複写 HUKUSYA
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作品画像の透かしを、線の見え方で選ぶ

作品画像へ作者名を重ねるとき、どの線や模様を残して見せたいか。同じ作品で三つの位置と、同じ位置の濃さを分けて比べ、公開用画像の編集を考えます。

同じ作品の全体と、中央に作者名を重ねた胴の拡大を横に並べる。HUKUSYA / JOURNAL

作品サイトへ版画を載せるとき、画像の中にも作者名を残したい。けれど、大きな表記を中央へ置くと、見せたい細い線や模様に重なります。名前を読めるようにすることと、作品を見せることを、同じ掲載画像で考える場面です。

まず加工していない元画像を残し、公開用の複製で位置を比べます。文字の大きさや濃さまで一度に変えず、位置を比べたあと、同じ場所で濃さを変えると、何が見え方に影響したかを確かめられます。

ここでは、クリーブランド美術館が公開するデューラーの《The Rhinoceros》の画像で、作者名を重ねる位置と線の見え方を比べる案を考えます。

元画像を残し、重ねる位置だけを比べる

同じデューラーの木版画を、文字を重ねない、中央、左下、右下の四つで比較。作者名の書体・大きさ・色・不透明度は三つの位置で同じ。
文字を重ねない全体と、三つの位置の比較。縦配置を大きく見る。画像:Albrecht Dürer, The Rhinoceros, 1515, 1993.9, The Cleveland Museum of Art / John L. Severance Fund。

この作品では、胴の曲線と細い斜めの線、輪のような模様を残して見せたいと考えました。全体には、上部の印刷文字、年と題の表記、モノグラム、紙の周囲も含めています。

加工していない元の全体画像は、そのまま保存しています。比較用の文字を重ねない画像は、他の画像と同じ条件でJPEGへ書き出したものです。元のファイルと、比較のための書き出しを分けます。

加えた表記は「Albrecht Dürer」。三つの位置では、書体をGeorgia、大きさを元画像上で128px、色を#26363b、文字の不透明度を0.35にそろえました。全体は3400×2695ピクセル、JPEG品質96で書き出しています。

全体を一枚ずつ見る場合は、中央、左下、右下を開けます。中央の表記は胴の曲線や細線と重なり、文字の輪郭が作品の線に紛れる箇所があります。全体での位置を見たら、重なっている部分も拡大して比べます。

端へ動かしたら、足元の線も見る

左下の脚と交差線、右下の地面と石を、文字を重ねる前後で同じ範囲から比較。左下では交差線に、右下では石の輪郭に作者名が重なる。
各行で、文字を重ねる前後の同じ部分を比較。縦配置を大きく見る

左下へ移すと、作者名は脚と足元の濃い交差線に重なりました。同じ濃さの文字でも、交差する線が文字の中を通り、名前の輪郭が紛れます。胴を避けた位置にも、見せたい線があります。

右下では、中央や左下より作者名を読み取れます。ただし、地面の石の輪郭とも重なっています。この画像では「端へ寄せればどの線も避けられる」とは言えません。右下の余白だけを見るのではなく、その中に何が描かれているかも確かめます。

自分の作品なら、見せたい線、細かな模様、署名や落款の場所を先に伝えます。その場所を避ける候補を作り、作者名の頭から末尾までが収まるかを、全体と部分の両方で確認する進め方です。

中央で、文字の濃さだけを変える

中央の胴の同じ範囲を、文字を重ねない、不透明度0.35、不透明度0.15の三つで比較。濃さ以外の位置・書体・大きさ・色をそろえる。
同じ中央位置で、文字の不透明度だけを変えた比較。縦配置を大きく見る

次は位置を中央に戻し、書体・大きさ・色を変えず、文字の不透明度だけ0.35から0.15へ下げました。中央を薄くした全体画像も、他と同じ寸法とJPEG条件です。

薄くした画像では、作者名自体がさらに見えにくくなっています。胴の曲線や輪の模様と重なる場所は、そのままです。文字が弱く見えることと、重なりを避けることは別に確かめます。

0.35と0.15は、この画像を比べるための条件です。作品の色、線の密度、表記の長さ、公開するときの大きさが変われば、見え方も変わります。数値をそのまま自分の作品の答えにせず、掲載する幅でも、作品の線と名前の両方を見て決めます。

画像内の名前と、作品説明を一緒に考える

この案で画像に加えたのは、作品の作者を示す名前です。作品名、作者、所蔵先、出典への案内は、画像のそばの通常の文字にも残します。画像内の作者名だけへ、作品を紹介する情報をすべて持たせない構成です。

切り替えて比べる画面を用意するなら、文字を重ねない全体、中央、右下、左下、中央を薄くした画像を同じ大きさで表示し、最初の全体へ戻れる順を考えます。同じ部分を選んだまま比較する入口と、加工していない元画像を開く入口もそろえます。

作者名を重ねる加工は、切り取りや転載を防ぐ保証にはなりません。希望する表記と利用条件を確認する際は、作品の著作権表示とクレジット、作品画像を別の媒体で使うときの確認も、掲載先に合わせて考えます。

残したい細部を示して、公開用画像の編集を相談する

相談するなら、加工していない元画像と掲載先に加え、「この胴の細線を残したい」「署名に重ねたくない」と、作品の具体的な場所を示します。入れたい表記の綴りと、通常の作品説明欄に載せる情報も合わせると、画像内で何を読めるようにするかを話せます。

複写の作品集・カタログの制作案内では、手元の画像や作品情報から、本やWebへ見せる形を相談できます。作者名を加える編集の範囲、公開用の画像サイズ、加工しない保存画像の扱いを、使う場所に合わせて決めていきます。

画像サイズや圧縮の詳しい考え方は、作品画像を軽くする方法で紹介しています。見せたい細部と、公開用画像へ加えたい表記を、ご相談時にお知らせください。

参考資料

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