写真を残す本と、選んで見せる写真集――同じ二枚からページの使い方を考える
写真を保存する範囲と、本に載せる範囲を分けて考えます。利用条件を確認した二枚の写真から、記録順・二枚の見開き・一枚と余白の三案を比べ、作者の完成画像を保つ進め方を整理します。
HUKUSYA / JOURNAL

お気に入りの写真を一冊にするときは、撮影の記録を見返すことを優先するのか、選び方や並びで見せる本にするのかを決めましょう。保存しておく画像と、今回の本へ載せる画像を分けると、載せない写真も残しながら構成を考えられます。
アルバムにも写真集にも、選択や並べ方による表現はあります。ここでは呼び名で形式を決めず、「記録をたどる案」と「写真の関係を見せる案」を比べます。少数の写真でページの使い方を決めてから、全体の点数や仕様へ進む方法です。
記録をたどるか、今回見せる範囲を選ぶか
撮影の記録を見返す本なら、日付や場所、撮影したまとまりを手がかりに並べる案があります。似た写真が続いていても、その時に何を撮ったかを確かめるために残す意味を考えます。
一つのテーマを見せる本なら、同じ被写体の写真を全部載せるかどうかも含めて選びます。最初に見せる一枚、次に続ける写真、一枚だけで見せるページなどを考え、今回の本で読者に見てもらう範囲を決めます。
日本写真企画の写真集制作案内でも、掲載作品と構成を打ち合わせ、作品や並べ方が決まってからデザインへ進む流れが示されています。[1] まず何を載せるかを確かめることと、最終的な紙面を作ることを分けて相談できます。
本へ載せない元画像も、保存する範囲から外さない
本の収録候補と、保管する元画像は分けて整理します。今回の本から外した写真を、保存する必要がなくなった写真と扱わないようにします。元のファイルと、掲載に使う版が分かる名前で対応を残します。
現像済みの完成画像がある場合は、作者がどれを掲載用として渡すかを決めます。元の撮影データ、作者が仕上げた画像、本へ配置する画像を混ぜず、編集担当が勝手に別の版へ置き換えないようにしましょう。
二枚の写真で、ページの使い方を比べる
この案では、Wikimedia Commonsのファイルページで作者とCC0 1.0の表示を確認できる二枚を使います。[2][3][4] 二枚は別の作者の写真です。ここで考える並びはこの記事の構成案で、撮影者自身のシリーズや制作意図を述べたものではありません。


写真Aでは、明るい背景の中に赤や黄の葉が広がっています。写真Bでは、緑の葉の上の水滴へ目を向けられます。この二枚を残し、次の三つのページ案を比べます。写真そのものの色や写る範囲を変えず、置く順序と余白を考える案です。
| 今回の目的 | 収録する写真と、置き方の案 |
|---|---|
| 記録をたどる | 写真B、写真Aの順に、それぞれ独立した一頁へ置く。ファイルページの撮影日の順とし、各写真の題名・作者・日付を別々に添える。 |
| 二枚の関係を見せる | 一つの見開きの左に写真A、右に写真Bを置く。両方の全画像を保ち、葉の線や水の表情、赤・黄と緑の違いを見比べる案にする。 |
| 一枚へ目を向ける | 左頁に写真Bを一枚だけ置き、右頁に余白を取る。写真Aはこの見開きには収録せず、元画像の保管対象には残す。 |
記録案の順序は、ファイルページにある写真Bの2009年7月10日、写真Aの2014年11月25日という日付に基づきます。[2][3] 別の場所や時期の写真を、同じ日の出来事としてつないだ案ではありません。
三案はページの割り当てを比べるための構成案です。実際の判型やページ数、余白の寸法はこれから決めます。印刷した色や紙の質感、実際に本を開いたときの見え方を確かめたものではありません。
隣り合う写真を決める理由を、一言で残す
写真を並べるときは、「なぜこの次にこの写真を置くか」を短く書いてみます。色、形、距離、明るさ、写るものの関係など、自分が見てほしいことを言葉にして編集担当へ渡します。
二枚の関係を見せる案なら、この構成のためのメモを次のように置けます。
葉の線を見た後に、水滴の形へ目を移す。左と右の写真を同じ日の記録として説明せず、形と色を見比べる見開きにする。
これはこの記事で用意した編集メモです。撮影者がこの意図で二枚を撮ったという説明には使いません。ご自身の写真集では、作者が残したいことを聞き、掲載する順番と説明を確認します。
一枚だけのページも候補にすると、全てを二枚組にする必要はなくなります。余白をどこへ取るか、説明文を写真の近くへ置くか別の頁へまとめるかも、目的に合わせて選べます。
写真の並べ替えと、画像自体の変更を分けて確認する
ページの順序を変えることと、写真の色や写る範囲を変えることは、別に確認する項目です。完成画像を受け取った編集担当は、トリミング、明るさや色の調整、文字を重ねることなど、どの変更をしてよいかを作者と確かめます。
見開きの中央をまたいで一枚を置く案なら、中央へ来る部分と、本を開いたときに見せたい範囲も相談します。写真の必要な部分が隠れない配置を考え、作者の確認を経て決めます。
この二枚の例では、公開された画像の全体を保つ方針です。自分の作品で同じ進め方を選ぶ場合も、掲載用に渡す画像と、変更してよい範囲を先に知らせておきましょう。
構成の確認と、印刷した仕上がりの確認を分ける
最初の構成案では、収録する写真、順序、見開き、説明文と余白の取り方を確認します。その後、判型や用紙、部数、色を確認する工程などを制作先と決めます。
画面上で順序を比べたことを、印刷した色や濃淡の確認が済んだことにはしません。印刷に向けて画像を調整する場合も、誰がどの版を作り、作者が何で確認するかを、依頼する範囲に合わせて確かめます。
残す範囲と、見せたい並びをお知らせください
複写 HUKUSYAへ相談するときは、元画像のおおよその点数、今回載せたい候補、誰に渡す本か、使いたい時期をお伝えください。「撮影の記録をたどりたい」「数枚の関係を見せたい」など、今の希望から伺います。
作品集・冊子の制作案内から、提供いただく写真をもとにした構成とデザイン、印刷を含める範囲を相談できます。作者の完成画像と変更できる範囲を確認し、残す画像と今回の一冊に載せる画像を分けて考えていきましょう。
参考資料・掲載写真
- [1] 日本写真企画「写真集をつくりませんか?」(掲載作品・構成の打ち合わせからレイアウトへ進む工程)
- [2] Lesekreis「Playing with water, light and leaves」、Wikimedia Commons(作者・撮影日・CC0 1.0の表示)
- [3] Siddharth Patil「Water droplets on leaf」、Wikimedia Commons(作者・撮影日・CC0 1.0の表示)
- [4] Creative Commons「CC0 1.0 Universal」(利用条件の案内)



