歴代役員の名簿を冊子にする 兼任の役職を省かず残す
名簿に同じ名前があっても、役職まで同じとは限りません。公開名簿の兼任表示を例に、役職・氏名・原注を残し、組織の日付と個人の任期を分けて紹介する冊子の編集方法を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

周年冊子の歴代役員ページを作っていると、同じ名前が名簿に何度も出てくることがあります。重複だと思って一つにまとめる前に、役職名と注記を確認してください。別の役職を兼ねていた記録なら、名前を省くことで役職との対応まで消えてしまいます。
氏名だけで一覧を整えず、役職・氏名・兼任の注記を一組として残します。日付を添える場合も、個人の在職期間なのか、組織の成立や廃止の日なのかを分けて読むことが大切です。
同じ名前があっても、役職ごとの行を残す
首相官邸の「第45代 吉田 茂」には、第1次吉田内閣の閣僚名簿が掲載されています。その中から、内閣総理大臣と第一復員大臣の二つの役職を見てみます。内閣総理大臣の欄には「吉田 茂」、第一復員大臣の欄には「吉田 茂 (兼)」とあります。名簿の凡例は「(兼)=兼任」です。[1]
ここで「吉田 茂」という名前だけを一つにまとめると、二つの役職との関係と、どの欄に兼任の印があるかを追えなくなります。冊子へ載せるときも、役職ごとに氏名を記し、原資料にある印を対応する行へ残します。名前が同じという理由だけで別人を同一人物と決めるのではなく、この例では原名簿が明示している兼任を扱います。

兼任の印と、その読み方を一緒に載せる
記号を残しても、意味が別のページに離れていると読者は確認しにくくなります。抜粋する範囲に必要な凡例を近くへ置き、原資料の表記と対応させます。今回の二行は、次のように読めます。
内閣総理大臣
吉田 茂
第一復員大臣
吉田 茂 (兼)
原注:昭和21年6月15日 同省廃止
凡例:(兼)=兼任。役職名・氏名・印・原注は首相官邸の対象箇所に基づき、配置と見出しは複写が編集しています。
実際の団体名簿でも、兼任や代理を示す印がある場合は、その資料に付いた凡例を確かめます。別の名簿で使われていた記号の意味を、そのまま当てはめないようにします。氏名の欄だけを抜き出した作業用一覧を作る場合も、原名簿の役職と注記へ戻れる対応を残しておくと、掲載前の照合ができます。
組織の廃止日を、個人の退任日へ書き換えない
第一復員大臣の欄にある「昭和21年6月15日 同省廃止」は、省についての注記です。西暦では1946年6月15日に当たります。この言葉を、原資料に直接書かれている個人の「退任日」として置き換えず、省廃止の原注として残します。
同じ官邸ページには、内閣の成立日として昭和21年5月22日(1946年5月22日)、内閣総理大臣の在職期間として昭和21年5月22日~昭和22年5月24日(1946年5月22日~1947年5月24日)が示されています。それぞれ、何についての日付かが違います。
この掲載例では、内閣成立日と省廃止の原注を結んで、第一復員大臣個人の在職期間を表す帯を作っていません。二役職の併記と兼任の印を残すことで、確認できた関係を紹介します。期間を図にしたい場合は、その役職の就任・退任を確かめられる記録をそろえてから検討します。
分からない期間を、次の人の就任日で埋めない
手元の歴代役員表で日付が抜けていると、次の人の就任日まで前任者が在職したことにして線をつなぎたくなるかもしれません。しかし、その日付だけでは前任者の退任日を確定できません。空席の記録がある場合と、期間を確認できる資料がまだ見つからない場合も分けます。
編集途中では、未確認の箇所を確認事項として残し、就退任の記録や担当者の回答と照合します。役職自体の終了について記録があるなら、その注記も個人の任期とは分けて扱います。今回の官邸名簿から、特殊な空席や後継組織とのつながりを補って示すことはしていません。
原名簿と確認事項をそろえて、冊子の掲載範囲を決める
周年冊子の編集へ進むときは、役職名や注記まで読める原名簿と、就退任の根拠になる記録をそろえます。掲載したい役職・年代の範囲を決め、依頼者側で内容を確認する担当者と、未確認の氏名や日付を整理してください。
複写では、企業・団体の資料を冊子やWebへまとめる制作相談を受け付けています。確認済みの原記録をもとに、役職と氏名、兼任の印、注記をたどれる紙面を検討します。企業・団体向けの資料制作をご覧いただき、お問い合わせから作りたい冊子と掲載したい資料をお知らせください。
原資料と編集範囲
[1]首相官邸「第45代 吉田 茂」。第1次吉田内閣の対象二役職、兼任の凡例、第一復員省の廃止原注、内閣成立日と首相在職期間を参照しています。
特記のない公的本文の必要部分を抜粋し、複写が役職別に再構成しています。原ページの写真・標章は使用していません。利用条件は首相官邸の利用規約・コピーライトポリシー(公共データ利用規約〈第1.0版〉)をご確認ください。



