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社史用の集合写真で人物が分からないとき

社史に使いたい集合写真の人物名が分からないとき。写真に写ること、保管袋の記載、未確認事項を分け、短いキャプションと一頁に整える方法を示します。

建物の前に7人が並ぶ古い集合写真と、社史への載せ方を問う見出し。HUKUSYA / JOURNAL

周年冊子の写真を選んでいたら、建物の前に人が並ぶ古い集合写真が見つかった。雰囲気は社史の一頁に合いそうなのに、写っている人の名前が分からない。保管袋には短いメモがあるものの、疑問符が付いている。そんな一枚を、説明できる範囲を超えて断定せずに載せるにはどうすればよいでしょうか。

この案では、建物の前に7人が並ぶ写真と、保管袋に「旧事務所前?」と書かれていた場合を考えます。写真から読み取れること、袋に書かれたこと、後で寄せられるかもしれない記憶を混ぜないまま、冊子のキャプションを組み立てます。

写真に写ることと、袋に書かれたことを分ける

この写真で直接確かめられるのは、建物の前に7人が並んでいることです。一方、「旧事務所前?」は保管袋の文字です。疑問符を含むその記載から、建物が実際に旧事務所だったとまでは言えません。服装や建物の様子から撮影年を決めたり、仕事仲間に見えるから全員を社員と呼んだりすることも避けます。

写真の情報を記録するとき、文字がどこに、どう書かれているかを残す実例があります。福岡市博物館の収蔵品目録では、写真に関する記載を「裏にペン書」として記録しています。写真そのものの説明と、裏面に残る文字の出所を区別できる書き方です。[1] この案でも、袋のメモを確定した撮影場所へ言い換えず、「袋にそう書かれている」と扱います。

集合写真の情報を、写真で見える7人、保管袋の『旧事務所前?』、未確認の撮影年・場所・氏名に分けた図。
同じ一枚について、写真で見えること、袋の記載、まだ確かめていないことを別の欄に置きます。画像を開くと拡大できます。

名前を尋ねるなら、位置と情報源を同時に残す

心当たりのある人に写真を見てもらうときは、「左端の人」のような言い方だけでは、後列と前列を取り違えるかもしれません。この案の確認メモでは、後列を左から1~4、前列を左から5~7と仮に番号付けします。番号は冊子に人名の代わりとして載せるものではなく、社内で同じ人物を指すための目印です。

候補の名前が挙がったら、その番号に名前だけを入れず、誰が、いつ、何を根拠にそう考えたかを書き添えます。本人の話なのか、別の写真との照合なのか、記憶による推測なのかで、確認の強さは違います。資料管理の分野では、複数の情報源を関連付け、後で確認や更新ができる記録が重視されています。[2] これは社史担当者への義務ではなく、聞いた話を確定情報へ早変わりさせないための実務上の工夫です。

もし「後列の2番はAさんだと思う」と「別の人ではないか」という声が並んだら、片方を消して冊子の締切に合わせる必要はありません。二つの情報源と未確認の状態をメモに残し、確認できなければ紙面に氏名を載せない判断ができます。写真ID、番号、情報提供者、確認日、根拠、現在の扱いを一行で追えるようにすると、後から新しい資料が出た際にも再検討できます。

未確認を残したまま、社史の一頁にする

冊子に必要なのは、内部の確認履歴をすべて印刷することではありません。たとえば「旧事務所前の社員7人」と書けば短く収まりますが、この案では場所も雇用関係も確かめていません。その文案は採用せず、見えることと袋の記載の出所が分かる、次の長さに整えます。

建物の前に7人が並ぶ。保管袋には「旧事務所前?」とある。撮影年・場所、人物名は未確認。

「旧事務所前?」の疑問符を消さず、「保管袋には」と付けることで、写真の中で確かめた場所ではないと読めます。人物名がないことも隠しません。将来、撮影年や名前を裏付ける資料が見つかれば、確認メモの出所を見ながら改訂できます。

7人の集合写真を大きく置き、保管袋の『旧事務所前?』と未確認事項を短いキャプションで示した社史の一頁案。
この案の完成紙面。写真を主役にし、言えることだけをキャプションへ置きました。画像を開くと拡大できます。

社内の確認メモには、写真の保管場所、袋との対応、位置番号、候補の出所を残せます。一方、冊子の読者に見せるのは、現時点で説明できる短い文だけ。確認メモを紙面に詰め込まないことで、写真も説明も読みやすくなります。

人物名が分かっても、掲載条件は別に確かめる

人物を特定する作業と、写真を冊子やWebに使えるかという判断は別です。原本を誰が保管し、撮影者や利用条件について何が分かるか。冊子の配布範囲とWeb掲載の有無はどうか。写る人について確認が必要なことはないか。これらは、編集を進める前に社内の担当者と確かめたい項目です。著作権だけでなく肖像など、写真の利用に関わる条件が問題になる場合もあります。[3] 個々の写真の掲載可否は、資料と利用先の条件を踏まえて別に判断します。

複写へ相談するときは、紙焼き写真と保管袋を対応が分かる形で示し、冊子に載せたい候補、確認済みと未確認の説明、予定する媒体を伝えてください。企業資料のデータ化と活用では、記録写真の撮影・データ化から、資料の選定や説明、冊子・Webでの紹介まで、依頼範囲を組み立てる相談を案内しています。[4] 人物の同定や権利の判断を済ませた前提にせず、社内で何を確認するかを持ち寄るところから始められます。

名前が空欄の写真でも、写真が示す場面と資料の限界を一緒に伝えることはできます。言える範囲を定めてから載せ方を考えることが、後で説明を直せる社史の一頁につながります。

集合写真のデータ化と社史での使い方を相談する →

参考資料

  1. 福岡市博物館「令和3年度収集 収蔵品目録39」、印刷頁244、項目1270・1275。写真裏面の文字を「裏にペン書」と記す例を参照。
  2. Collections Trust, Spectrum 5.1: Cataloguing。複数の情報源の管理と照合に関する手順を参照。
  3. 文化庁「他人の著作物を利用したい場合など」。著作権、肖像等の権利や利用条件に関する説明を参照。
  4. 複写「企業資料のデジタル化と広報・社内共有への活用」。記録写真、資料の選定・説明、冊子・Webの相談範囲を参照。

参照日:2026年9月30日。

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