毎年の作品集を、どう続ける?――各冊の書名と共通名・号の役割を決める
各冊でまとめる内容と、刊行全体として続ける内容を分けましょう。二年分の表紙表示と目次の構成図から、個別書名・共通名・号の役割と、次の年の担当や原稿の範囲を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

教室や団体の作品集を毎年作りたいときは、各冊で何をまとめるかと、刊行全体として何を続けるかを分けて決めましょう。同じ名前を表紙に置くだけでは、一冊ごとの範囲や次の年の準備が曖昧になることがあります。
各冊の主題と書名を中心にする案、共通の誌名と号を中心にする案を、二年分の表紙表示と目次で比べてみます。呼び名を選ぶ前に、誰が何を読み、次の年にどの原稿を集めるのかをそろえます。
一冊で読み終えられる内容と、続ける内容を決める
一年の作品を一つの主題でまとめ、その冊子だけで読み終えられる形にするなら、各冊の書名を中心に考える案があります。共通名は、複数の冊子の関係を示すために添えます。次の冊子は別の主題と内容で組めます。
作品と活動の記録を同じ枠組みで続けるなら、共通の誌名と、第何号に当たるかを中心にする案があります。今号に収める期間や内容を決め、過去の号と次の号の関係も示します。
どちらも、一冊の中で読む範囲をはっきりさせることが先です。共通名の有無だけで、刊行物の制度上の扱いまで決まるものとして進めないようにします。
二年分の表紙表示と目次を、二つの案で比べる
この案では、一年目は葉の形、二年目は色の重なりを主題にする作品集を考えます。「一年目」「二年目」は構成を比べるための呼び名で、実際の発行年や刊行決定を示すものではありません。作品や活動原稿の受領、作者や発行責任者の確認も、ここで済んだ扱いにはしません。
次の枠は、表紙に載せる名前の役割と目次の構成図です。実際の表紙デザインや印刷仕様を決めたものではなく、四つの表紙表示と目次を読み比べるために作った案です。
案A|一冊ごとの書名を中心にする
一年目の構成案
表紙の表示案
小さな作品集
葉のかたち
一年目の作品を収める巻(案)
目次の案
- 葉を主題にした作品
- 作品についての短文
- 作品・作者の一覧
二年目の構成案
表紙の表示案
小さな作品集
色の重なり
二年目の作品を収める巻(案)
目次の案
- 色を主題にした作品
- 作品についての短文
- 作品・作者の一覧
共通名は二冊の関係を示します。各冊の主題はそれぞれにまとめ、次の年の刊行は別に決めます。
案Aでは、『葉のかたち』と『色の重なり』が各冊の中心の書名です。「小さな作品集」という共通名は、二冊に関係があることを示します。前の冊子を持っていない方にも、その一冊で扱う主題が分かる案です。
案B|共通誌名と号で続ける
一年目の構成案
表紙の表示案
作品と活動のノート
第1号(案)
今号のテーマ:葉のかたち
目次の案
- 今号の作品
- 活動の短文
- 次号に向けた案内
二年目の構成案
表紙の表示案
作品と活動のノート
第2号(案)
今号のテーマ:色の重なり
目次の案
- 今号の作品
- 活動の短文
- 次号に向けた案内
第2号は構成を比べるための案です。次号の担当・原稿範囲・発行時期は未確定で、実施を約束する表示ではありません。
案Bでは、「作品と活動のノート」を二年とも共通の誌名として置き、号で順序を示します。葉や色の主題は今号のテーマとして添え、目次は作品・活動の短文・次号への案内という共通の枠組みで考えます。
この二案は、名前の付け方だけを変えたものではありません。案Aは各冊の作品のまとまりを、案Bは作品と活動を続けて収める範囲を、先に決める案です。実際に残したい内容に合わせて選びます。
各冊と刊行全体で、三つのことを確認する
| 決める項目 | 二年分の案で確かめること |
|---|---|
| 各冊のまとまり | 一つの主題で作品を読み終えられる巻にするか、その年の作品と活動を収める号にするか。今回どこまでを一冊にするかを決める。 |
| 共通の表示 | 個別書名、共通名、誌名、号、対象期間の役割を分ける。同じ名前と年だけを並べず、各冊の違いと順序が分かるようにする。 |
| 続ける担当と範囲 | 次の年の発行を決める方、作品と原稿を集める方、確認する方を決める。次号の対象・締切・時期が未定なら、実施決定として案内しない。 |
表紙、扉、奥付、各冊の一覧でも、同じ名前の役割が対応するようにします。個別書名と共通名を取り違えたり、実際の対象期間と表紙の年の意味がずれたりしないかを確かめましょう。
次の年の担当と、受け渡す原稿の範囲を決める
継続する場合は、完成した冊子と一緒に、次に使う資料の範囲も残します。作品を毎年募集するのか、活動報告も収めるのか、過去の作品を再掲載するのかによって、集める原稿と確認する方が変わります。
この二年分の案を実施へ進める前なら、次の三点を発行責任者と確認します。
- 次の巻・号を出すかを決める方と、その判断の時期。
- 収める作品・活動原稿の範囲と、作者や掲載内容を確認する方。
- 原稿の締切、制作と最終確認の担当、引き継ぐデータの形式と使える範囲。
毎年出したいという希望と、次号の発行決定を分けて記録します。担当や原稿が決まっていない時点で、次の年の刊行を約束する文章を入れないようにします。
前の巻や号の案内は、実際の行先とそろえる
各冊の一覧を作る場合は、書名または誌名と号、対象年や期間、発行日を対応させます。在庫の確認や入手先を案内するなら、その時点で利用できる窓口と掲載してよい情報を確かめます。
この案の二年目の冊子はまだ計画なので、申し込めるページや入手先は置きません。案内先が決まった後に、その巻・号へ正しく進める内容へ直します。未発行の号を既刊の一覧へ混ぜず、予告と刊行済みを分けます。
ISBN・ISSNは、名前だけで当てはめない
国立国会図書館は、逐次刊行物について、同じタイトルで発行され、巻号や年月などの順序表示を持ち、終わりを定めず続く出版物と説明しています。対象例には雑誌や新聞だけでなく、モノグラフシリーズも含まれます。[1] 「一冊ずつのシリーズ」と呼ぶことだけで、ISSNの対象外と決めることはできません。
ISSNの取得は任意で、登録には対象となる出版物や媒体に応じた要件があります。[2] 表紙へ号を付けることと、番号の登録は分けて考え、実際の刊行方針と最新の要件を確認します。
日本図書コード管理センターの案内では、ISBNは書籍を対象とし、雑誌(定期刊行物)には付与できないとされています。対象か判断が難しい場合の問い合わせも案内されています。[3] ここに示した二案を、そのまま番号の取得可否の判定には使いません。
発行者が、各冊の内容、完結の予定、共通名と号の扱い、媒体、実際の発行・頒布の方法を整理し、必要な番号について各窓口へ確認します。番号を取ることや、毎年の発行が続くことを、表紙の表示だけで保証するものではありません。
今年の作品と、次の年に続けたい範囲をお知らせください
複写 HUKUSYAへ相談するときは、今回まとめたい作品と活動原稿、読む方、各冊で扱う主題や期間、次の年にも続けたい内容をお伝えください。共通名・個別書名・号の役割と、続けられる構成・表示、原稿の受け渡し方を整理します。
画像・原稿からの冊子制作案内から、構成・編集・デザインと印刷・製本の範囲を相談できます。発行方針の確認、番号取得の対応、継続制作や引継ぎの担当・作業範囲と費用は、案件ごとに決めます。
参考資料
- [1] 国立国会図書館「ISSNについて」(逐次刊行物等の説明)
- [2] 国立国会図書館「ISSN登録の要件と手続き」(取得の任意性と登録の対象・要件)
- [3] 日本図書コード管理センター「新規―注意事項同意」(ISBNを付与する出版物についての案内)



