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正誤表を資料冊子へ使う 手元の原本に必要な訂正を確かめる

同じ書名の正誤表でも、保存した原本にはすでに訂正が反映されている場合があります。二つの電子原本の一語を照合し、版表示・頁・位置の確かめ方と、資料冊子に添える注記を紹介します。

保存原本AのrandomnlyとBのrandomly。訂正前と訂正後の語を原本で照合する。HUKUSYA / JOURNAL

地域や団体の資料紹介冊子を作るとき、掲載する本に発行元の正誤表が見つかることがあります。訂正を添える前に、手元の原本の版表示と該当箇所を確かめます。同じ書名でも、保存した電子版ではすでに直っている場合があるためです。

原本の識別表示、頁と位置、そこにある語句を正誤表へ対応させると、添えるべき訂正と、重ねる必要のない訂正を分けられます。公開されている教科書の一語を例に、紹介冊子へ反映するまでの確かめ方を見ていきます。

書名に加えて、手元の原本を識別できる表示を残す

紙の本なら奥付の版・刷など、電子版なら版表示や更新日を記録します。電子版は入手先も残し、照合に使ったファイルを保存します。後から同じ配布先を開いても、内容が更新されていることがあるからです。

ここでは、OpenIntroが案内する二つの配布先から保存した『OpenIntro Statistics』第四版を使います。Aはtablet向けPDF、Bは公式配布先LeanpubのSample PDFです。第2頁にある識別表示を、それぞれの原本から抜粋しました。[1]

保存原本AとBの第2頁の抜粋。どちらもFourth Editionで、AはAugust 12th, 2019、BはDec 30th, 2024の更新表示。
同じ第四版でも、保存した二つの電子原本には異なる更新日が記されています。この日付を紙の本の刷番号として扱うことはできません。識別表示を大きく見る

この比較で分かるのは、今回保存した二つの電子原本の状態です。二冊の紙の本を比較した例ではありません。資料紹介でも「第四版」とだけ記すより、照合した更新表示と入手先を合わせて残すと、どの原本を使ったかをたどれます。

正誤表の頁・位置・訂正前の語を原本へ対応させる

発行元の正誤表では、第19頁のExercise 1.4について、randomnlyをrandomlyへ直す一項が掲載されています。頁だけで決めず、設問番号と語句まで原本で確かめます。行の折り返しが違う電子版では、同じ位置を探す手掛かりになります。[2]

保存した原本の第19頁・Exercise 1.4を照合した結果
原本 原本にある語 正誤表との対応
A:2019年8月12日更新表示 randomnly 訂正前の語に一致
B:2024年12月30日更新表示 randomly 訂正後の語に一致
原本Aの語randomnlyと原本Bの語randomlyを別々に抜粋。発行元の正誤情報はrandomnlyからrandomlyへの訂正で、Aには訂正を添え、Bには重ねない。
設問番号と語句は、原頁から別々に抜粋しています。元の行配置を再現した図ではありません。原本の文字は変更せず、発行元の訂正と照合結果を別の欄に置いています。語句の対応を大きく見る

Aには訂正前の語が残っています。Aの紙面を紹介するなら、原画像を保ったうえで発行元の訂正を添えられます。Bの同じ箇所はすでに訂正後の語なので、この一項をさらに「誤り」として付け足す必要はありません。

正誤表の日付は、どの媒体の欄かを確かめる

この正誤表には、表への追加日と、媒体ごとの訂正実施日があります。対象の一項が表へ追加された日は2019年10月20日。「Regular Free PDF」欄の訂正実施日は2019年11月12日で、紙の本の欄とは日付も異なります。

一方、tablet向けPDFの欄はありません。「Regular Free PDF」の日付を、そのままAへの訂正実施日と読むことはできません。今回の判断は日付からの推定ではなく、保存したAとBの第19頁に実際にある語句に基づいています。

手元の本でも、正誤表が示す版や媒体と合うかを先に確かめます。対象が分からない場合や、指定された頁・位置に同じ語が見つからない場合は、その項目の反映をいったん止め、発行元の説明などで対応を確認します。

原画像と訂正の説明を分けて載せる

資料そのものを紹介する紙面では、原画像の文字を塗り替えると、保存原本に何が書かれていたかが分からなくなります。画像のそばに、対象の頁・位置、原本の表記、発行元の訂正を短く添える方法があります。

Aを使う場合の注記例です。

保存原本は第四版、2019年8月12日更新表示。第19頁・Exercise 1.4の原文は「randomnly」。発行元の正誤表では「randomly」へ訂正されています。掲載した原画像の文字は変更していません。

本文を文字起こしして訂正後の語を採用する場合も、原文から変更した箇所が分かるようにします。紹介する範囲と利用条件を確認したうえで、原画像、文字起こし、説明のどこに訂正を反映するかを決めます。

照合した一項と、まだ確かめていない範囲を分ける

一つの訂正が対応したことは、その本のすべての誤りを確認したことにはなりません。今回確かめたのも、二つの保存電子原本の第19頁・Exercise 1.4にある一語です。冊子の作業記録には、使用原本、紹介する頁、参照した正誤表、反映した項目を残します。

対応が分からない項目は、理由とともに確認待ちへ分けます。たとえば「頁は同じだが該当する語がない」「対象の版が記されていない」など、次に確かめる場所が分かる書き方にします。別の原本へ差し替えた際には、その原本でも同じ訂正が必要かを確かめ直します。

資料冊子の相談には、原頁と確認済みの訂正範囲を添える

複写では、地域や団体の記録を紹介する冊子やWebの制作について相談を受け付けています。原頁の画像と説明を整理するときは、使う原本の識別表示、紹介する頁、発行元の正誤表、確認済みの訂正範囲をそろえると、紙面へ載せる内容を検討しやすくなります。

掲載先が冊子かWebか、原画像と文字起こしのどちらを使うか、利用許諾をどこまで確認したかも添えてください。地域・文化・公共の資料制作についてをご覧いただき、お問い合わせからご相談いただけます。

原資料と図版の利用条件

[1] David Diez, Mine Çetinkaya-Rundel, Christopher D Barr『OpenIntro Statistics』Fourth Edition。OpenIntro公式配布案内を起点に保存したtablet向けPDFとLeanpub Sample PDFの、第2頁と第19頁から必要箇所を抜粋しました。

[2] 発行元の公開正誤表、第19頁・Exercise 1.4の一項。正誤表全体を転載したものではありません。

原本の該当抜粋はCC BY-SA 3.0に基づいて使用しています。複写が抜粋を配置し、日本語の見出しと照合説明を追加した図版の翻案部分にも、同じライセンスを適用します。原本の文字は変更していません。複写のロゴなど、独立した商標表示はこのライセンスの対象に含みません。この利用条件は、相談者が所有する別の資料の掲載許諾を示すものではありません。

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