え方を参照。
- 複写「絵画・書道・立体作品の撮影・スキャン」、「作品集・カタログ・Webサイト制作」。一作品からの撮影、既存画像からの編集、制作範囲の確認を参照。
参照日:2026年9月30日。



