戯曲の台詞とト書きを、一場面から読み分ける
灯と澪の一場面の紙面案から、話者と台詞、台詞内の動作と発話の間にある動作を、元の言葉と所属のまま読み分ける組み方を考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

短い戯曲を冊子やWebへ整えるとき、登場人物の言葉と動作の指示が一続きに見えることがあります。一場面の紙面案から、誰の台詞なのか、動作がどの台詞に属するのかを、元の言葉のまま読み分ける方法を考えます。
短い一場面を、元の言葉のまま残す
この場面の登場人物は、灯と澪です。四つの発話と二つの動作があります。台詞の途中にある動作と、二つの発話の間に置かれた動作を、原稿で確かめた所属のまま残します。
読み分けるための改行や字下げを加える前に、同じ一場面を手元に置きます。原稿の語句と順番を変えずに比べることで、組み方の違いと、台詞や動作そのものの変更を分けられます。
灯と澪の一場面
灯 窓を開けてもいい?
澪 今は閉めておこう。紙が飛びそうだから。
(灯が窓から手を離し、机へ戻る。)
灯 じゃあ(小さく笑って)、この一枚を先に読もう。
澪 うん。読み終わったら、窓の向こうも見にいこう。
一段落へまとめた紙面案と、発話と動作の区切りを置いた紙面案に、同じ言葉を載せます。行を分けることを、新しい発話や動作を足すことと混ぜないための比較です。

話している人を、発話ごとに見つける
灯、澪、灯、澪という発話の順に、話者名を各まとまりの入口へ置く案です。名前だけでなく、台詞の始まりと終わりを見返せる区切りを残します。
一つの台詞が長くなり、画面の幅に合わせて数行へ折り返しても、それだけで別の人の発話にはしません。同じ話者の台詞として、続きを読めるまとまりを保ちます。
名前の色を変えるだけに頼らず、話者名と改行、余白で区別します。誰が話すのか原稿から確かめられない箇所は、組版の担当者が推測して名前を補う前に、作者へ確認する箇所として残します。
台詞の途中と、二つの発話の間にある動作を分ける
「小さく笑って」は、四つの発話のうち三番目、灯の二つ目の台詞の途中にあります。括弧で区別しても、その前後の台詞と同じ発話の中にある動作として置きます。
一方、「窓から手を離し、机へ戻る」は、二番目の発話と三番目の発話の間にある灯の動作です。話す言葉の行へ混ぜず、二つの発話の間にある指示として間を取る案です。
どちらも動作を表す言葉ですが、台詞との関係が違います。本文の外へ一律にまとめたり、近くにある別の話者の台詞へ移したりせず、原稿で確認した場所と行う人を保ちます。

冊子と縦画面で、一場面を通して読む
冊子の紙面を確認するときは、台詞の途中や動作の前後でページをまたいでも、どの発話の続きかを見返せるか確かめます。話者名が前のページにだけ残る場合は、続きを示す方法を作者と合わせます。
スマートフォンの縦画面では、画面幅によって改行の位置が変わります。画像だけに言葉を閉じ込めず、本文でも同じ台詞と動作を読める形にして、四つの発話の順と動作の所属を追えるか確認します。
紙面の字下げと画面の余白は、同じ幅にすることよりも、同じ区切りを保つことを目指します。元の原稿へ戻れるようにして、話者の入れ替わり、台詞内の動作、発話間の動作を一場面の終わりまで照合します。
完成原稿と読む相手を、編集の相談へ渡す
相談には、完成原稿、登場人物、台詞と動作の所属が確定した内容を用意します。曖昧な話者や同時に話す箇所がある場合は、その箇所を確かめる作者と、読む相手を添えて伝えます。
冊子にするのか、Webでも読める形にするのか、配る相手と読む場面をまとめます。作品集・冊子・Webサイト制作の案内を手がかりに、完成原稿と紙面の組み方、画像や掲載情報を編集する範囲を相談します。
語句と所属を保ったまま、どこに話者名を置き、どの動作に間を取るかを伝えると、編集の目的を具体的にできます。掲載できる範囲と確認役、希望する媒体を添えて、ご相談ください。



