前回の社史があるとき、次の周年誌は創業から作り直す?
前回の社史があるとき、次の周年誌にどの期間を載せるか。前冊の収録範囲と読者が読めるかを確認し、続編、過去の要約付き、全体再編から今回の一冊の役割を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

前の周年に作った社史が手元にあり、その後の写真や記録も集まり始めた。次の周年誌では、創業から全部をまとめ直すのか、前回以降の歩みを中心にするのか。新しい一冊の範囲で迷うことがあります。
最初に確かめたいのは、前冊が何をいつまで収録しているかと、今回の読者が前冊を読めるかです。そのうえで、続編にする、過去の要約を添える、全体を再編するという選択から、今回渡す一冊の役割を考えます。
前冊の発行年と、収録している期間を分ける
前の社史を開き、目次、年表、本文の対象期間を確認します。何年に発行されたかだけで、そこまでの出来事がすべて載っているとは限りません。今回の収録方針は、発行年をそのまま区切りにせず、実際に扱われた範囲から考えます。
時期だけでなく、どんな内容が載っているかも控えます。会社全体の沿革、事業ごとの記録、写真を中心とした紹介など、前冊の役割によって、新しい一冊で補いたい内容が変わります。
既刊は準備資料としても使えます。幻冬舎メディアコンサルティングの案内では、過去の社史を確保し、その内容の抜粋や旧構成に新しい情報を加える方法が説明されています。前冊を持っていることだけで今回の内容を決めず、使える原稿や画像、確認が必要な部分を整理する出発点にします。参考資料1
今回の読者は、前の冊子も読めるか
編集担当者の机に前冊があっても、今回受け取る社員や取引先が同じように読めるとは限りません。前冊が配られているか、社内の閲覧場所にあるか、今回の読者が参照できるかを確認します。
前冊を読める相手へ、その後の出来事を詳しく届けたいなら、前冊との関係を示した続編を考えられます。一方、今回の一冊だけを読む人にも現在までのつながりを伝えたいなら、必要な前史を新冊にも載せる方法があります。
前冊へのアクセスが分からない段階では、読めるものとして構成を確定しません。今回渡す相手と利用状況を確認し、前の時期の説明を新冊のどこへ置くかを決めます。
続編、過去の要約付き、全体再編を選ぶ
| 今回の目的と読者 | 検討する構成 |
|---|---|
| 前冊も読める相手へ、その後の歩みを詳しく届けたい | 前冊との関係と今回の対象期間を示し、後の期間を中心にする。 |
| 今回の一冊だけ読む人にも、現在までのつながりを伝えたい | 過去の要約と、最近の期間の詳しい記録を組み合わせる。 |
| 過去の位置づけや全体構成から見直したい | 創業から今回までを再編する一冊として、必要な資料と編集範囲を考える。 |
過去の内容を圧縮して最近の期間を詳しく扱う方法は、トッパン年史センターの編集案内にもあります。出版文化社が紹介する平成12年10月発行の記念誌の事例にも、過去の歩みと最近10年の記述を組み合わせた構成が説明されています。こうした方法を背景に、今回は誰に何を届けるかから選びます。参考資料2・参考資料3
続編なら費用や時間を必ず抑えられる、新しい周年誌ならすべて書き直す、と決める必要はありません。今回の内容と資料、確認や編集が必要な範囲から、作業を相談します。
同じ収録メモから、二つの目次案を比べる
前冊は創業から2015年までを収録し、今回は2016〜2025年の記録を加えたい、という仮定で考えてみます。前冊は編集担当者の手元にありますが、今回の読者が読めるかは未確認とします。実企業の沿革や出来事を示す例ではありません。

続編案の冒頭では、前冊との関係と今回の対象期間を示し、2016〜2025年の記録を中心にします。前の時期を詳しく繰り返さない構成にするなら、読者が前冊を利用できるか、必要な背景をどこで補えるかを確認します。
過去の要約付き案では、2015年までの概要を置き、その後に2016〜2025年の記録を続けます。前冊をそのまま全部再掲載するのではなく、今回だけ読む人に必要なつながりを選びます。過去の説明をどこまで残すかを、編集方針として決めます。
全体の位置づけや見せ方から変える必要があるなら、全体再編の相談になります。既刊の一部へ新しいページを足す作業と同じ範囲だとは決めず、対象とする期間・内容、使う資料と原稿を整理します。
再掲載する内容と、新しく用意する資料を分ける
目次案が見えてきたら、前冊から使いたい文章や写真、要約し直す内容、新たに加える記録を分けます。前冊に載っているからといって、今回もそのまま使うと先に決めず、掲載する部分の情報と利用条件を確認します。
新しく加える期間については、写真、文書、出来事を確認できる資料がどこにあるかを整理します。確認できない沿革や出来事を、読みやすさのために補って確定情報へ替えないようにします。社内で収録期間と掲載内容を確認する担当も決めておきます。
前冊と今回の収録方針を添えて、編集範囲を相談する
相談には、前の冊子、収録期間と目次、今回渡す相手、前冊を読めるかについて分かること、新しく加えたい期間と資料を添えてください。元の画像や原稿があるかも、分かる範囲でお知らせください。
複写 HUKUSYAの企業資料のデジタル化・活用では、古い冊子や記録写真の画像化と、周年冊子へ使う内容の整理を分けて相談できます。冊子・カタログ制作では、既存画像や原稿から、掲載順や説明、紙面を相談します。
再掲載、要約、新しい原稿、画像の再取得や撮影が必要な範囲を分け、対応可否と担当、費用・日程を個別に確認します。全史の調査や執筆、取材、事実の確定まで一括で含まれると決めず、どの資料を誰が確認し、何を制作するかを合わせます。
前冊を持っていることから一歩進め、今回の読者にどこまでの歩みを渡したいかを決める。その方針があれば、新しい周年誌の目次と、準備する資料を具体的に相談できます。
参考資料
- 幻冬舎メディアコンサルティング:社史制作に必要な準備 — 既刊の社史を準備資料にする説明。
- トッパン年史センター:年史編纂にあたって — 目的・読者と、過去を圧縮して最近の期間を扱う編集方法。
- 出版文化社:「社員参加の記念誌」として — 平成12年10月発行の記念誌の構成概要。



