割注入りの原稿を冊子にする 本文と二行の補足を混ぜない
割注の小字二行を本文へ混ぜずに冊子へ移すために。二行を保つ案と、作者が認めた区切りを添える案を、同じ本文と補足で比べ、元原稿へ別々に照合します。
HUKUSYA / JOURNAL

原稿の本文の途中に小さい字が二行並ぶときは、本文の続きと補足を分けて引き継ぎます。注の始まり・終わり・読む順を作者の指定へ戻し、二行を保つ案と、認められた区切りを添える案を比べます。組み直した後も、本文だけの文と補足だけの文を元原稿へ照合することが大切です。
小さい二行の前後に、同じ本文が続いている
この案の短い原稿「橋の下」には、「橋の下では、」の後に二行の補足があり、その終わりから「水の音が先に届く。」へ続きます。補足を除いて本文だけを読むと、次の文です。
本文
橋の下では、水の音が先に届く。目に映る姿より、先に聞こえることもある。
補足は上の行から下の行へ読みます。二行をつなげた文字列は、「この橋は、物語の中だけに登場する架空の場所です。」です。
補足の上行 → 下行
この橋は、物語の中だけに
登場する架空の場所です。
補足を読み終えたら、「水の音が先に届く。」という本文へ戻ります。小さい字の上行を本文の一部として先へつなぐと、元とは別の文になります。字の大きさだけで読み順を決めず、本文と注がどこからどこまでかを、作者または原稿を確定する方へ確認しておきます。
打ち直すと、上行だけが本文に混ざることがある
図の初案では、補足の上行を本文へ混ぜて「橋の下では、この橋は、物語の中だけに水の音が先に届く。」とつなぎ、下行の「登場する架空の場所です。」を離して置いています。使った字がそろっていても、本文と補足の所属は変わっています。
一字ずつ脱字を探すだけでは、この違いを見落としやすくなります。本文の「橋の下では、」と「水の音が先に届く。」が一つの文として続くか、補足の二行が一つの説明として読めるかを、別々に確かめます。注を短くするために下行を削ったり、本文の語句として書き換えたりする前に、元原稿へ戻ります。
Aは小字二行を保ち、Bは指定の区切りを添える
A案は、本文途中の小字二行と、その前後の本文を保ちます。元の補足の始まり、上から下への順、終わりを引き継ぎ、補足の後に本文が続く配置にします。本文の文字を大きくする、行幅を変える場合も、本文と注の範囲を一緒に確認します。
B案は、この原稿の作成者が指定した「〔補足:…〕」を使って組み直します。注の上行と下行の同じ字句を括弧の中へ置き、閉じ括弧の後に「水の音が先に届く。」が続きます。補足は二つの主行にまたがる配置になり、Aと同じ小字二行の組み方にはなりません。
変えるのは区切りの表示と配置です。本文35字と補足24字は、どちらの案でも同じです。お預かりした原稿で括弧や「補足」という語を添える場合は、その変更案を作者・確認担当者へ戻します。区切りの変更が認められない場合は、A案のように元の範囲を保って組みます。

本文だけ、補足だけを読んで元原稿へ照合する
完成した紙面では、まず補足を除いた本文を原稿の本文35字へ戻します。次に補足の上行と下行を順につなぎ、元の24字へ戻します。字句の一致に加えて、補足の入口が「橋の下では、」の後か、出口が「水の音が先に届く。」の前かを確かめます。B案は、閉じ括弧も補足の終わりに置かれているか確認します。
見出しや余白を整えた後にも、同じ照合を行います。携帯用の図では本文が次の行へ回っていますが、補足を先に読み終え、同じ「水の音が先に届く。」へ続く関係を保っています。図を拡大するだけに頼らず、主要な本文と補足を通常の文章でも読めるようにしています。
W3Cの日本語組版処理の要件は、割注を本文中の小字二行として説明し、横組での利用はまれで、主に学習参考書や百科事典に限られると記しています[1]。この案は、短い横組原稿の本文と注の範囲を比べるものです。文学原稿すべてに共通の組み方や、割注の全仕様への適合を示すものとして扱いません。
紙で確かめる場合は、冊子の判型と出力倍率、本文と注の文字の大きさを決め、校正紙でも二つの文字列を別々に読みます。画面の拡大で読めることと、実寸の紙で読めることは分けて確認します。読めない字や本文・注の範囲が未確定なら、その箇所を確定してから完成版へ進めます。
相談には、完成原稿と補足の範囲を添える
複写では、確定した原稿をもとに冊子の編集や紙面の配置を相談できます。制作内容は、作品集・図録の編集と制作をご覧ください。
割注を含む原稿を冊子にする際は、利用できる完成原稿の画像または確定した転記、本文と補足の範囲、注の読む順、確認担当者を添えて、本文と補足を分ける紙面編集をご相談ください。元の二行を保ちたいか、区切りの変更を認めて組み直したいか、冊子の用途と希望する判型もお知らせください。必要な組版方式、原稿の利用範囲、校正・出力の作業範囲と費用は個別に確認します。
参考資料
- W3C:日本語組版処理の要件、3.4 割注 — 小字二行の構造と横組での利用範囲を確認する資料。今回の本文・補足の境界と区切り変更は、元原稿と作成者の指定へ戻します。



