合併前の二社の資料を、会社史で並べて読む
旧二社の社内報と会社案内を、一冊の会社史へ。同じ年の歩みを並べ、出来事と資料の発行者を結ぶ見開きを考えます。
HUKUSYA / JOURNAL

合併後の会社史では、旧二社の資料を一つの年表へ集めたくなります。同じ年の出来事でも、それを担った会社と、資料の発行者は別々です。元の資料は各社のまとまりで残し、会社史の紙面では同じ年に二社を並べる。出所を保ちながら、共通の沿革として紹介する方法を考えます。
この案では、青葉製作所と岡町精器の社内報と会社案内を、二社の歩みが分かる見開きにまとめます。
同じ年の資料を、それぞれの会社の記録として読む
青葉製作所には、社内報「仕事の便り」1996年5月号と、会社案内1999年版があります。岡町精器にも、同じ名前と発行月の社内報、同じ版年の会社案内があります。まずは二社の資料を混ぜず、それぞれの発行者と文面を読んでみます。

青葉製作所の社内報には「試作室を開きました」とあり、本文に4月5日と記されています。岡町精器の社内報は「組立室を移しました」で、本文の日付は4月18日です。どちらも5月号ですが、会社史へ載せる出来事の日は4月の別々の日。発行月を、そのまま出来事の日付にはしません。
1999年版の会社案内では、青葉製作所が「試作から、形を確かめる」、岡町精器が「部品を合わせ、組み立てる」と仕事を説明しています。ここで分かるのは、その版の会社案内に載っている内容です。仕事を始めた年が1999年だったとは、この資料だけでは決められません。
年だけでまとめると、会社名を資料へ探しに戻る
初案では「1996年」の下に、試作室を開いたことと、組立室を移したことを置きました。「1999年」には、会社案内で仕事を紹介したとまとめています。

各資料には発行者名が残っています。ただ、出来事の文だけを追うと、どちらの会社のことかは社内報へ戻って確かめる構成です。1999年の短い説明も、二社がそれぞれどんな言葉で仕事を紹介したかまでは伝えていません。年の見出しを増やすより、二社と資料の対応を紙面へ出すことを考えます。
二社の歩みを並べ、共通になる地点を示す
見開きの題を「二社の歩み」とし、左に青葉製作所、右に岡町精器を置きます。1996年の段では、試作室を開いた日と組立室を移した日を、それぞれの会社の下へ記し、根拠となる社内報を添えます。

1999年の段では、会社案内の見出しを二社それぞれに載せます。版年と見出しを一緒に読む形なので、仕事の開始年を新しく足す必要はありません。スマートフォンでは、1996年の青葉製作所、岡町精器を続け、その後に1999年の二社を置きます。同じ年の両社を見てから、次の年へ進む順です。
合併時点には、二社の共同通知「合併のお知らせ」を使います。2002年3月15日付の通知には、次のように記されています。
青葉製作所と岡町精器は、2002年4月1日に合併し、青葉岡町工業となります。
通知の発行日と、通知に記された合併日は別です。この案では、2002年4月1日を新しい社名へつなぐ地点にし、合併前の出来事には旧二社の名前を残します。資料のない間の年に、出来事を補って埋めることもしません。
原資料のまとまりと、会社史で読む順を分ける
英国国立公文書館の資料では、誰が作り、持っていた資料かという出所や、資料どうしの関係が文脈を与えると説明しています。作成・使用されたときの配列も、内容を理解する手がかりになります。[1]
今回の紙面では同じ年に二社を並べていますが、原資料を会社史の順へ混ぜ直す必要はありません。青葉製作所の社内報と会社案内、岡町精器の社内報と会社案内は、各社のまとまりで保ちます。共同通知は、二社の接点を示す別の資料として残します。
会社史を読む人には、出来事と資料の関係を紙面で伝えます。後で資料を確かめる人には、それぞれの会社の原資料へ戻れるようにします。一冊の掲載順を決めることと、元の資料の配列を残すことを、別々に考えられます。
二社の資料と、載せたい期間を伝える
会社史の制作をご相談いただくときは、旧二社それぞれにどんな資料があるか、発行者や年月がどこまで分かるか、冊子で紹介したい期間をお知らせください。原紙を画像に残す段階からなら、点数や状態、社内で掲載内容を確認する担当者も、相談の手がかりになります。紙資料の撮影・スキャンと活用については、企業資料のデジタル化と活用でご案内しています。
すでに画像がある場合は、各社の元画像と、掲載したい出来事や説明文をお持ちください。原稿、掲載順、見開きの構成をどこまで依頼するかは、作品集・カタログ・Web制作で相談できます。実際に載せる資料と配布・公開の範囲は、企業の担当者と確認して進めます。
参考資料
- The National Archives, Archive Principles and Practice: an introduction to archives for non-archivists。印刷ページ7–8、2.3.1「Provenance and original order」を参照。



