作品の思い出を文章にできないとき 聞き取りから一冊を作るには
作品の思い出を本人が文章にできないとき。聞き取り、記録、文字起こし、編集、本人の確認を分け、家族ができることと依頼したい作業を整理して一冊の準備を進めます。
HUKUSYA / JOURNAL

家族の作品を一冊に残したい。本人は絵を見ながら思い出を話してくれるけれど、原稿を書くところまでは進まない。そんなときは、自筆の文章がそろうのを待つほかに、話を聞いて記録し、読む文章へ整える進め方があります。
聞き取り、記録を文字にする作業、原稿の編集、本人の確認は、それぞれ別の仕事です。家族ができることと、外へ相談したいことを分けると、原稿がない段階からでも、一冊を作るための準備を考えられます。
最初は、一つの作品を見ながら話すところから
いきなり生涯の出来事を順番に話してもらうより、本人が話したい作品を一つ選び、その絵を見ながら始める案があります。「この作品の、どこから話したいですか」「描いていたときに覚えていることはありますか」と、答えを決めつけない問いを用意します。
家族が聞きたいことと、本人が本へ残したいことが同じとは限りません。話したくない時期や人のこと、作品名だけで載せたい絵があれば、それも先に確かめます。話す量をそろえるために、答えにくい質問を重ねる必要はありません。
全部の作品へ文章を付けるかどうかも、最初から決め切らなくて構いません。一つの作品について話した内容から、作品を大きく見せるページと、言葉を添えるページの使い分けを考えられます。
録音、文字起こし、原稿づくりの担当を分ける
「話を聞いて本にする」と頼む前に、どこからどこまでの作業が必要かを整理します。下は、担当を相談するための表です。
| 作業 | 先に相談すること |
|---|---|
| 話を聞く・記録する | 誰が聞くか、作品をどこで見られるか。録音するか、メモにするかを本人と決める。 |
| 記録を文字にする | 誰が文字起こしをするか。人名、作品名、聞き取れない箇所を誰が確かめるかを決める。 |
| 読む原稿へ整える | 話の順番、長さ、語り口をどう整えるか。作品と文章を対応させ、編集する範囲を相談する。 |
| 本人が確認する | 紙で読むか、声に出して確認するか。修正を誰がまとめ、最終的に誰が確かめるかを決める。 |
話した内容を文字にしただけでは、本で読む順番や分量までは決まっていません。話し言葉のまま残す部分と、読みやすく整理する部分を選び、どの作品のどこへ載せるかを考える作業もあります。
聞き取りからまとめて相談する場合は、取材、録音、文字起こし、執筆・編集のそれぞれについて、対応できる人と費用を確かめます。作品集を作る依頼に、これらがすべて含まれていると考えず、必要な範囲を伝えます。
録音の扱いと、掲載する話の範囲を先に決める
録音する場合は、何のために残し、誰が聞くのかを本人へ伝えます。録音データを誰が持ち、原稿の確認後も残すかどうか、どの範囲の人が扱うかも相談します。録音した話のすべてを、そのまま本へ載せる前提にはしません。
録音を希望しない場合は、メモを取り、あとから本人に確かめる進め方も考えられます。どちらの方法でも、作品名、人名、場所、年代などの確認が必要な箇所を分けて残します。思い出として語られたことと、別の資料で確かめられたことを、編集側で混ぜないようにします。
家族以外の人の話や写真も載せたいときは、今回残す内容と見せる範囲を確かめます。家族の手元で読む本なのか、知人にも渡すのか、Webへ載せる予定があるのか。届け先を決めることも、話を選ぶ準備の一部です。
本人の言葉を、別の意味の文章へ変えない
原稿を整えるときは、繰り返しを減らしたり、読む順番を変えたりすることがあります。その場合も、編集した文章を本人へ戻し、残したい意味と語り口になっているかを確認します。家族が読みやすいと思う文章が、本人の伝えたいことと一致するとは限りません。
本人が読む負担が大きいときは、一度に全部を渡さず、作品ごとに短く確かめたり、読み上げて聞いてもらったりする案があります。確認の方法と、家族が補う範囲を先に決め、編集する人へ伝えます。
本人がまだ確かめていないところは、確認済みとして進めません。返事を待つ部分と、作品の画像や紙面を先に考えられる部分を分けておくと、未確認の言葉を埋めずに制作を進められます。
家族が聞く案と、聞き取りから相談する案を比べる
家族が作品を見ながら話を聞けるなら、まずメモや録音を用意し、その後の原稿整理と編集を相談する案があります。話の中にしか出てこない作品名や背景を家族が補い、不明な箇所を本人へ戻す担当も決めます。
家族だけでは話をまとめにくい場合は、聞き取り自体を含めて相談する案があります。どんな作品があり、本人はどのように話したいか、会う場所や時間をどう用意できるかを伝えます。聞き手や記録方法、原稿づくりまでの対応可否を、依頼前に確かめます。
どちらの案でも、確認の窓口を一人決めておくと、家族ごとに違う修正が別々に届くのを整理しやすくなります。ただし、窓口を決めることと、本人の言葉を本人に代わって決めることは別です。最終確認の担当と方法を、本人の希望に合わせて相談します。
原稿がない段階から、作品と残したい話をご相談ください
複写の作品集・冊子の制作は、画像や原稿がそろっているところから相談できます。本人が文章を書くことが難しい場合は、作品のおおよその点数、誰へ渡す本か、聞き取りの記録があるかをお知らせください。
聞く人、記録を文字にする人、原稿を整える人、本人の確認を取りまとめる人。家族ができることと、対応してほしい作業を分け、今回どこから依頼するかを確認しましょう。



