原注のある文章を冊子へ抜粋する 原注と編者注を分けて残す
注のある文章を一冊に残すときは、原注の対象に合わせて抜粋範囲を選びます。原注12・13と新しい編注Aを分けた二つの頁から、本文と注の関係を保つ編集を紹介します。
HUKUSYA / JOURNAL

注の付いた家族や地域の文章を、短く抜粋して一冊に残したい。そんなときは、本文だけを選ぶ前に、注がどの言葉・段落へ掛かるかを確かめます。原文の注は番号と注本文を一緒に残し、新しい冊子で加える説明は「編者注」として分ける。短くしても、元の文章とその説明の関係を保つための編集です。
原文に作者が付けた注を、ここでは「原注」と呼びます。本文の一語に付く注もあれば、一段落全体を説明する注もあります。注記号の付いた文だけを取り出すと、説明の対象まで切れてしまうことがあります。
原注の対象を見て、抜粋する範囲を決める
この案では、自己制作した短文『中庭の席』から第二段落を選びます。「中庭」に付く原注12は一語の説明。段落末の原注13は、椅子の位置を変えるところから描く景色を選ぶところまで、段落全体に掛かっています。
戸口のそばに、折り畳んだ椅子が一脚あった。明るい場所を探して、私はそれを持って外へ出た。
中庭〔12〕の椅子を、壁から少し離して置いた。空いた場所に立つと、戸口から差す光が足もとまで届いた。見えている空の細長さを、今日の絵に残したいと思った。〔13〕
夕方、椅子を畳んで同じ場所へ戻した。外の光は変わっていたが、紙の上には昼の空がまだ残っていた。
最後の「今日の絵に残したい」という文だけを選ぶと、原注13が説明する一続きの場面の前半を落としてしまいます。そこで、第二段落は三つの文を切らずに収録します。前後の二段落は掲載しません。
どの資料でも段落を丸ごと載せる、という決まりではありません。原文と注頁を一緒に見て、注の掛かる語・文・範囲が抜粋に残るかを判断します。注本文や対象範囲が分からない場合は、番号から内容を作り足さず、原資料を確認できる人に戻します。
原注の番号と本文を、一組で残す
抜粋頁でも、原注は12・13のままにしました。原文のどの注を受け継いだかを追えるよう、注本文も変えずに置きます。この原文が12から始まることを、そのまま残す選択です。
- 原注12
- 本文の「中庭」は、建物に囲まれた小さな外の場所を指す。
- 原注13
- この段落は、椅子の位置を変えてから、描く景色を選ぶまでの一続きの場面を記している。

横配置を大きく見る / 縦配置を大きく見る
原注12は「中庭」の説明として、原注13は第二段落の説明として読めます。頁の下に注をまとめる場合も、この対応が追える配置にします。番号を変える必要がある資料なら、元の番号との対応を残し、別の本文へ結び直さないようにします。
新しく加える説明は、「編注A」に分ける
新しい冊子には、何を抜粋したかの説明も添えたいところです。そこで原注の続きの14にはせず、「冊子の編者注」という欄を設け、「編注A」としました。
編注A 原文の第二段落を収録。前後の二段落は掲載していない。
原注12・13は元の文章に付いていた説明。編注Aは、新しい冊子でどこを収録したかを示す説明です。出所の違う注を同じ通し番号だけでまとめず、見出しと表記を分けることで、本文の意味と編集した範囲をそれぞれ確かめられます。
注を扱うTEIの資料にも、注が特定の点や範囲に掛かること、原文にある注と新しく加えた注を区別する考え方があります。今回の12・13の対象は、自作原稿の指定に基づいています。冊子の番号や配置は、その原稿を受け継ぐための一つの提案です。
本文・原注・掲載したい範囲をそろえて相談する
文章を一冊にまとめるとき、注は小さな付け足しに見えても、言葉の意味や一続きの場面を支えています。掲載してよい本文と原注頁、残したい範囲、新しく加える説明をひと組にしておくと、抜粋と注の配置を具体的に相談できます。
複写では、原稿や掲載情報の整理、順序や文章、冊子の紙面づくりを目的に応じて相談できます。原資料と掲載範囲、内容を確認する担当をそろえ、作品集・冊子・デジタル資料の詳しい内容から、一冊の形を考えてみてください。
参考資料
- TEI Consortium — Notes and Simple Annotation。注の対象が点・範囲となること、原注と追加の注を区別して扱う考え方。個々の原注の対象や冊子の配置を自動で確定するものではありません。



