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書きかけの原稿を家族の本に――残った本文と補足を分けて載せる

未完の原稿は、結末を書き足さずに紹介する方法もあります。原稿をそのまま載せる、範囲を選ぶ、家族の別文を添える方法を比べ、本文と注記の分け方を考えます。

布の上に置いた閉じた木箱と、文字のない紙の束、一本の鉛筆HUKUSYA / JOURNAL

家族が書きかけのまま残した原稿も、残っている範囲と紹介する方針を決めて、一冊へまとめることを相談できます。結末を家族が書き足して完成形にしなければ、本にできないということではありません。

原稿を残った形で紹介する、確認できた部分を選ぶ、家族の文章を別に添える方法があります。まず、どこまで本人の文章が確認できるかを整理し、続きを見つけていないことと、本人が書かなかったと分かっていることを区別します。理由が確かめられない途切れを、作者の意図で終えたものとは決めません。

途切れた理由が分からなくても、原稿の状態は伝えられる

次の短文が途中で止まっている場合を考えます。

秋の夕方、押入れから小さな箱を出した。ふたの裏には、見覚えのある青い紙が貼ってあった。箱の中には、

読み手は箱の中身を知りたくなりますが、ここから先を推測して書き足すと、本人が残した文章とは別の内容になります。続きが別の紙にあるのか、手元から失われたのか、そこで執筆を止めたのかは、この短文だけでは分かりません。

実原稿では、前後の紙、ページ番号、綴じられた順序、別に保管されたファイルなどを確認します。それでも分からなければ、「続きは確認できていない」と記録します。「ここで書くのをやめた」「本人はこう終えたかった」と、原因や意図まで補わないことが大切です。

残った文章をそのまま紹介するか、選んで載せるか

文章が途切れるところも含めて紹介したいなら、本人の本文を確認できた末尾まで載せ、どこで途切れているかを注記する方法があります。原稿の書き方も残したい場合は、文字として組む本文とは別に、必要な原稿画像を載せるかも相談できます。

家族が読みやすい冊子にしたいなら、まとまりとして読める範囲だけを選ぶ案もあります。その場合は、原稿の全部なのか一部なのかが分かる説明を添え、選ばなかった部分も原資料として残します。抜粋したことで、元の文章の順序や関係が変わっていないかも見直します。

先ほどの短文なら、最初の二文を選ぶ案と、三文目の途中まで紹介する案では、読者に伝わる原稿の状態が変わります。どちらが正解と一律に決めず、文章の内容を読んでもらいたいのか、執筆途中の状態も残したいのかを、発行責任者と合わせます。

本文・編者注・家族の別文を、別の声として組む

途切れた原稿を紹介し、家族の思いも添えるなら、次のように役割を分ける構成を考えられます。これは先ほどの短文を使った掲載案で、実際の家族への聞き取りや原稿調査の結果ではありません。

本人の本文を置く

秋の夕方、押入れから小さな箱を出した。ふたの裏には、見覚えのある青い紙が貼ってあった。箱の中には、

この案では、確認できる本文を途中の読点まで載せ、結末を補いません。文字を入力する際の誤記修正や、読みにくい箇所の扱いは、原稿の現状と変更した点が分かるように別に決めます。

原稿の状態を編者注で説明する

手元の原稿は「箱の中には、」で途切れています。以後の文章は確認できていません。

これは文章の残り方を読者へ伝える注記の案です。欠落か未執筆かは確定せず、箱の中身を推測する説明にもしていません。実際には、調べた範囲と原稿の状態に合う文へ直します。

家族の文章は、書き手を分けて添える

この場面を読んで、家に残る箱のことを思いました。文章に出てくる箱がどれなのかは、分かっていません。

このような別文を添える場合も、家族が書く内容として本人に確かめてもらい、誰が書いたかを示します。元の文章の続きへそのままつなげず、見出しや配置で声の変わる位置を分けると、家族の感想が作者の言葉として読まれることを避けられます。

解説や補足を添えても、作者の結末にはしない

未完の文章と、別の書き手による文章を一冊へ収めた刊行例もあります。白澤社の『三木清遺稿「親鸞」』は、未完の原稿を日本思想史家の解読と合わせて復刻する本として案内されています。[1] ここでは、残された原稿と、それを読む別の書き手の文章を組み合わせる構成の参考にします。

家族が続きを書きたい場合は、家族による創作として本人の原稿と分けて発表する方法を相談します。書き手と追加した範囲を示し、本人が構想していた結末が見つかったかのようには紹介しません。

収録する範囲と、確認する人を決めてから紙面へ進む

原稿の持ち主や事情を知る人だけで、すべての確認が済むとは限りません。発行責任者を決め、原稿や画像を使える条件、家族だけに配るか販売もするか、実在する人の記述をどう扱うかを、今回の掲載範囲に合わせて確認します。

確かめられない箇所は保留し、その部分を使わない構成も検討できます。原稿そのものを紹介する範囲と、注記や家族の文章を新しく作る範囲が決まると、必要なページ数や画像の準備、編集の担当も相談しやすくなります。

原稿の現状と、家族が添えたいことをお知らせください

複写 HUKUSYAへ相談するときは、残っている原稿、確認できた順序や範囲、家族が添えたい文章を分けてお知らせください。完結していないことを隠すために原稿を直してから渡す必要はありません。

原稿の画像化、本文の入力や整理、注記と家族の別文を含む冊子編集では、必要な作業が違います。続きを創作する仕事まで当然に含まれるとせず、冊子・書籍の編集と制作の案内から、担当・費用・最終確認の方法を個別に確かめて進めます。

参考資料

  1. [1] 白澤社『三木清遺稿「親鸞」』の内容紹介(未完の原稿と解読を組み合わせた構成)
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