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遺墨集・遺作集を作りたい家族へ 最初に決める、本に残す範囲

故人の作品を本に残すときは、家族が選んだ一冊か、全作品を調べる計画かで準備が変わります。読者・収録範囲・編者と確認役を一枚の企画にまとめ、手元の作品と原稿から相談を始める方法を紹介します。

絵を収めた開いた作品集と、そばに並べた画稿HUKUSYA / JOURNAL

故人が残した絵や書を、本にして家族へ渡したい。作品を見返すうちに、どこまで集めればよいのか、何から依頼すればよいのか迷うことがあります。

最初に決めたいのは、一冊で誰に何を伝えるかです。家族が選んだ作品を紹介する本と、故人の全作品を調べてまとめる計画では、必要な準備が変わります。読者、収録する範囲、編む人と確認する人を短くまとめるところから始めましょう。

まず、渡す相手にどう読んでほしいかを考える

同じ作品でも、故人をよく知る家族と、初めて作品を見る人では、添えたい説明が違います。家族で見返す本なら、家に飾っていた絵や、思い出につながる作品から構成を考えられます。親族以外にも渡すなら、作者がどんな作品を作っていたかを知る入口も必要になるでしょう。

「誰に渡すか」と一緒に、読んだ後に何が残ってほしいかを一文にします。「家族が親しんだ絵を、離れて暮らす親族にも見てもらう」「書の作品を通して、制作を続けていた姿を伝える」といった書き方です。目的を言葉にしておくと、候補を見ながら収録を決めるときの基準になります。

紙の本を家族へ手渡す計画と、PDFやWebでも広く見てもらう計画は、配る相手や掲載範囲を分けて考えます。今決まっている渡し方と、今後検討したい渡し方を書いておくと、画像や文章を使う範囲も確認しやすくなります。

家族で選ぶ一冊と、全作品を調べる計画の範囲を分ける

家族の手元にある作品から選んで、一冊を作る方法があります。この場合は、どこで保管している作品を、どの範囲から選ぶかを明らかにします。たとえば「家族が保管している絵から選ぶ」「確認できた展示作品と手元のスケッチを収める」と決めると、今回調べる範囲が見えてきます。

故人の全作品を扱うことを目指すなら、手元にない作品の所在や、写真だけ残っている作品、同じ作品かどうか、題名や制作時期など、調べたいことが広がります。その調査を誰が進め、どの段階まで確認して本にまとめるかも、刊行の計画に含めます。

一冊を先に作り、別に調査を続ける計画も考えられます。その場合は、本の説明に収録範囲を示し、掲載した作品だけで故人の制作全体を網羅したと受け取られないようにします。題名に「全集」や「全作品」と入れる前にも、実際に確認した範囲と合っているかを確かめましょう。

作品を選ぶ段階の考え方は、制作活動の節目に作品を選び直すでも紹介しています。今回の企画では、選ぶ基準の手前にある「どこまでを一冊の対象にするか」を決めます。

一枚の企画に、今回作る本の範囲を書く

相談用の企画は、整った企画書でなくても構いません。たとえば、家族の手元にある絵を親族へ渡す一冊なら、次のようにまとめられます。名前や点数が未定のところは、決まっていないと分かる書き方にします。

読者:故人を知る親族。離れて暮らす家族にも手渡す。

一冊で伝えたいこと:家族が身近に見てきた絵を、短い言葉とともに残す。

収録範囲:家族が保管する絵から選ぶ。写真だけある作品は、掲載するか別に確認する。故人の全作品を調べ終えた本とはしない。

編者:作品の候補と家族の原稿をまとめ、今回の本に載せる内容を決める人を選ぶ。

確認役:作品情報、家族の文章、画像・文章の掲載条件を確認する人と、最後に原稿全体を確かめる人を決める。

この企画に、手元にある作品・画像・原稿と、これから探す資料を添えます。今回の本に含めることと、次の機会に考えることも書き分けておくと、途中で新しい作品が見つかったときに収録範囲を見直せます。

作品点数やページ数、部数は、この内容と渡す相手をもとに相談できます。先にページ数だけを決めると、残したい作品や説明が収まるかを改めて考えることになります。

編む人と、内容を確認する人を決める

原稿を集める窓口と、収録内容を判断する人を家族の中で決めます。同じ人が兼ねても、何を判断する役割かを分けておくと、制作先とのやり取りをまとめやすくなります。

確認する内容も、ひとまとめにしないことが大切です。作品名や制作年を資料で確かめること、家族が書いた思い出の文章を本人に読んでもらうこと、画像や文章を今回の媒体で使えるかを確かめることでは、確認先が異なる場合があります。確認できた情報と、まだ分からない情報を原稿の段階で分けて残します。

作者紹介や家族の言葉をどうまとめるかは、遺墨集のはじめに何を書く? 作者紹介と家族の言葉のまとめ方をご覧ください。ここで決めるのは文章の内容そのものより、誰が原稿を用意し、誰が確かめるかです。

写真や寄稿などを含める場合は、使う画像・文章、配布先、紙の本・PDF・Webの別をそろえて掲載条件を確認します。確認が終わっていない資料は、その状態が分かるまま相談へ持ち込みます。冊子に使う画像をPDFやWebでも使う予定がある場合は、作品画像を別の媒体で使うときの確認方法もご覧ください。

手元の作品と企画をもとに、制作する範囲を相談する

複写 HUKUSYAでは、手元の画像や確認済みの原稿から、掲載順や説明文、紙面の構成を含めた作品集づくりをご相談いただけます。作品を新しく撮影する仕事と、画像・文章を一冊に編集する仕事は、分けて内容を確かめます。作品の所在や来歴を調べる作業も依頼したい場合は、冊子の編集と分けて、対応できる範囲と担当を相談します。

相談には、一枚にまとめた刊行の目的と収録範囲、作品や画像のおおよその点数、原稿の準備状況、渡したい相手と時期を添えてください。作品の調査、原稿づくり、確認、撮影、編集・デザイン、印刷のうち、家族で進めることと依頼したいことを伝えると、担当する範囲と費用・日程を検討しやすくなります。

冊子の編集・デザインや、準備する画像・原稿については、作品集・カタログ・Web制作のご案内をご覧ください。決まっていることと、まだ相談したいことを分けた状態から、今回残す一冊を考えていきましょう。

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